全ての家屋が赤外線センサーを取り付けているわけではないので、「どうして必要なのか」と疑問を抱いている人もいるでしょう。
しかし、赤外線センサーは家の住人を危険から救ってくれる大切な機器です。
といってもまずは赤外線センサーの機能や仕組、どんな風に防犯に役立つのかを知らないと興味も必要性もピンときません。
そこで今回は、赤外線センサーについてその種類や仕組みを徹底解説します。また、設置の仕方や防犯効果を高める機能もご紹介しましょう。
赤外線センサーの重要性や機能を知りぜひ防犯に役立ててくださいね。
赤外線センサーの重要性!どうして取り付けるべきなのか
まずは、赤外線センサーの役割から説明します。自宅の安全を守るには、防犯への意識がいくらあっても過剰ということがないのです。
防犯で大切なのはまず「そもそも侵入させないこと」
警備会社と契約をしていたり、監視カメラを設けたりしている人はつい「これで万全だ」と油断してしまいがちです。
しかし、そもそも防犯における最大の目的は「犯人を捕まえること」でも「侵入の証拠を残すこと」でもありません。
侵入をさせないシステムがあるかどうかが重要なのです。
赤外線センサーは侵入を企む犯人を察知し、警鐘を鳴らすための機器。
何よりも目立つ状況を嫌う犯罪者は、赤外線センサーに気づいた時点で引き返す可能性が高くなります。
もしも侵入されてもすぐに状況を把握できるように
どれだけ厳重に侵入対策を取っていても、犯罪者に立ち入りを許してしまうリスクを完全には消せません。
ただ、屋外と屋内で二重に赤外線センサーを取り付けておけば、侵入後の犯人に反応できます。
いち早く通報したり退避したりして、危害を加えられるのを防げるのです。
また、アラームが鳴るなどした時点で犯人が驚いて逃げていくこともありえます。
つまり赤外線センサーは家族が安全に暮らしていくうえで、もっとも肝心な防犯グッズのひとつといえるのです。
赤外線センサーの仕組みを解説!どうやって防犯に役立つのか
大きく「アクティブセンサー」と「パッシブセンサー」の2種類に赤外線センサーは分けられます。
それぞれ仕組みが異なるので状況に応じて使い分けることが大切です。
ビームを発射するのが「アクティブセンサー」
アクティブセンサーには「近赤外線」と呼ばれる技術が使われています。
センサー自体から放たれる赤外線ビームを意味し、小さな物体であっても反射した瞬間を検出可能です。
ただ、そのままだと木の葉や埃といった何でもない物質にまで反応しかねません。
そこで、ビームを受光した量によってセンサーが鳴るよう調整することができる仕組みになっています。
なお、センサーの形としては円柱型が目立ちます。
投光器と受光器が2つに分かれているものと、一体化している種類があるのも特徴です。
赤外線を受信するのが「パッシブセンサー」
自らが赤外線を発するわけではなく、対象が放つ赤外線を感知する仕組みになっているのがパッシブセンサーです。
人体表面からはごくわずかながら赤外線が発信されています。これを「遠赤外線」と呼びます。
パッシブセンサーは遠赤外線へと敏感に反応し、侵入者を住居人に告げるのです。
ちなみに、遠赤外線は分解能が低いので小さすぎる物質は看過してしまうのが欠点でもあります。
ただ、人間ほどの大きさなら十分にセンサーは起動しますので誤作動もなく使うことができるでしょう。
状況別!赤外線センサーの種類の選び方
アクティブセンサーとパッシブセンサーの機能を比較し、建物や施設に向いている商品を選びましょう。
また、同じ建物の敷地内であっても設置場所によって適した商品は変わってきます。
アクティブセンサーは玄関や庭に取り付けよう
ビームを遮る全ての物体を検知できるのが、アクティブセンサーのメリットです。
そのため、何らかの物体が建物に近づいてきたことを知りたい場合に、アクティブセンサーは効果を発揮します。
玄関や車庫、庭といった敷地内の重要な部分に取り付ける商品として重宝されています。
また、女性にとっては風呂場やトイレの窓から不審者に覗かれるのも大きな脅威となるでしょう。
窓の外にアクティブセンサーをつけておけば、怪しい動きにもすぐ対応できます。
センサーが侵入者を検知した後には、アラームやライトの点灯などで警告を発するのが一般的です。
パッシブセンサーは建物内に取り付ける
アクティブセンサーが敷地内の防犯に使う種類なら、パッシブセンサーは建物内の防犯に使う機種です。
建物内に侵入してくるのはほとんど人間と見て間違いがありません。
大きな物体を検知できるパッシブセンターは十分に役割を果たしてくれます。
廊下や階段などに設置するほか、寝室や書斎といった気になる空間をカバーするのもおすすめですね。
パッシブセンサーもアクティブセンサーと同様、アラームやライトで危機を知らせるように設定しておきます。
屋外用の赤外線センサー!検出距離を比較
赤外線センサー選びで重要なのは「感度」と「検出距離」です。屋外用のセンサーなら、よりこの2項目が大事です。
ただし、いずれも単に高かったり長かったりするだけで優れているとはいえません。
設置する場所によって必要な仕様を選びましょう。以下、人気商品の規格を比較していきます。
小型拡散反射型赤外線センサー TLS500
株式会社セーフティーテックによるコンパクトサイズの商品です。
検知距離は6メートル以内で、直射日光100000Luxまでなら干渉されません。
邪魔にならないサイズ感であり、屋内用のセンサーとしても愛用されています。
設置が簡単なのもメリットです。自宅のセキュリティであれば問題ないでしょう。
位相差ディスタンスセンサー DX-7AH
最新技術を用い、7メートルもの検出距離が実現しています。
投光波と受光波のギャップを検知して計測するため、対象の色や動きに惑わされることが減りました。機能の安定性が魅力です。
長距離赤外線センサー PH-600SE
広大な敷地をカバーするために作られた、株式会社レノックスの商品です。
赤外線センサーの警戒距離は最大600メートルと、トップクラスの性能を誇っています。
唯一の欠点は検出距離が広いため、雨や霧などの悪天候で赤外線を遮断するものが多くなると感度は低くなる点です。
ただ、そのときは受信部に警告を発して機能が落ちていることを知らせてくれます。
赤外線センサーの能力を引き出す工夫とは?
実用する段階では、些細な工夫で赤外線センサーの防犯効果は向上します。
ここからは、すぐに実践できるポイントを挙げていきます。
設置する際の角度に気をつけよう
赤外線センサーがなるべく広い範囲を検出できるよう、角度にこだわって取り付けましょう。
多くの商品は壁面以外にも固定するため、ネジ穴付きとなっています。
庭の木や柵などなら比較的簡単に設置できるのでおすすめです。
ただ、風で揺れないくらいしっかりネジをしめることが大事です。また、なるべく地面に赤外線が向かないような角度を意識します。
それよりも、人間の上半身を検知することを考えましょう。
地面を走る野良猫や野良犬を頻繁に検知していると、防犯効果が薄まってしまいかねません。
なるべく寿命が長くなるように
赤外線センサーが頻繁にトラブルを起こすようでは、そのたびに調整をする手間がかかります。何より、その間の危険が増すでしょう。
赤外線センサーは耐久性の高さで選ぶのもひとつの方法です。
たとえば、センサーと連動して点灯するライトは、白熱灯だとそれほど長持ちしません。
やや高価にはなってもLEDだと寿命が延びます。
また、屋外のセンサーには風や雨をよけるカバーなどを被せておくのがおすすめ。
雨だれが機械に侵入してしまうと故障を起こすリスクが高くなるからです。
赤外線センサーに備わっている機能をフル活用
多くの商品に備わっているものから一部の商品だけのものまで、赤外線センサーには防犯効果を高める機能があります。
これらを活用すると、さらに侵入者対策が充実します。
テスト機能と時間設定
センサーを設置する前にはテスト機能を利用しましょう。センサーの前に手をかざし、どれくらいの距離なら検出されるかを確認します。
どのあたりにどの角度で取り付けるかを決める際、テスト結果を参考にすると便利ですよ。
また、時間設定も工夫しましょう。赤外線が対象物を検出してから、ライトやアラームを作動させるまでの時間です。
短すぎては頻繁に警告を鳴らしすぎますし、長すぎては侵入者を検知できません。
0.5秒ほどにしておくのが目安です。
2段ビーム同時遮断方式
誤作動に悩まされたくないなら積極的に利用したい機能です。
従来の赤外線センサーは1段のビームを遮断することで侵入者を検知していました。
しかし、それでは木の葉や鳥などによる誤作動が起きやすくなります。
2段ビーム同時遮断方式の場合、2段出ているビームの両方を遮断しなければ対象物は検知されません。
人や車などの大きな相手にだけセンサーが反応する仕組みです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「いらないでしょ」と思われがちな赤外線センサーについて解説してきました。
使い方次第では住所侵入や家屋・車へのいたずらなどの防犯に効果を発揮してくれることが分かっていただけたかと思います。
赤外線センサーは企業のオフィスや倉庫だけでなく一般家庭にも取り付けたい防犯グッズですね。
種類によって仕様や性能は細かく変わるので、用途に合わせた商品を選びましょう。
そして何よりも、防犯対策への意識を持つことが大切ですので、ぜひ赤外線センサーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。