マインドコントロールという言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
カルト集団や宗教のイメージが強いですが、仕事や恋愛など普段の生活でもマインドコントロールにかかってしまう可能性があるのです。
被害に遭わないよう、その手口と説き方をご紹介します。
ここが怖い!マインドコントロール
個人の価値観を変えてしまう
マインドコントロールに関連する事件や問題としてよく取り上げられるのが「カルト」と呼ばれるものです。
カルトとは、特定の人や事物を熱狂的に崇拝することとされています。
なぜ問題視されているかというと、宗教だけの決まりや救済といった理由で個人の考えや行動を制限し、マインドコントロールをかけるからです。
マインドコントロールにかかった人は性格が変わってしまったり、特定の団体や商品に膨大なお金を使ったりするようになります。
最悪の場合、犯罪に手を染めてしまうこともあるのです。
実は日常的に行われている
カルトだけではなく商業・教育・恋愛・ダイエットなど、マインドコントロールの糸口はたくさんあります。
期間限定のほうがお得だと聞いて買う、スリムなほうが好かれるから痩せる、高学歴がいいから有名な学校へ進学する。
このように意図しないうちに考えや行動を選択させられているという点で、これらも一種のマインドコントロールといえます。
犯罪には及ばなくても、マインドコントロールは日常的に行われているということです。
被害に遭っても気づきにくい
マインドコントロールは、被害に遭っていると気付きにくいのが特徴です。
なぜならコントロールされている人は、コントロールされた状態のほうが好ましいと信じているからです。
被害者があたかも自分の意志で行動しているように見えるため、第三者による発覚も難しいとされています。
これらの点から、マインドコントロールは被害が大きくなってしまうことの多い犯罪ともいえます。
マインドコントロールから身を守るには
マインドコントロールのリスクは日常に潜んでいます。被害に遭わないようにするために最も大切なことは、知識をつけることです。
様々な手口を知っておけば、誘導されていることに気付けます。
さらにマインドコントロールをしようとする人の心理を知ることで、自分やほかの誰かが被害に遭うのを防ぐことができます。
今回は仕事と恋愛といった誰にでもありうるシチュエーションで、マインドコントロールの対策をご紹介します。
仕事編
仕事をする上で避けては通れない、上司や部下といった上下関係。
多くの人が自分よりも立場が上の人には従うという傾向があります。
そのため職場では、この上下関係を利用したマインドコントロールが起きやすいといわれています。具体的には、以下のような例です。
上下関係を利用したマインドコントロール
上司が部下を必要以上に叱責したとしましょう。叱責されることが多ければ多いほど、部下の「自分が悪い」という自己否定感が強くなります。
「どうせ私なんか」「自分には無理」「自分は生きる価値のない人間」「生きていてもしょうがないので死にたい」というのが、自己否定感です。
自己否定感が強まり自信を無くしたタイミングで、上司がその部下のことを褒めたらどうなるでしょうか。
部下はそのたった一度の誉め言葉で深く安心するのです。その安心感と同時に「上司に従うことこそが正しい」という認識が植え付けられます。
前述した「立場が上の人には従う」という感覚が、より個人的かつ強力になるのです。
部下はその後どんなに叱責されても、たとえ上司の言うことが間違っていたとしても言いなりになってしまいます。
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「刷り込み」式のマインドコントロール
もうひとつご紹介するのは「刷り込み」と呼ばれる手法です。何気ない言動の繰り返しによって、対象をコントロールする方法です。
こちらも具体例を挙げてみましょう。
上司がある社員Aさんを褒めて「皆さんもAさんを目指しましょう」と言いました。
その後もほかの社員に「Aさんなら…」「Aさんを見習いなさい」と口酸っぱく指導します。
この繰り返しによって「Aさんの真似をすれば良い」という考えだけが刷り込まれます。
その結果より良い方法や新しい成果に価値を感じなくなり、自分で考えることをやめてしまうのです。
こんな人には注意!
仕事においてマインドコントロールをしようとする人には「保守的な人」と「能力の低い人」の2パターンがいるといわれています。
保守的な人は自分のとってきた方法こそが正しいと信じているため、大変だったことも含めて相手も同じ体験をするべきだという心理があります。
そのため過去の成功体験を頻繁に話したり、現在の考え方に否定的な態度をとったりすることが特徴です。
能力の低い人の心理として、自分の仕事も補ってくれる都合のいい相手を欲しがる傾向にあります。
そこで上下関係を利用して、部下に過剰な仕事を背負わせることもあります。
ミスは必要以上に責める一方で「期待しているから」「君のためを思って」とアメとムチを巧妙に使い分けるので、注意が必要です。
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恋愛編
マインドコントロールの糸口になりやすい「好意」
恋人からの頼み事は、つい引き受けてしまうという人は多いのではないでしょうか。
これは「好意を持った相手のことを受け入れやすい」という心理的な傾向があるためです。
また大好きな恋人に嫌われたくないという考えから、自分を抑えて相手に合わせる人もいます。
恋人という関係を利用して様々なお願いをしたり、頼みごとを聞いてくれないと冷たい態度を取ったりして相手を操作してしまうのです。
「返報性」を利用したマインドコントロール
仕事を手伝ってもらったら、お返しに飲み物や食事をおごる。このように何かしてもらったらお返しをすることを「返報性の原理」といいます。
返報性の原理とは相手から受けた好意や敵意などのアクションに対して、「お返しをしたい」と感じる人間にとってごく自然な心理のことを言います。
恋愛ではこうした心理を利用してマインドコントロールができてしまうのです。
「運転するから食事代は出してね」や「自分の方が稼いでいるから家事はあなたがやるべきだ」といったように相手に義務感を抱かせます。
さらに先ほど紹介した「刷り込み式」を組み合わせて繰り返しこうした誘導を行ったとします。
すると相手は「自分ばかり世話になっている」という負い目を感じさせられ、逆らえなくなってしまうのです。
あなたのパートナーは大丈夫?
恋愛においてマインドコントロールをする人は、自尊心が低い傾向にあるといわれています。
自尊の気持。自分を尊び他からの干渉をうけないで、品位を保とうとする心理や態度。
引用:自尊心|コトバンク
自尊心の低い人は自分に自信がないため、精神的に不安定な状態です。
「認められたい」「受け入れてほしい」という欲求が強いという傾向もあります。
恋人に対しても「嫌われてしまうのではないか」という強迫観念から、自分から離れられないようにコントロールしようとしてしまうのです。
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マインドコントロールを解く方法
個人の考え方や人格を変えてしまうマインドコントロール。かかった人が自分で抜け出すのは難しいといわれています。
周りの人が根気強く元々の自分を思い出させてあげるのが一般的な治療法です。
そこでここからは、どのような解き方があるのかをご紹介します。
戻る場所を用意する
マインドコントロールにかかっている人の多くは、何らかの不安や悩みを抱えているといわれています。
その弱みに付け込まれて操作されている場合がほとんどなので「辛いときに戻れる場所」を用意しましょう。
ポイントはマインドコントロールをかけている側の人と一切関係がないということ。
対象から一度離れ安心できる場所を見つければ、次第に視野が広がり解ける可能性が高まります。
人間関係を構築しなおす
安心できる環境が整ったら、人間関係を再構築します。
マインドコントロールにかかると、多くの場合が限られた人としか交流しなくなります。
それ以外の人に対して攻撃的・否定的になることも多いです。
このような人間関係を修復し、以前のコミュニティを取り戻すことでたくさんの考え方や価値観に触れることができるようになります。
たくさんの人と話す
人間関係を広げたらなるべくたくさんの人と話をしましょう。みんなで「あなたは間違っている」と意見するのはおすすめしません。
多くの考えや価値観があることに気付き、自分が信じていることに疑問や間違いを見つけてもらうのが目的です。
最終的に自分でオリジナルの判断ができるように、新たな判断材料を示唆することを意識して会話をします。
手口と解き方を知って対策しよう
マインドコントロールは心理学を利用した複雑な犯罪です。
手口や解き方を知ったうえで広い視野と多様な価値観をもって、被害に遭わないよう努めましょう。
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