車を自分で乗り回すうえで不可欠な運転免許は、定期的に更新する必要があります。
この点は高齢者であっても例外ではありません。ただ高齢者の場合は、それ以外のケースに比べると更新の方法が少し異なります。
今回は高齢者が運転免許を更新する方法や注意点などを見ていきましょう。
高齢者の運転免許を更新する方法とは
多くの方にとって運転免許の更新は、運転免許センターで座学の講習を受ける形が一般的です。
しかし高齢者の運転免許更新は、普通の場合と少し異なります。
高齢者の場合は認知能力が低下する可能性もあるため、普通より少し綿密な内容です。
高齢者講習の受講が必須
高齢者が運転免許を更新する際は、高齢者向けの講習を受けることになっています。
そして高齢者講習をクリアしない限り、運転免許証の更新が行われません。
一見普通の免許更新と変わらないように見えますが、後で触れるように実技もあります。
なお試験ではないため、受講後に終了証明書が発行され、不合格もありません。
75歳以上の場合は認知機能検査を事前に
また年齢が75歳以上の場合は、高齢者講習を受講する前に認知機能検査を行うのが一般的です。
認知機能検査は判断力や記憶力を測る検査で、認知機能の低下が見られるかどうかを調べます。
測定結果に基づいて3つに分類される流れです。ただ認知機能に著しい低下が見られなければ高齢者講習に進みます。
高齢者講習受講の注意点とは
高齢者講習は高齢者向けの運転免許更新講習です。
高齢者以外の方向けの講習とは異なるため、受講する際は注意すべき点の把握が必要となります。
主な注意点として、受講可能期間や会場に関するものなどが重要です。
受講期間は免許満了日の6ヶ月前から
まず最初に注意すべき点が、受講期間が免許満了日の6ヶ月前からとなっています。
受講期間開始日の10日前ごろに、講習のお知らせはがきが届くのが一般的です。
そして免許満了日までに、自分で受講日や場所を選び予約したうえで講習を受講します。
日程としては余裕はあるものの、忘れないうちに早めに受講するのがおすすめでしょう。
免許更新の期間は講習受講可能期間より短い
なお免許更新の期間は、70歳未満の場合と同じように誕生日を挟んだ2か月間です。
例えば8月12日が誕生日の場合、7月12日から9月12日の間に免許を更新します。
特に注意すべきなのが、講習受講期間の最後2ヶ月が更新期間となっている点です。
つまり早い時期に高齢者講習を受講しても、更新手続きを忘れると意味がありません。
このため免許の更新期間を予め確認しておき、期間になったら速やかに手続きすると良いです。
認知機能検査で問題があった場合は臨時適性検査などが必要
認知機能検査で認知能力に問題があった場合、臨時適性検査を受けるなどの必要があります。
検査で問題が見られた場合、認知症の疑いがあり、運転に支障をきたす可能性があるためです。
この場合は臨時適性検査の結果や主治医の診断書で再診断します。そして問題がなければ、そのまま高齢者講習に進む仕組みです。
ただし認知症と診断された場合は、その時点で免許停止や免許取り消しとなります。
会場は免許センターではなく教習所
運転免許の更新で行われる手続きや講習は、運転免許センターで行われるのが一般的です。
しかし高齢者講習については、基本的に運転免許センターではなく自動車教習所で行われます。
このため受講前に希望する教習所に予約し、当日は会場の教習所まで出かける流れです。
なお地域によって教習所の数が少ない場合もあり、高齢者にとって問題となっています。このため、早めの予約を心がけるべきでしょう。
当日持参するべき物とは
最後に高齢者講習当日は、いくつか持参するべきものがあります。
まずは郵送されてきた講習のお知らせはがきです。意外と忘れやすいため、忘れない工夫が必要でしょう。
次に今まで使ってきた運転免許証も持参します。特に免許証の更新も一緒に行う場合は欠かせません。
さらに手数料も必要で、全国どの地域でも5,100円となっています。なお認知機能検査の場合は、別途750円必要です。
このほか更新手続きも一緒に行う場合は、更新手数料2,500円も持参します。
最後に、書類の記入やメモなどに使う筆記用具も持参するべきです。
認知機能検査の内容とは
75歳以上の高齢者が事前に受ける認知機能検査。どのような内容になっているのでしょうか。
以下に挙げられる3つの検査から構成されています。
検査日の日時記入
最初に行われるのが、検査日の日時を記入するという内容です。
検査日当日の年月日と曜日及び時刻を記入します。
一見簡単ではあるものの、記入できない場合は認知機能の問題を明らかにできる点で効果的です。
イラストの内容の記入
次に、イラストの内容を記入する検査が行われます。
具体的にはまず、16種類のイラストの内容を覚えてもらい、その後絵の内容を当てるものです。
記憶力を測定する内容の検査といって良いでしょう。
現在時刻の絵を描く
最後に時計を見て、現在の時刻を円の中に描いてもらいます。
これも時計が示す時刻をそのまま解答用紙に描くため、認知能力を測定する内容です。
認知能力に問題がなければ簡単にできるでしょう。一方、解答できない場合は認知症の疑いがあることを示す問題といえます。
高齢者講習の内容とは
高齢者の運転免許に欠かせない高齢者講習は、いったいどのような内容で行われるのでしょうか。
全部で2時間行われ、座学講習・視力検査・実技講習の3つから構成されています。
最初に座学講習
高齢者講習はまず、自動車教習所の教室で指導員による座学講習から行われるのが一般的です。
主にDVDの視聴と指導員の講義という内容になっています。特に道路交通法の改正内容や高齢者ならではの運転上の注意点が中心です。
次に運転適性検査
座学講習が終わると、次に運転適性検査が行われます。
3種類の視力検査からなっており、動体視力・夜間視力・視野測定を機械を使って行うものです。
自動車の運転で一番大切な要素である視力を検査するだけのように見えます。
しかしとっさに判断できる能力も一緒に測れるため、認知能力の測定にも役立つ内容です。
なお運転適性検査も、座学講習と同じように所要時間が30分となっています。
最後は実技講習
最後に行われるのが、実際に自動車を運転して行う実技講習です。
教習所の教習車を使い、助手席には指導員が乗る、教習所の実技教習と同じ形になっています。
実際の講習内容も教習所内のコースを使って、S字カーブ・一時停止・方向変換を行うものです。
実技講習が終わった後は、ドライブレコーダーの映像を用いてアドバイスを受けます。
そして実技講習まで終われば、晴れて免許更新に必要な講習の終了証明書が発行される流れです。
高齢者の免許証の有効期間
実は高齢者の場合、運転免許の有効期間も高齢者以外の場合とは異なります。
最後にここでは、高齢者の運転免許の有効期間についてもご紹介しておきましょう。
高齢者の運転免許の有効期間は、年齢などによって大きく2つのパターンに分けられます。
まず更新時の年齢が70歳の場合は4年、71歳以上の場合は3年です。
なお更新時の年齢が70歳でも、交通違反の履歴がある場合は3年となります。
ちなみに上記の有効期間は、69歳までゴールド免許を持っていた場合でも同じです。
つまり70歳を超えた時点で、自動的に免許の有効期間が短くなる仕組みといえます。
このため、69歳までのケースと混同しないようにすることが大切でしょう。
まとめ
今回は高齢者の運転免許を更新する方法や注意点を見てきました。
高齢者が運転免許を更新するには、更新に先立って高齢者講習の受講が不可欠です。また75歳以上の場合は、事前に認知機能検査も受検します。
座学講習・運転適性検査・実技講習を受け、終了証明書が発行される流れです。
その終了証明書を更新手続きで提出すれば、晴れて運転免許の有効期限が更新されます。
なお高齢者の運転免許は70歳で4年、71歳以上で3年と69歳までの場合より短いです。
このため運転免許の更新が何年ごとに必要なのかも、日頃からチェックして置くべきでしょう。
ただそれ以上に大切なのが、日頃から安全運転を心がけることです。
判断力が衰えやすい高齢者であるからこそ、日頃から慎重な運転を心がけるべきでしょう。