空き巣は侵入窃盗と呼ばれる犯罪です。
近年の動向として平成14年から平成28年に向けて減少傾向であることが警視庁の統計資料では明らかになっています。
しかしながら、家の周りの様子が不審という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、空き巣の前兆かも?と疑問に思った人に対して、空き巣の前兆から手口、行うべき対策まで徹底解説します。
中でも空き巣の犯人たちが行うマーキングには要注意!
本記事をご覧になって空き巣被害にあわないためにできることを知っておいてください。
空き巣の前兆
空き巣は実際の犯行に及ぶまでの手口の1つにマーキングを残すという過程を踏みます。
空き巣の前兆は、このマーキングをみつけることで把握することができるのです。
平成29年度の警視庁の統計資料によると、空き巣は窓と玄関から侵入するケースが多いことがわかっています。
侵入手段は様々ですが大きく分けると下記の3つに分類できるので確認しましょう。
- ガラスを割って侵入する方法
- 鍵がかかっていない時を見計らって侵入する方法
- 鍵を開けて侵入する方法
そして空き巣が侵入する場合には、玄関に下記のようなマークがつけられている可能性が高いです。
- S:住人は1人暮らしというマーク
- R/ル:留守が多いというマーク
- ア:住人はアルバイトをしているというマーク
- ロ:住人は老人というマーク
- W:住人は女というマーク
マークは犯人によって異なる場合があります。似たような怪しいマークを発見した場合にはすぐに消すことが空き巣の防犯の第一歩です。
空き巣の手口
空き巣に入られないためにも、空き巣の手口を知ることは非常に重要です。
空き巣の手口を把握しておけば、それに対処する施策を行えば良いからです。
そして空き巣が実際に犯行に及ぶまでの手口としては下記の手順があります。
空き巣が狙いやすい特徴の家を探す
空き巣が最も狙いやすい家は一戸建てです。
平成29年度の警視庁の統計によると空き巣被害の約40%は一戸建て住宅であったことが報告されています。
それに対してマンションは約16%と被害にあった家の割合にかなりの差があるのです。
これは、住宅の周囲環境によって空き巣が狙いやすい家とそうでない家があるということでしょう。
環境としては下記のようになっています。
- 公園に近い家
- 周囲がうるさい家
- 新興住宅地
- 角にある家
- 路地の真ん中にある家
家が公園に近い場合には営業マンの休憩にみせかけて家を監視している可能性があり、狙われやすい傾向です。
線路や幹線道路といった周囲に騒音が生まれる環境の場合も要注意!
窓を割った際にも音で周辺住人にバレにくく空き巣は狙いやすい家としてみなすでしょう。
新興住宅地などの場合には、周囲にコンビニや商業施設がないことも多いかと思います。
そのため現金を家に置いている可能性が高いとみなし、マークすることもあるのです。
加えて角にある家は、空き巣の逃走経路が確保しやすいことから犯行に及ぶ可能性があります。
また、路地の真ん中にある家は、他の家から飛び移って犯行に及ぶ場合もあるため注意が必要です。
関連泥棒や空き巣の心理から考える防犯対策 | 狙われやすい家の特徴は?
空き巣が狙いやすい家にマーキングをする
空き巣が犯行に及ぶ手順の2つ目としてマーキングがあります。
マーキングをする際は実際の住人を監視して「住人がどんな人物なのか」を把握します。
例えば、住人の住宅へ出入りする時間や人数や性別、住人の年齢層などですね。
その監視した内容を家の玄関にマーキングとして残すのです。
見慣れない謎の印や、上記で紹介したようなマーキングのマークを発見したらすぐに消すことをおすすめします。
マーキングが油性ペンで書かれていたなら除光液を、シールならシール剥がしを使ってマーキングを消すことが大切です。
引用:マーキングを見つけてしまったときの対処法
空き巣は住人が留守かどうか確認する
空き巣が実際の犯行に及ぶ直前に行う行動として、留守かどうかを確認する行為があります。
実際に平成27年の警視庁の統計結果によれば、空き巣被害にあったうち約68%は昼間の留守中に起こったことが報告されました。
警察庁の統計を見ると、空き巣で被害が多いのは、一般的に不在になりがちな午前10時~午後2時の時間帯です。
引用:空き巣が狙う時間帯と侵入の手口とは?
つまり、しっかりと留守かどうかを確認したうえで犯行に及んでいるということです。
監視した情報をもとにインターホンを鳴らしたり窓から人がいないかを確認。
さらに長期不在であることを知るために郵便物が貯まっているかどうかも確認します。
空き巣が家を下見に来たときの時刻が昼なのに朝刊が玄関の郵便受けに入っている場合などは、留守かどうかすぐにわかってしまうのです。
また、郵便受けに入っている不在通知を見て留守の時間をあらかじめ把握することもできてしまいます。
空き巣が実際に犯行に及ぶ
住人の不在時間をあらかじめ把握した空き巣犯人はついに犯行に及びます。
窓ガラスを割ったり、鍵のかかっていない窓から侵入したり、玄関ドアをピッキングして室内へと侵入するのです。
このように、用意周到、そして念入りに下調べをして行われる犯行が多いのが空き巣の特徴といえます。
では、万が一マーキングのような前兆を見つけたらどうしたよいのでしょうか。
空き巣の前兆を見つけたら行うべき対策「住宅の内側編」
まず、前兆を察知した場合に住宅の内側で対策を施すべき場所は窓周辺です。
窓は空き巣の主な侵入口ですので下記のような対策を行ってみてください。
遮光カーテンなどで中を確認しにくくする
カーテンをしめておくと、窓から留守を確認しにくく犯人が犯行に及ぶ可能性が低くなります。
透けて中の様子が確認しやすいカーテンよりも遮光カーテンにした方が防犯上はかなり有効です。
窓にも必ず施錠をする
窓に鍵をかけない人も多いですが、ガラスを破って侵入する犯人よりも無施錠の窓から侵入する犯行のほうが多いという実態があります。
窓はかならず施錠しましょう。これは上階だとしてもです。
帰宅時間が遅くなる時は洗濯物を外へ出さない
帰宅が遅くなる場合には、洗濯物を外に出しているだけで留守であることがすぐにバレてしまいます。
あらかじめ帰宅時間が遅くなることが分かっている場合には洗濯物を外へ出さないようにしましょう。
窓ガラスを防犯仕様にする
窓ガラスを防犯仕様にすることで窓を簡単に割られる可能性を低くすることができます。
空き巣は犯行に時間をかけたがらないので窓がすぐに割れないことが分かった場合には犯行をあきらめる可能性があるのです。
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金目のものを目のつきにくいところへ隠す
金目のものを高いところや目につきにくいところに隠すのは有効な手段です。
空き巣の犯人は鍵を開けてから長時間住宅内に滞在することを嫌がる傾向にあり、目につきやすいところを中心に素早く行動します。
目線よりも上にある場所や目につきにくい場所にある物は、盗まれる可能性が下がるでしょう。
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空き巣の前兆をみつけたら行うべき対策「住宅の外側編」
住宅の外側で対策すべき場所は玄関口です。
玄関口から空き巣が得られる情報は非常に多いので下記のような施策を施すとよいでしょう。
郵便ポストに鍵をかける
空き巣の犯人は、郵便物から留守の時間や個人情報を引き出す可能性があります。
郵便ポストに鍵をかけて中の郵便物を盗られないようにすることで自分の情報を空き巣犯に与えないようにしましょう。
表札を苗字だけにする
表札を苗字だけにすることは、住宅に住んでいる人数を空き巣に知られないためにも有効な手段です。
下の名前が書かれてしまっていると、人数が割り出されてしまい1人暮らしの場合には空き巣に入られてしまう可能性が高くなります。
また、高齢者が1人で住んでいる場合も、使われている名前から読み取られてしまう可能性が高くなるのであまりおすすめできません。
2階の窓などへ容易に登れるような物を置かない
2階の窓などは、鍵をかけることも少なく空き巣犯がマークしやすい侵入口です。
2階に簡単に登れるような物が置いてあるだけで犯行に及びやすい家としてマークされてしまう可能性があります。
棚などは2階の窓周辺に置かないようにしましょう。
見たことのない人が家の周りにいた場合には挨拶をする
空き巣は留守を確認したり住宅を監視したりしているような時に声を掛けられるだけで、見られているという認識が働き犯行をためらいます。
いきなり話をするのはハードルが高いので、挨拶だけでもすると空き巣にプレッシャーを与えられるでしょう。
玄関ドアに2個以上の鍵を設置する
鍵を2個以上設置することで空き巣対策になるでしょう。
鍵を開ける場合には、ピッキングやサムターン回しと呼ばれる手口が使われます。
ピッキングは地方に多く見受けられますが、平成15年度の法律改正によって取り締まりが強化されたことで、現在は下火になりつつあります。
その代わり、平成14年からはサムターン回しとよばれる解錠方法が主流となってきました。
ドアにドリルで穴をあけて金属棒を差し込んで解錠する方法です。
この作業を1回だけではなく2回踏む必要があると空き巣が判断した場合には、玄関ドアから侵入される可能性は少し低くなります。
そのためにもドアには2個以上の鍵をかけることが効果的だといえるのです。
またサムターンを防止する内鍵専用のカバーなどで対策するのもおすすめですよ。
監視カメラをつける
玄関口に監視カメラをつけておくだけで空き巣は嫌がります。
ダミーのカメラであっても警戒していることを空き巣に表明しているようなものなので犯人は警戒して犯行に及ぶのを嫌がることもあります。
もちろん、アプリで管理できるような監視カメラをつけたりしたほうが警察への連絡もスムーズになるためおすすめです。
しかし費用面で節約したい人はダミーのカメラだけでもつけておくとよいでしょう。
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空き巣の前兆をみつけたら行うべき施策「マンション編」
4階建て以上のマンションにおける対策で注意すべきポイントは合かぎと表出入り口の施錠忘れです。
マンションでは窓からの侵入だけではなく表出入り口の侵入の割合が非常に高くなっていることが統計データで明らかになっています。
特に多いのはガラスを割って侵入・無施錠の入り口から侵入だけではなく、合かぎによる侵入です。
3階建て以下のマンションの侵入手段では無施錠とガラス破りの手口が多く使われるため、一戸建て住宅と対策にあまり変わりはありません。
しかし4階建て以上になるとオートロックがついているマンションも多く、住人も安心して玄関の近くに合かぎを隠すケースは少なくありません。
合かぎの場所が空き巣に分かってしまった場合には留守を狙われる可能性が非常に高くなります。
合かぎは必ず複数つくり各住居人が持ち運ぶようにしたほうがよいでしょう。
関連空き巣の防犯対策 | 空き巣に入られやすいアパートやマンションの特徴は?
空き巣に入られてからではなく、今防犯しましょう
空き巣に入られて警察を呼んだとしても、被害にあった金品が戻ってこない場合もあるのをご存知ですか。
刑法上窃盗罪の罪に問われた者に対して10年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑罰は定められています。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
引用:刑法第235条
しかしながら、窃盗した金品の返却の義務に関しては法律上規定されているわけではないからです。
窃盗の被害者への返還義務について直接的には規定した法律はありません。
引用:窃盗で盗まれたお金は返却されるのか?
大切なものがなくなるまえに、空き巣の対策をしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「自分の家は大丈夫だろう」と安心していると、万が一の時に全て失うことになりかねません。
空き巣には前兆がありマーキングするということがお分かりいただけたかと思います。
一軒家・マンションに限らず空き巣犯は狙いを定めていますので、防犯対策は怠らないようにしたいものですね。
本記事で紹介したように、空き巣の手口を知ることは、防犯上有効な方法です。
空き巣の前兆を感じ取った人はすぐにできる対策は行いましょう。
空き巣の侵入口は窓か玄関口の2つに限定されます。
鍵を閉める事はもちろん侵入口付近の防犯対策を行うだけで空き巣に対する防犯になるのです。
年々犯罪も巧妙化してきていますので、被害に遭う前に前兆を察知して必要な対策を行ってください。