日頃通勤・通学や旅行などの際にお世話になっている鉄道。本来であれば区間に応じた運賃を払うのが正しいやり方です。
しかし残念ながら、運賃を出し惜しむために不正乗車を働く人もいます。
その中でも途中の区間分の運賃をごまかす行為がキセル乗車です。
今回はキセル乗車とみなされないための対策などをご紹介します。
「キセル乗車」の語源とは?
電車に乗るときの不正行為としてよく耳にする「キセル乗車」。なぜこのような語になったのでしょうか。
それはキセル乗車が行われる区間が乗車駅と降車駅の間であることが関係しています。
もともとキセルとは、一昔前のタバコのことです。両端が金属で、真ん中が木製になっています。
真ん中が金属ではない外見が、そのまま中間駅間の運賃をごまかすことにつながりました。
なお現在ではキセル乗車は、不正乗車そのものを意味する言葉になっています。
キセル乗車の罪状や罰則は何に該当する?
実際にキセル乗車を行うと、どのような罪状や罰則になるのでしょうか。
基本的に鉄道会社に補償するケースが多いものの、場合によって刑事罰になることがあります。
このためキセル乗車1つで人生が大きく狂うこともあり、注意が必要です。
基本的には鉄道営業法違反
キセル乗車を行うと、多くの場合で鉄道営業法違反ということになります。
ただ違法であっても、この場合は刑法に抵触しないため刑事罰は適用されません。
このため鉄道会社に罰金を払うことになりますが、その額は区間によっては非常に高額です。
一般的には不正乗車した区間の運賃のほか、2倍の増運賃が請求されます。つまり3倍の金額を支払う仕組みです。
例えば500円の区間でキセル乗車した場合は、1500円の支払いとなります。
なお特急でキセル乗車した場合は、乗車券のほか特急料金分も請求されるのが一般的です。
悪質な場合は詐欺罪とみなされることも
仮に悪質な手口や常習犯の場合は、詐欺罪と見なされることもあります。
詐欺罪の場合は10年以下の懲役という非常に重い処分です。前科も残るため、人生を大きく狂わせることになるでしょう。
ただ不正乗車については親告罪のため、鉄道会社からの通報がない限り刑事罰にはなりません。
時効が7年のため、後日発覚もありうる
なおキセル乗車は時効が7年のため、その場は逃れられても後日発覚もあり得ます。
たとえ無人駅で乗り降りした場合でも、無人駅には防犯カメラが設置されているためです。
駅員に見られなくても後日発覚は十分考えられるため、キセル乗車はするべきではありません。
キセル乗車で逮捕された事例とは
時として刑事罰とみなされることがあるキセル乗車。実際にこれまでもキセル乗車で逮捕されたケースがあります。
ここではキセル乗車で逮捕された事例を2つご紹介しましょう。
4年間入場券を使ってキセル乗車した事例
まずご紹介するケースが、奈良県で行われた4年にもわたり入場券でキセル乗車した事例です。
2015年から19年までの約4年間、120円の入場券で自動改札機を通っていました。
そして710円分の区間をそのまま乗車し、1度につき590円分をごまかしたというものです。
なお逮捕の際は、前の乗客にくっつく形で改札を通ろうとして駅員に見つかり発覚しました。
より悪質なことに、会社からの通勤手当をそのまま受け取っていたことも発覚しています。
このキセル乗車犯は、最終的におよそ1500万円もの損害賠償を請求されました。
たとえ在来線でもキセル乗車をすれば、手痛い目に遭うという良い例です。
新幹線で発生したキセル乗車
新幹線でも、実際にキセル乗車で逮捕された事例がありました。
2017年9月に岡山から東京まで新幹線を移動した会社員が、入場券を用いて行ったものです。
しかも東京駅の改札を抜ける際に、都内の学生から別の入場券を受け取っています。
受け取った入場券は東京駅で発行されたもので、それを所持して改札を抜けようとしました。
しかしエラーで改札を抜けることができずに警察の手で逮捕されました。
ちなみに学生が会社員のキセル乗車を約150回にわたり助けていたほど悪質なケースです。
なお新幹線の乗車券や特急券は、簡単に千円単位や万円単位になります。
このため新幹線でキセル乗車をしようものなら、非常に高額の罰金を請求されるでしょう。
乗り越し乗車や寝過ごし乗車は不正乗車?
キセル乗車は悪質で常習性が見られない場合、逮捕はされなくとも罰金を払うことになります。
- 1
- 2