パソコンやスマホで利用するWi-Fiは基本的には接続したまま日常的に使い続けるものです。
そうなると、Wi-Fiが繋がっていれば、何の問題もないと思い込んでしまいがちになります。
しかし、Wi-Fiの利用状況をしっかり管理しておかないと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。
今回はその可能性を作るWi-Fiのタダ乗りについて解説していきます
WiFiのタダ乗りとは?
Wi-Fiのタダ乗りとは他人のWi-Fiルーターを利用してネット通信を行うという行為です。
通常の場合、自宅でWi-Fiを利用するには通信料を払うことになります。
その通信料を払いたくないがために、近場で電波を拾える他人のWi-Fiルーターにタダ乗りするというものです。
また、スマホしか持っていない場合も通信制限にならないようにタダ乗りしようとする人もいます。
Wi-FiルーターにはSSID(無線LANの識別名)とパスワードが設定されており、これがわからなければ普通は利用できません。
しかし、それが何らかの方法で知らてしまうと、近場に住む人ならWi-Fiのタダ乗りが可能になるのです。
Wi-Fiのタダ乗りに関するリスクは?
Wi-Fiのタダ乗りにはされる側はもちろんのこと、する側にもリスクが伴うものです。
Wi-Fiのタダ乗りをされる側のリスク
一見するとWi-Fiのタダ乗りは相手に無料で使われていること以外は実害がないように思ってしまいます。
しかし、Wi-FiルーターのSSIDとパスワードがバレていることは他の危険性に繋がる可能性があるのです。
具体的にはWi-Fiを経由して自分のパソコンを遠隔操作されたり、その中で個人情報を抜き取られたりします。
また、ウイルスを流し込むことでデータ破壊や知らぬ間に犯罪へ共謀させられる可能性もあるので、様々なリスクが付きまとうものです。
タダ乗りする側が無料の目的だけならリスクは低いですが、悪意ある者に狙われると大きな事件に繋がってしまいます。
Wi-Fiのタダ乗りをする側のリスク
タダ乗りをする側のリスクは、相手の状態に依存します。
相手のパソコンやスマホがウイルス被害にあった場合、Wi-Fi経由で二次被害が及ぶものです。
また、タダ乗りしている側の個人情報もWi-Fiから芋づる式に抜き取られてしまう可能性があります。
中には意図的にWi-Fiをフリーにして上記のような罠を仕掛けることもあるものです。
タダ乗りしないのは当然のことですが、見知らぬWi-Fiに接続しないようにするという意味でもする側のリスクを覚えておきましょう。
Wi-Fiのタダ乗りに対する違法性
事件に繋がる可能性のあるWi-Fiのタダ乗りですが、これに関して一つ厄介な点があります。
それはWi-Fiのタダ乗り自体には違法性がないということです。
2017年にWi-Fiタダ乗りに関して問われた判例では暗号鍵を破った被告人は無罪となっています。
もちろん、裁判官の判断によっては変わってくることもありますが、前例として無罪があるのは被害者側からすると不利なものです。
犯罪として罪に問われるのは乗っ取られた後のことになるので、そうならないためにも日頃から対策をしておきましょう。
Wi-Fiの利用状況の確認方法
Wi-Fiの利用状況の確認はパソコンやスマホのどちらからも行うことができるものです。
パソコンからの確認方法
パソコンでWi-Fiルーターの設定を見る場合は使用しているルーターのメーカーごとのサイトにアクセスして確認することになります。
ルーターの設定ではその時点でWi-Fiに接続している端末の台数分のIPアドレスが表示されます。
この数が自分の使用している端末の台数と異なる場合はタダ乗りされていることになるのです。
スマホからの確認方法
スマホで確認する場合はサイトにアクセスしなくても「Fing」というアプリを利用することで判断できます。
アプリを開くとルーター設定と同様にその時点で接続している端末が表示されます。
アプリを入れる手間を除けばこちらの方が簡単に確認できるものです。
Wi-Fiのタダ乗り被害を解決法
Wi-Fiルーターの設定でタダ乗りが発覚した時、ウイルス等を警戒するなら素早い対応が必要です。
まずは自分以外の端末と思わしき表示をスクリーンショットで写しておきましょう。
万が一タダ乗り以上の被害に合った時に相手を特定する手がかりになったり、犯罪を証明する証拠にできたりします。
次にWi-FiルーターのSSIDとパスワードの変更を行いましょう。
タダ乗りされているということはそれらがバレているということなので、変えてしまえばWi-Fiは利用できなくなります。
SSIDとパスワードの変更方法はWi-Fiルーターの種類によって異なるので、製品の説明書や公式サイトを参考にしてみてください。
タダ乗りされた事実は警察に知らせても先に書いたように罪に問われない可能性が高いものです。
これらの作業を行った後は、次に紹介する対策法を施すようにしましょう。
Wi-Fiのタダ乗りへの対策法
最後にWi-Fiのタダ乗りをされないようにするための対策方法を紹介します。
暗号化規格を「WPA」に変える(暗号キーの強化)
Wi-Fiでは通信される情報を保護する目的で情報の暗号化が必須であり、初期の通信環境では「WEP」の暗号キーを使用していました。
しかし、2008年に「WEP」の暗号キーを解読される方法が見つかったせいで、「WEP」の脆弱性が明らかになります。
そのため、近年では「WEP」から強化した「WPA-PSK」やそれ更に高度化した「WPA2-PSK」の暗号化規格が主流です。
つまりは「WEP」方式のWi-Fiルーターよりも「WPA」方式のWi-Fiルーターの方がセキュリティとしての安全性が高いものになります。
使っている暗号キーはWi-Fiルーターのメーカーごとのサイトで確認できるものです。
もし、設定で変更できるようであれば、「WEP」を「WPA」に変更するようにしましょう。
できない場合は「WPA」に対応した新しいルーターを購入することをおすすめします。
SSIDとパスワードの変更
SSIDやパスワードが特定されやすい文字列だった場合、タダ乗りされる可能性は高くなります。
それを対策するためには、複雑な文字列に変更するのが一番です。
また、定期的にSSIDとパスワードの変更ができれば、より特定されづらくなります。
SSIDのステルス機能
通常の場合、パソコンやスマホから周辺にある利用可能なWi-Fiは全て確認できるものです。
しかし、ステルス機能を使うと指定した機器以外はWi-Fiの電波状態を確認できなくなります。
電波状態がわからなければ外部からアクセスされるリスクはほとんどなくなるものです。
この機能はWi-Fiルーターの種類によっては付いていないので、必要と感じる場合は買い替える必要があります。
MACアドレスフィルタリング
MACアドレスとは、Wi-Fiに繋げられる端末ごと設定されている識別番号のことです。
このアドレスを登録しておくことで、それ以外の端末からのアクセスを制限できる機能が多くのWi-Fiルーターには付いています。
Wi-Fiルーターごとに設定があり、その設定内で使いたい端末のMACアドレスを入力します。
端末ごとのMACアドレスの確認方法は以下の通りです。
- iPhone……「設定」→「一般」→「情報」に記載
- android………「設定」→「Wi-Fi」→「詳細」に記載
- Windows……「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→「ハードウェアのプロパティ」に記載
- Mac……「アップルメニュー」→「このMacについて」→「詳しい情報」→「ネットワーク」→「ネットワーク環境」に記載
- ゲーム機……主に「設定」の「インターネット」等の通信に関わる項目に記載
まとめ
今回はWi-Fiのタダ乗りに関する危険性や対策法を見ていきました。
目に見えないものなので不正利用されていることに気付きにくいものですが、確認することでリスクに巻き込まれにくくなります。
Wi-Fiのセキュリティ強化は単純なウイルス対策としても有効なのでぜひ利用しているWi-Fiルーターを確認してみましょう。