住まいを守るために、何らかの防犯対策をしている方も多いと思います。
セキュリティ技術の向上で確かに侵入犯罪そのものの件数は減少傾向にあるものの、未だ空き巣被害を含む犯罪はあとを断ちません。
特にその手口は悪質になっていて、時には侵入に気が付かないこともあるようです。
本記事では、侵入犯罪の手口、特にサムターン回しについて詳しく説明し、大切な住まい、財産、安全を守るための防犯対策についても言及していきます。
まずはじめに、サムターンとは
サムターンとは、ドアの室内側についている、錠の開け閉めを行うために使う金具のこと。
引用元:https://www.miwa-lock.co.jp/lock_day/sp/glossary/lock/2.html
鍵を使うことなく施錠できるもので、知っている方も多いかと思います。
ツマミを捩じるだけで扉の施錠ができ大変便利ではありますが、実はこの簡単さが落とし穴になってしまうことがあるのです。
犯罪の手口
サムターン回しとは
サムターン回しとは、ドリル等でドアに穴を開けたうえで金属製の棒状の器具を用い、サムターンを回転させてドアを解錠する手口のことです。
ちなみにドリルで穴を開けることをドリリングといいます。
上記が代表的な手口ですが、近年ではその手口は悪質になっているようです。
ドアとドア枠の間に工具を差し込み無理やりこじ開けるケースや、ドアスコープからアプローチするケースもあります。
代表的手口の場合、ドアに穴を開けることが必要になるのですが、ドアの材質によっては比較的簡単に穴を開けられてしまうことも。
手慣れた侵入者の場合はハンドドリルなどの器具を用いることもあるようで、電動ドリルと違い、周囲に気づかれることなく簡単に侵入されてしまいます。
従ってドアの材質が頑強でない場合は特に注意が必要といえるでしょう。
ドリリングとは
ドリリングとは前述のようにドリルを用いドアに穴を開けることを指しますが、狭義ではシリンダーそのものに穴を開け直接のアプローチを行うこともあります。
シリンダーへのドリリングに関しては、シリンダー内部に焼き入れ部品や超硬部品が入った製品で防ぐことが出来ます。
ケースへのドリリング攻撃に対しても、CP認定錠のシリンダーを用いることや、あるいは二重に補助錠と補強部品を併せて取り付けることで防御可能です。
ドアスコープを用いた手口
ドアスコープが付いているドアも多いですが、こちらは本来は室内から外部の様子を把握するための便利な部品のはずです。
しかし犯罪者の手にかかれば、ドアスコープからサムターンを回すことも可能で、部品そのものを外し、できた穴から特殊な工具を入れてサムターンを回してしまいます。
こちらも、ドアの隙間から工具を入れる方法と同様に大きな音が鳴らないため、気づかれぬうちに侵入されてしまうケースがあるようです。要注意ですね。
データで見る侵入犯罪の現状
住宅における防犯対策の重要性
刑法犯認知件数は、平成8年から平成14年にかけて増加し続け、同年には約285万件に達しました。しかし、平成15年からは減少に転じ、平成30年中は81万7,338件と、戦後最少を更新しました。このうち、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数についても減少傾向にあるものの、平成30年中は約3万2千件もの発生がありました。
御自身や御家族の安全と財産を守るため、侵入窃盗の現状を確認しておきましょう。
引用元:https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
上記に挙げたデータからわかるように、防犯対策が功を奏してか、侵入犯罪そのものは減少傾向にあることがわかります。
しかしながら、毎日86件ほどの侵入犯罪が日本国内で発生し続けていることも事実です(平成30年時点での統計による)。
また、そのうち1/3ほどが空き巣被害であることから、住宅における防犯対策の重要性がうかがえます。
ぜひ本記事を参考にして、御自身や御家族を守るべく対策を講じましょう。
サムターン回しの被害の現状
施錠被りの手口では多いのは以下の通りです。
1番多いのは合鍵による侵入、2番目は『その他』となっており、次いで3番目に多いのがサムターン回しによる被害
引用元:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jousei.html
かつて施錠破りといえば代表的な手口はピッキングでした。現在は、サムターン回しのほうが手口として多くなっているのです。
また、共同住宅だから安心ともいえません。
データによれば、被害件数は実に一戸建ての約4倍となっており、侵入口が限られる共同住宅のほうが狙われやすいと推測されます。
サムターン回しの防犯対策とおすすめのサムターン
多数の製品が販売されています。こちらについても、お住まいの住宅タイプやライフスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
費用的には、部品そのものは数千円から入手できますが、工事にかかる諸費用まで勘案するとやはり数万円は見越す必要がありそうです。
しかし犯罪を未然に防ぐことを考えれば、価値ある経費かもしれませんね。
補助鍵の設置
こちらの章では、いよいよ具体的な対策について述べていきましょう。
まずこれまでのことからも、玄関の鍵が1つだけという場合は補助錠の設置を検討した方が安全であることが分かります。
侵入に5分かかると約7割の侵入者があきらめるといわれています。
泥棒の立場からすれば、破鍵にかかる時間が長引けば長引くほど通報される危険性が増しますので当然ですね。
鍵を二重に取り付けることで侵入犯罪を防げるなら検討の価値はありそうです。
費用的には、新たに補助錠を取りつける際は本体代金、作業費、出張費等を勘案し、目安は2万5000円~5万5000円程度です。
※使用する製品やドアのタイプ、地域などによって異なります。
ただし、賃貸住宅の場合はこの方法は容易には導入できませんね。
その場合は、サムターンカバーなどを用いて簡易的に予防するだけでも幾ばくかの効果はあるでしょう。
おすすめの防犯サムターン
防犯サムターンは色々なタイプが販売されています。価格はものによりまちまちではありますが、お住まいの住宅タイプ、ライフスタイルにより比較検討されるとよいでしょう。
電池式電動サムターンユニット『PiACK II』
既存の錠前に取り付けるため取り付け簡単な電子ロックタイプのサムターンです。
起動スイッチにより施錠することができるすぐれもの。
カード式とテンキーとの2タイプがあるため利便性を重視して選ぶことができますね。
GOAL純正・TM型防犯サムターン
初めての方にも取り付けが簡単なこちらのサムターンの特徴は偏荷重がかかるとサムターンがロックする構造です。
集合住宅やマンションでも取り付けられるため人気です。
様々なタイプのサムターン
サムターンには用途や使い方によっていろいろなタイプがあります。取り付けやすいものもおすすめですが、機能性で選ぶのもいいですね。
切り替え式サムターン
スイッチの切り替えによってサムターンが空転し、侵入被害を防ぎます。
特殊機構のサムターン
不正開錠する場合は、こじ開けることでサムターンに偏った力が働きます。特殊機構タイプのサムターンは偏心した力では回らない構造になっています。
スライドスイッチ付きサムターン
スライドスイッチを動かさないとサムターンが回らない構造になっているため、侵入者にとっては不正開錠の手順がややこしくなります。
スイッチ式サムターン
サムターンの上下にスイッチが付いたタイプです。上下のスイッチを押し込まないとサムターンを回すことができません。
こちらは上記スライドスイッチ式と比較すると、通常のサムターンと同じ指の動きで解錠できるため、住む人にとっては利便性があると考えられます。
まとめ
防犯サムターンは侵入犯罪の防止に有効ではありますが、犯罪を完全に防ぐものではありません。
防犯にはまず住まわって居られる当事者の防犯意識の向上が第一といわれますが、決して対策を過信することなく、万一にも侵入被害を感じたらすぐに警察に相談しましょう。
また、防犯サムターンは比較的入手が簡単ですが、もし鍵を紛失された場合、専門の業者でも破錠が難しくなるようです。
追加費用が生じるケースが多いようなので、一層鍵の管理には注意を払いたいですね。
本記事を参考に、ぜひ今一度住まいの防犯対策を強化してみてはいかがでしょうか。