1996年に流行語として注目された“おやじ狩り”という言葉。
最近はあまり聞かなくなってきましたが、その犯罪行為自体が無くなったわけではありません。
実際に、2019年1月には東京都町田市で9人の少年グループによるおやじ狩り事件が発生。
帰宅途中だった会社員の男性(40)に「メンチ切ってんじゃねえぞ!」「金を置いてけ!」などと因縁をつけ、現金およそ1万3000円を奪った疑い
引用:町田で少年9人がオヤジ狩り
各局のニュース番組を始めネットニュースでも話題になりました。
その後も都市部に限らず、全国各地の地方でもおやじ狩り事件は発生しています。
時には殺人事件に発展するケースもあるおやじ狩り。その被害に遭わないためにはどうすれば良いのでしょうか?
被害に遭わないための対処法を詳しくご紹介します。
明るい場所でも発生!おやじ狩りで狙われやすい場所とは?
これまでに起こったおやじ狩り事件の内容を見比べると、被害に遭った状況の共通点が浮かび上がります。
一つは、被害に遭った場所の特徴です。
以下を踏まえ、ご自身が夜間よく立ち寄るところで当てはまる場所が無いか、一度考えてみてください。
その場所を通らないようにするだけでも、おやじ狩りの被害に遭う確率を低くすることができますよ。
公園の敷地内や脇道
「公園を突っ切ると家までの近道」というケースも多く、夜間の公園を帰宅中に通っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、公園に設置されている公衆トイレや遊具類は、犯行を計画している少年達が身を潜めやすい場所です。
さらに、夜間の公園や脇道は死角が多く人目につきづらい為、犯行が他の人に目撃されにくいという特徴もあります。
これだけの条件が揃っていれば、おやじ狩りの被害に遭いやすい場所というのも納得いきますね。
いくら近道であっても、犯罪被害に遭ってしまっては大変です。 夜間の帰り道だけでも、他に安全なルートがないか今一度考えてみましょう。
街灯の少ない住宅街
住宅街ならすぐそこに人が住んでいるので安心だろうと考えてはいませんか?
家の中というのは、意外と外からの音が聞こえにくいものです。 また明るい室内から暗い外を見ても、あまり良く見えません。
そういったことから、住宅街での犯行は意外と気づかれにくい傾向にあります。
自宅の立地などの理由でどうしても夜間に住宅街を歩かないといけない場合は、周りに十分注意しながら歩くようにしましょう。
コンビニやお店の裏路地
これは意外なのではないでしょうか?
夜間でも明るく、人の出入りがあるコンビニやスーパー・飲食店などのお店は安心しがちです。
しかし、併設している駐車場や裏側の路地は死角になっている場合が多く、そういった場所でおやじ狩りが行われるケースが後を絶ちません。
おやじ狩りを行う少年達の動機のほとんどが「遊ぶ金欲しさ」。
コンビニ前で集まって話すうちに、遊びたいけれども金が無いという話になり、おやじ狩りを計画するパターンも多いのです。
近くに人がいるからと油断せず、死角に入らないように注意しながら歩きましょう。
夜中だけじゃない?!被害に遭いやすい時間帯
おやじ狩りのニュースでよく耳にするのは、だいたい夜中の遅い時間帯です。
しかし、その時間帯だけ注意しておけば良いというわけではありません。
日が暮れて間もないような比較的早い時間帯に発生し、殺人事件に発展した凶悪なおやじ狩りのケースもあります。
それぞれの時間帯別に注意すべきポイントをご紹介しましょう。
午後8時〜午後10時までの時間帯
仕事が終わり、帰宅途中のサラリーマンが最も多い時間帯です。
人通りがある大通りなどは問題ないのですが、一本横の路地に入ると、この時間帯ですでに人はまばらで道も暗いというところもあります。
おやじ狩りを行う少年達は、仲間内で連絡を取り合い、犯行現場を決めて人が通るのを待ち伏せするというパターンが多いのです。
つまり、帰宅者の多い時間帯であっても、場所によってはおやじ狩りの被害に遭ってしまう可能性がある為、注意が必要になります。
午後10時以降の時間帯
午後10時を過ぎると帰宅途中の人も少なくなり、街灯のある大通りであっても人通りはまばらになります。
多くの住宅で明かりが消えて寝静まる時間帯になる為、犯行が第3者に目撃される可能性が一気に低くなるのです。
実際に、おやじ狩りなどの路上強盗事件の約半数が午後10時〜午前4時の間に発生しています。
服装や歩き方も要注意。ターゲットにされないためには?
場所と時間帯以外にもおやじ狩りの被害に遭いやすい人に共通する特徴があります。 それは、見た目です。
実際におやじ狩りで捕まった少年たちは、被害者を襲った理由について下記のように話しています。
- 弱そうだったから。
- 少し暴力を振るえばすぐに財布を出しそうだったから。
全ては見た目で判断されますので、ちょっとした工夫で被害に遭う確率を低くすることができるのです。
服装
いかにも中年サラリーマンという服装をしていませんか?
スーツが着崩れていたり、靴や鞄の使用感が目立っていたりすると、それだけ疲れた弱々しい印象を持たれやすくなります。
疲れていても、スーツの着崩れをしっかり直してから職場を出ましょう。
また、ダメージが目立つようになった靴や鞄は思い切って買い換えるなどして、日頃から対策を行うようにしてください。
歩き方
夜間、仕事などの帰り道に以下のような歩き方をしていませんか?
- 猫背になっている
- 歩くスピードが遅い
- ため息をついたり、下を見ている
- スマホを触っていたり、イヤホンやヘッドホンをつけている
このような歩き方は疲れているように見えるため油断していることが分かりやすく、おやじ狩りの標的になりやすいのです。
背筋を伸ばし、しっかりとした足取りで周りを見ながら歩くだけでも、印象は大きく変わります。
騙されるケースのおやじ狩りも増えている
おやじ狩りといえば道端で少年達が中年男性を取り囲んで暴力を振るい、金品を奪い取るというイメージがあるかもしれません。
しかし、近年はもう少し複雑なケースも発生しています。 代表的なものを2つ例に挙げてご紹介しましょう。
壊れた携帯で因縁をつけられたおやじ狩り事件例
平日の午後7時ごろ、電気工事作業員の64歳の男性が帰宅途中に少年達から暴力を受け、財布を奪い取られる事件が起きました。
実行犯の少年達はあらかじめ壊れた携帯電話をポケットに用意し、男性とすれ違った際にわざと落として「携帯が壊れた」と因縁をつけて恐喝。
男性は倒されたり蹴られたりといった暴力を振るわれ、現金やクレジットカードが入った財布を奪われたという事件です。
すれ違った際にあらかじめ用意していた壊れた携帯電話を落とし、「携帯が傷ついた。いくら持っている」などと恐喝。男性が逃げようとしたところ、投げ倒したり蹴ったりしたうえ、現金5千円やクレジットカードなどが入った財布を奪ったとしている。男性は全身に1週間のけが。
引用:「おやじ狩り」で容疑の3少年逮捕 壊れた携帯用意し因縁 警視庁
女性トラブルが絡んだおやじ狩り事件例
少年少女ら4人がファミリーレストランに集まって話していたところ、「カラオケに行きたいが金がない」という話になりました。
そこから出会い系サイトを使って援助交際目的の男性を誘い出し、暴力を振るって現金を奪おうという計画が持ち上がり、実行に移します。
少年少女らは出会い系サイトで知り合った男性との待ち合わせ場所として人目につかないところを指定。
現れた男性を全員で取り囲んで暴行、金品を奪い取るという事件です。
他にも痴漢被害を装って言いがかりをつけるなど、女性トラブルを絡めた同様の事件が増えています。
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おやじ狩りに遭わないための具体的対策
おやじ狩りを行う少年達に共通していることは、犯罪の意識があまり無く、軽い気持ちで犯行に及んでいるということです。
強盗致傷罪という重罪の自覚がほとんどなく「軽いノリ」で思い立つ
引用:おやじ狩り(Wikipedia)
襲いやすそうな標的を見つけ次第、衝動的に行動します。 その為、標的にならないように具体的な対策をする必要があります。
服装・歩き方
弱々しい印象を持たれないよう、夜道を歩く際は周囲に注意を払いながら、しっかりとした足取りで歩くように心がけましょう。
背筋を伸ばして前を向いて歩くだけでも見た目の印象が変わります。
また、服装もダメージの目立つものや使用感があるものはできるだけ身につけないようにしましょう。
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場所・時間帯
夜10時以降は特に注意が必要な時間帯です。
できるだけ人通りの少ない道や公園の近く、住宅街の通行は避けましょう。
どうしても通らないといけない場合は十分に周囲を注意しながら歩きましょう。
また人の出入りがあるコンビニやお店の近くも、駐車場などは死角になり人の目が届かない場所があります。
そういった場所でも油断せず、死角に入らないように注意しましょう。
防犯グッズ
時間帯・場所に気をつけていても、どうしても暗い道を通らないといけない場合や遅い時間の帰宅になってしまう場合もあります。
そういった時に役立つのが防犯グッズです。
夜間の路上では性別問わず犯罪に遭うことがあるため、成人男性でも防犯グッズを持ち歩く人が増えてきています。
その中でもおやじ狩り対策としておすすめの防犯グッズは以下のとおりです。
- フラッシュライト
- 携帯用催涙スプレー
この2つは鞄に入れて持ち運ぶことができるので、いざという時に重宝します。
特にフラッシュライトは、手に持って歩くだけでも用心していることが伝わり、災害時などでも活用することができる為、おすすめです。
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まとめ
おやじ狩りという言葉はあまり聞かなくなりましたが、中年男性が被害に遭う路上強盗事件は最近でも発生しています。
仕事などの帰り道、夜遅い時間帯に人通りの少ない道を歩くのはできるだけ避けるようにしましょう。
どうしてもそういった道を歩かないといけない時は、周囲に十分注意しながら、防犯グッズなども活用して身を守りましょう。
「男性だから」と油断せず用心を怠らないことが一番の防犯になります。
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