「真実の愛に基づいた本物の結婚だと信じていたのに、実は偽りの結婚だった…」
このような偽装結婚の問題が国際的な社会問題になっています。
実際に日本人男性と偽装結婚をしたとして、毎年たくさんの外国人女性が逮捕されているのです。
この記事では、そもそも偽装結婚とは何なのか、その目的やメリット、偽装結婚の違法性をご紹介。
さらに偽装結婚でトラブルに巻き込まれないための対策法を徹底解説します。
そもそも偽装結婚とは
結婚する意思がないのに婚姻関係を結んだり、結婚の実態がないのに夫婦を装ったりする「偽装結婚」。
偽装結婚とは、ある目的のために偽の結婚をすることを意味しますが、明確に定義された言葉ではありません。
「偽装結婚」という言葉自体も法律用語ではなく、どの条文を探しても偽装結婚という法律用語は見つからないでしょう。
ですが、偽装結婚による男女間のトラブルは確実に存在しているのです。
偽装結婚の目的は?
「結婚=愛する人と幸せな家庭を築くこと」という定義しか思い浮かばない人にとって、偽装結婚は不思議な存在でしょう。
どうして愛してもいない相手と偽りの結婚ができるのか、疑問に思う人もいるかもしれませんね。
では、そもそも偽装結婚の目的は一体何なのでしょう。
はじめに代表的な偽装結婚の目的をご紹介します。
高額な報酬を得るため
日本人男性が高齢の場合に多いのが、身の回りの世話をお願いするために外国人女性と偽装結婚するケースです。
介護などが必要な日本人の高齢男性が若い外国人女性を介護要員として雇う形で、お互いに合意をしたうえで契約します。
日本人男性は介護要員を得ることができ、外国人女性は金銭を得ることができるという双方合意のパターンになります。
もう一つは、日本人男性は本物の結婚だと思っていたのに実は金銭目的の外国人女性に騙されていたというケースです。
日本人男性の実家に嫁ぎ、その家の財産を搾取し散財しつくすパターンの偽装結婚が多いようです。
在留資格を取得するため
もっとも知られている偽装結婚のパターンが、在留資格の取得を目的としたものでしょう。
在留資格を取得するために日本人男性と結婚したい外国人女性と、お金に困窮している日本人男性が偽装結婚するケースです。
外国人女性と日本人男性の間には偽装結婚を請け負うブローカーが介入し、お互いが合意のうえで契約を結ぶことになります。
同じような目的でも、日本人男性には全く悪意がなく本物の結婚だと思い込んでいるケースもあります。
このようなパターンでは、外国人女性が日本での永住権を取得した後に離婚を突き付けられる場合が多いようです。
偽装結婚をするメリットは?
在留資格や高額な報酬を得ることが目的の偽装結婚ですが、得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
考えられる偽装結婚のメリットをご紹介します。
日本で生活することができる
外国人が日本で暮らすためには、日本でできる活動を証明する在留資格が必要です。
日本人と結婚して日本人配偶者の在留資格を取得すれば、どんな外国人でも日本で生活することができるようになります。
偽装結婚により日本で生活することができるようになるというのが最大のメリットでしょう。
就労制限がない
偽装結婚をすることによって就労制限がなくなるというのも大きなメリットになるでしょう。
日本人配偶者の在留資格があれば、仕事の内容や働き方を制限されることなく就労することができます。
日本で働いて得た収入を母国に送金する外国人も多いようです。
偽装結婚の違法性は?
偽装結婚は国際的な犯罪の温床となっていますが、具体的にはどのような違法性があるのでしょうか?
偽装結婚に登場するブローカー、外国人女性、日本人男性のそれぞれがもつ違法性についてお話しします。
ブローカーの違法性
外国人女性から契約金を搾取し、偽装結婚という形で日本人男性を紹介するブローカーは明らかに罪に問われます。
営利目的で偽装結婚を斡旋しているため、5年以下の懲役および500万円以下の罰金に処されます。
外国人女性の違法性
金銭目的や在留資格の取得目的で偽装結婚をした外国人女性ももちろん罪に問われます。
虚偽の婚姻届けの提出は刑法の公正証書原本等不実記載罪にあたり、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
日本人男性の場合
純粋な婚姻関係だと信じ、偽装結婚について何も知らなかった日本人男性の場合は罪に問われません。
ですが、偽装結婚だと知りながら合意をした場合は、外国人女性と同じ公正証書原本等不実記載罪が適用されます。
さらに、ブローカーから金銭を受け取った場合は営利目的とみなされるため、ブローカーと同じ罪に問われます。
また、無報酬でも在留資格のない外国人女性を隠匿すれば、入管法違反になるでしょう。
偽装結婚が疑われるのはどんな結婚?
では、どんな結婚が偽装結婚だと疑われるのでしょうか?
つぎに偽装結婚を疑われる結婚の特徴をご紹介します。
夫婦の一方または両方に離婚歴がある
外国人女性と日本人男性のどちらか、あるいはその両方に離婚歴がある場合は要注意です。
過去にも金銭目的や在留資格の取得の目的で偽装結婚をしたことが考えられます。
日本人男性の収入が低い
日本人男性の収入が著しく低く、生活に困窮しているような場合も偽装結婚の可能性があります。
ブローカーから高額な報酬を得ることで生計を立てている場合が考えられるでしょう。
税金を滞納していたり、過去に重大な犯罪歴がある場合も要注意です。
夫婦の年齢差が大きい
夫婦の年齢に開きがありすぎる場合も偽装結婚が疑われます。
日本人男性が高齢の場合や寝たきりの場合は、介護要員としての契約の可能性があります。
また、日本人男性の資産状況によっては財産目的での詐欺の可能性も考えられるでしょう。
結婚相談所や出会い系サイト・アプリで出会って結婚した
出会い方が国際結婚相談所や出会い系サイト・マッチングアプリなどの場合も、偽装結婚の可能性が高いとして警戒されています。
金銭目当てだったり在留資格目当てだったりする外国人女性が多数登録しているといわれているのです。
このような出会い方には細心の注意を払う必要があるでしょう。
風俗営業の場で出会って結婚した
風俗営業に従事している外国人女性の中には、オーバーステイで風俗の仕事を選んだ女性が数多く紛れ込んでいます。
日本人の配偶者になることで在留資格を取得することを狙っている場合があるので、十分注意しなければなりません。
短い交際期間や少ないデート回数で結婚した
結婚するまでの交際期間が短かったり、1~2回しか会ったことがないのに結婚に至ったような場合は偽装結婚の可能性があります。
金銭や在留資格などの目的のためなら結婚相手は誰でもいいというようなパターンの偽装結婚が多いでしょう。
交際を証明できる写真やメールがない
結婚をするまでの交際の事実を証明できるような写真やメールなどがないというのも、偽装結婚に多く見られる特徴です。
恋愛関係にあったと思われる夫婦に交際の実態がないのは不自然なので、偽造結婚を疑われることになるのです。
偽装結婚を見つけたらどこに通報する?
万が一偽装結婚を見つけた場合は、入国管理局や警察庁に通報するようにしましょう。
入国管理局には電子メールによる通報ができるほか、電話での情報提供を行うことができます。
警察庁には匿名通報ダイヤルも用意されているので、自分の名前を明かしたくない場合は警察庁に通報するのがおすすめです。
ただし、匿名通報は報酬金を受け取れない可能性が高いでしょう。
まとめ
偽装結婚の目的やメリット、違法性についてお伝えしたうえでトラブルに巻き込まれないための対策法をご紹介しました。
偽装結婚によく見られる特徴を知ることで、どのようなパターンが危険なのか理解できたのではないでしょうか。
偽装結婚はその名前こそ法律用語ではありませんが、複数の違法性を含んだれっきとした犯罪です。
このような犯罪に巻き込まれないためにも、上手い話に安易に飛びつかないように気をつけましょう。