電子計算機使用詐欺をわかりやすく解説 | 事例や見破るポイントは?

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インターネットやスマホの発達により、ネット上、クラウド上での犯罪が増加傾向にあります。

かつての空き巣、強盗等のアナログな犯罪から、今やネット詐欺やハッキング等のデジタル犯罪が主流とも言えるでしょう。

そのデジタル犯罪の一つ「電子計算機使用詐欺」。この名前を聞いてピンとくる方は余り多くないかもしれません。

しかし、実際の事例を見ていくと、実は日常の生活に密着した、誰に対してでも起こり得る犯罪だというのが分かるでしょう。

では、具体的にどういった犯罪の事を指すのか、どういった事例があるのか、そしてその対策等を徹底解説していきます。

電子計算機使用詐欺とは

そもそも電子計算機使用詐欺とはどういった犯罪の事を指すのでしょうか?その犯罪の定義からまずは見ていきましょう。

電子計算機使用詐欺とは

簡単に説明すると、電子計算機使用詐欺とは人ではなく、機械を騙して行う詐欺の事を指します。

事務処理される電子計算機に、虚偽の情報や記録の改ざんを行う事で財産権の得喪を行う詐欺行為等がこれに当たります。

つまり、電子記録に嘘の情報等を書き込む等で詐欺を行うのです。別名「コンピュータ詐欺罪」とも呼ばれます。

法定刑は詐欺罪と同様、10年以下の懲役となります。

1987年新設の刑法

この法令の歴史は意外に古く、新設されたのは1987年です。また、新設された経緯は昭和50年代まで遡ります。

昭和50年代に、ゲームセンターのゲームをタダでプレーすることができる裏ワザ情報が広まりました。

その後、1980年代後半になると、今度はテレホンカードの偽造が社会問題になりました。

スマホが普及した現在、テレホンカードを知らない方もいるかもしれませんが、公衆電話で使用するカードの事です。

現在では、明らかに犯罪行為だと分かりますが、当時はこの様な不正を罰する法律がありませんでした。

いずれのケースも他人から直接物を奪ったりする行為では無い為、詐欺罪や窃盗罪のいずれにも該当しなかったからです。

これを取り締まる為に1987年に、詐欺罪の1つ「電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)」として新設されました。

どのような手口がある?

電子計算機使用詐欺は、不正に電磁的記録を改ざんする等で、最終的に財務上不法の利益を得ることです。

では、電子計算機使用詐欺とはどのような手口があるのでしょうか。

電子計算機使用詐欺には大きく二つのパターンがあります。具体的に解説していきます。

不実の電磁的記録を作出する

1つ目は、不実の電磁的記録を作出するというものです。簡単に言うと記録を書き換えるという事。

事務処理するコンピュータに虚偽の情報を入力したり、改ざんをする手口です。

元帳の残高を不正に変更する等がこの行為に当てはまります。

虚偽の情報から不正にサービスを得る

2つ目は、財産権の得喪・変更に係る虚偽の電磁的記録を悪用する行為です。

簡単に言うと、虚偽の情報を使って何らかのサービスを不正に得るというものです。

偽の情報をコンピュータに読込ませて利用する等の行為で、先述したテレホンカードの偽造はこれに当たります。

他人のクレジットカードを無断で使用する

無断でクレジットカードを使った場合も電子計算機使用詐欺に問われます。

この場合、カード情報自体が不実・虚偽ではないものの、保有者自体が認識が無い。

つまり利用した人間は自分が所有していない、偽りの情報を悪用したとして電子計算機使用詐欺と認められたケースがあります。

具体的事例

ここからは電子計算機使用詐欺がどういったものなのか理解する為に具体的事例を見ていきましょう。

分かりやすくするために、比較的直近の事例を紹介します。

コインチェックNEMクラック事件

2018年1月に起こった事件で、仮想通貨交換業者のコインチェックから多額の仮想通貨ネムが流出した事件。

ネムとは仮想通貨の1つで、ビットコインのようなものです。

5億2300万ネムは、流出時点のレートで換算すると約580億円と言われ、これは全て顧客の資産でした。

マルウェアに感染による不正アクセスが原因とされており、電子計算機使用詐欺の最も現代的な代表例と言えます。

スミッシング詐欺

Network security system and protection of personal data.
Businessman using laptop.

スミッシング詐欺とは、金融機関等と偽ったSMS、メールを送信し、送信者を詐欺サイトに誘導するものです。

2017年に、「Google」を装ったメールを送信し、スマホ等の端末がウイルスに感染したと虚偽の情報を提供。

詐欺サイトに誘導し、架空のセキュリティソフトを販売。不正に利益を得たとして2人組の男が逮捕されました。

「じゃらん」詐欺事件

2015年の事件で、リクルートが運営する旅行サイト「じゃらん」のキャンペーンを悪用した詐欺事件です。

新規顧客に1,000円分のポイントプレゼントするキャンペーンを不正に利用し、ポイント分の現金を騙し取りました。

関与した男2人は逮捕されています。

佐川印刷事件

佐川印刷元取締役と建設コンサルタントが、佐川印刷の子会社の資金を騙し取った、2010年の事件。

インターネットバンキングに虚偽の情報を入力して、合計29億円もの資金を騙し取るという、大事件でした。

被害にあった際の対処方法

実際に被害にあった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?警察への相談の他、自分でできる対処方法を紹介します。

サイバー警察へ相談する

警察署の中でも、ネット上等で起こるデジタル犯罪に特化した、サイバー犯罪対策課という部署があります。

まずは、そこに相談するようにしましょう。また、警察庁はインターネット・ホットラインセンターを運用しています。

そこへ詐欺などの通報があれば、違反情報を記載している詐欺サイトの削除等も実施します。

クレジットカードは止める

サイトにクレジットカードの情報を誤って登録してしまった等の場合は、直ぐにクレジットカードに連絡しましょう。

必要に応じて、クレジットカードを一時的に止める等の対策が必要になります。

具体的な対処法は、クレジットカードの窓口に相談しましょう。

アカウントのパスワードを変更する

appleLINE等、IDが盗まれ不正に利用される恐れがある場合はアカウントのパスワードを変更するのがおすすめです。

実際に悪用されて、不正な請求が立ってしまった場合等は、直接サービス提供元へ相談するようにしましょう。

被害を防ぐには

インターネットの普及により、電子計算機使用詐欺は、サイバー犯罪の1つとして認識されることが多いようです。

つまり、防犯対策はサイバー犯罪に対するセキュリティ対策と近いものになります。

具体多岐な防犯対策をご紹介します。

怪しいSMS等に気を付ける

最も多い電子計算機使用詐欺のパターンとしては、怪しいSMSを送信して詐欺を行うというものです。

詐欺まがいの通知かどうかを見極めるポイントとしては2つ。

1つ目は、メールアドレスが怪しいという点です。

メールアドレスがランダムな英数字の羅列である、やたら長いなどが特徴です。

また、佐川急便等、どこかの業者を装ったメール等の場合、かなり似通ったメールアドレスを用いていることがあります。

類似していても、その業者の本物のメールアドレスとは必ず異なるはずです。

サービス提供元に確認するようにしましょう。

2つ目としては、多くの場合、詐欺メールはリンク先を添付して送信されます。

そこのリンクにアクセスしてしまうと、アカウント等の情報が盗まれるということになります。

リンク付きのメールは、まずそのメールアドレスが正しいか、覚えがあるかなど確認するようにしましょう。

パスワード等の定期的な変更

多くの方が、何かしらのアカウントを持っているかと思います。

その際はそのパスワードを定期的に変更するのが良いでしょう。

また、パスワードもできだけセキュリティ度の高いものにするのがおすすめです。

知識を付けて万全を期す

スマートフォンのログイン画面

詐欺罪の1つである電子計算機使用詐欺。

その言葉は聞きなれないものでも、犯罪自体は身近なものであるという事がお分かりいただけたのではないでしょうか。

また昨今、電子計算機使用詐欺はサイバー犯罪の1つとして認識されることが多くなっています。

これはスマートフォン等におけるネット利用の普及に起因しており、この手の犯罪数の増加はある意味当然と言えるでしょう。

それに伴い、サービス提供側もワンタイムパスワードや、二段階認証システムを導入する等セキュリティ対策も向上しています。

しかしながら、このような犯罪はいたちごっこの一面があります。

第三者側だけではなく、ユーザー側も万全の対策をしておくに越したことはないでしょう。

本サイトの記事は犯罪に巻き込まれない、犯罪を未然に防ぐという観点から書かれたものであり、 実際に犯罪に巻き込まれた場合や身に迫る危険がある場合はすぐに最寄りの警察署までご相談ください。

■警察庁 各都道府県警察の被害相談窓口
https://www.npa.go.jp/higaisya/ichiran/index.html