「お酒やタバコは20歳から」、このフレーズを街中で見かけることも今や日常的です。
フレーズのように、日本ではタバコを吸って良いのは20歳になってからとされています。
しかし子供が成人前だというのにタバコを吸っていて困る方もいるのではないでしょうか。
今回は未成年喫煙の防止対策についていろいろとご説明しましょう。
なぜ未成年喫煙は禁止されているのか?
日本では法律によって20歳以上であればタバコを吸って良いとされています。
同時に20歳未満の未成年者は喫煙を禁止されている状況です。
なぜ未成年喫煙は禁止されているのかについては、以下のような理由が挙げられます。
未成年者は成人よりタバコの影響を受けやすい
最初の理由として、未成年者は成人に比べてタバコの影響を受けやすいです。
喫煙開始年齢が20歳未満の場合、がんや心臓疾患のリスクが非喫煙者の12.7倍とされています(厚生労働省発表)。
これは、5.5倍とされる開始年齢が成人後の人よりも倍以上がんになりやすいということです。
また未成年者は脳や身体が成長過程にある分、ニコチンに依存しやすくなっています。
成人が年単位でニコチン依存になるところを、未成年者は早くて2週間で依存するほどです。
一度ニコチンに依存すると簡単にタバコをやめられなくなるため、なおさら危険といえます。
タバコによって発育にも悪影響が
またタバコは未成年者の発育にもさまざまな面で悪影響を及ぼす存在です。
脳に関してはタバコの煙が酸欠をもたらします。このため、脳細胞が活性化せずに学力や知力が衰える危険が高いです。
またタバコを吸っている未成年者は、吸っていない未成年者に比べて身長が伸びにくくなります。
これはタバコの有害物質が体内の細胞に酸欠をもたらし発育を妨げるためです。
さらにタバコは運動能力にも影響し、日常的にタバコの煙を受け続けると疲れやすくなります。
なお未成年者自身の喫煙以外にも、受動喫煙によっても影響が出やすいです。
妊婦が喫煙した場合は胎児や幼児にも悪影響
ほかにも出産を控えた妊婦が喫煙した場合は、胎児への悪影響も大きいです。
タバコのニコチンは血流不足を、一酸化炭素は酸欠を招くため、胎児の発育を妨害します。
このため胎児が流産したり体重が不十分なままで生まれたりするリスクが高いです。
また脳や身体に障害を持って生まれるケースも多分にあります。
加えて妊婦が喫煙していた場合、乳幼児の突然死や疾患のリスクが高めです。
このため出産を控えている妊婦もまた、絶対に喫煙するべきではありません。
未成年喫煙禁止法とはどのような法律?
未成年喫煙を防止するための法律が、明治時代に制定された未成年喫煙禁止法です。
内容は未成年者の禁煙に加え、違反者への罰則やタバコ販売時の年齢確認義務も定めています。
なお2022年4月から成人年齢が18歳になっても、20歳未満の禁煙に変更はありません。
未成年者の喫煙を防止するうえで、ぜひ知っておくべき法律といえるでしょう。
未成年喫煙の具体的な防止対策には何がある?
未成年喫煙の防止対策として、国や業界などでどのような取り組みが行われているのでしょうか。
未成年喫煙の防止対策として行われている取り組みは、対策の主体によってさまざまです。
国の取り組み
国の場合は、未成年喫煙の防止に向けた情報提供や啓発活動、健康関係の法整備が主なものです。
情報提供や啓発活動については、特に厚生労働省が中心になって行っています。
また文部科学省の場合、喫煙の危険性を説明する資料を作成・配布するのが重要な役割です。
また財務省はタバコ広告の規制やパッケージへの表示で、未成年者の喫煙に注意を喚起しています。
さらに人事院は未成年も含めた国家公務員に対し、喫煙対策の指針を示している状態です。
政府の取り組みで特に注目すべきものとして、2020年4月の健康増進法改正があります。
受動喫煙防止のために学校や病院などを全面禁煙にする内容です。また飲食店でも未成年者は分煙スペースに入れません。
なお分煙スペースのない喫煙可能な飲食店の場合は、店内への立ち入りもできなくなっています。
自治体の取り組み
地方自治体についても、未成年喫煙や受動喫煙の防止を定めた条例が続々と制定されています。
未成年喫煙については神奈川県などで条例が制定・施行されました。また他の都道府県でも制定に向けて議論中です。
市町村レベルでも2018年に千葉市で制定されたのを皮切りに、全国にその動きが広がっています。
受動喫煙については、健康増進法改正に合わせ東京都などで防止条例が施行されている状態です。
日本たばこ産業(JT)の取り組み
日本たばこ産業(JT)も、未成年喫煙防止に向けさまざまな取り組みを行っています。
- 1
- 2