ご近所トラブルの中でもとくに多いのが音による騒音トラブルだといいます。
とくにアパートや賃貸マンションの場合は床や壁の遮音性が低く、分譲マンションより生活音が周囲に伝わりやすくなっています。
そのため、共同生活ということを意識して生活しないと騒音トラブルが発生してしまう可能性があるのです。
この記事では、騒音トラブルの被害を未然に防ぐ対策法を徹底解説!
騒音トラブルが原因で起きた事件と実例から、騒音トラブルの相談先や解決方法もご紹介します。
どうして騒音トラブルが起きるのか?
共同生活を行ううえで音には気をつけなければならないことは誰もがご存じのことでしょう。
それにもかかわらず騒音トラブルが起きてしまうのはどうしてなのでしょうか?
同じ音でも人によって感じ方が違う
日常生活を送るうえで生活音が出てしまうのは仕方のないことです。
ですが、その生活音の感じ方は人によって違うということを理解しておかなければなりません。
自分には大したことのない音でも、周りの人からすると我慢できない騒音になっている可能性もあるのです。
住人同士のコミュニケーション不足
住人同士のコミュニケーションが希薄になっているというのも騒音トラブルが発生する原因として考えられます。
小さな子どもがいることや夜勤をしていることなど、相手のことをお互いに知っておくことで気遣いができることもあるでしょう。
騒音が気になっても、住人の人となりが分かっていることで許すことができたり大目に見ることができたりするのです。
騒音トラブルが原因で起きた事件と実例
では、実際に騒音トラブルが原因で起きた事件にはどのようなものがあるのでしょうか?
中には騒動が大きくなって傷害事件にまで発展したケースもあるといいます。
ペットの鳴き声
隣家の庭で多頭飼育されている犬が昼夜問わず吠え続け、原告が精神疾患にかかってしまったという実例があります。
原告が苦情を入れても被告が聞き入れてくれなかったため裁判で争うことになり、30万円の損害賠償命令が被告に下されました。
騒音トラブルの元となった犬の鳴き声の様子や時間帯などを原告が詳細に記録していたため、有力な証拠となり勝訴した実例です。
子どもの足音
マンションの上の部屋に住む子どもの足音がうるさく、通常の生活ができなくなり退去せざるを得なくなったという実例もあります。
この騒音トラブルでは30万円の慰謝料を請求して裁判が起こされましたが、受忍限度内にあると判断され請求が棄却されました。
大音量の音楽
近所の夫婦に嫌がらせをする目的で、2年半もの長期間にわたって大音量で音楽を流し続けた主婦の騒音トラブルもあります。
加害者が故意に出した騒音によって、近所の夫婦だけでなく近隣住民にまで不眠やめまいなどの健康被害が出ました。
この騒音トラブルは刑事事件に発展し、刑法上の傷害罪に該当するとして実刑判決が下されています。
騒音トラブルの被害を未然に防ぐには?
誰もが被害者にも加害者にもなってしまう恐れがあるのが騒音トラブルです。
騒音トラブルの被害を未然に防ぐにはどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?
物件の周辺環境をチェックする
子どもの騒ぎ声などの騒音トラブルを回避するためには、物件の周辺環境もしっかりとチェックしておく必要があります。
保育園や幼稚園、小学校・中学校・高校など、子どもが集まる施設が物件の周辺にないか確認しましょう。
また、公園やグラウンドなどが近くにある物件も注意したほうがいいかもしれません。
物件の遮音性をチェックする
物件を決めるときには、壁や床の遮音性能をチェックしておくことも大事です。
竣工図面や物件についての資料などから壁の構造や厚さが分かる場合があるので、管理会社や大家にたずねてみるといいでしょう。
物件の間取りをチェックする
アパートやマンションなど間取りを確認できる場合は、隣の部屋との位置関係をチェックしておくことをおすすめします。
隣の部屋と自分の部屋のリビングと寝室が隣り合っている場合は、騒音トラブルが発生する可能性があります。
クローゼットや押し入れなどの収納が部屋の境目にある間取りが理想的です。
木造よりも鉄筋コンクリート造の物件を選ぶ
物件を選ぶ際には物件の構造を確認することも大事なポイントです。
騒音トラブルを防ぐためには、音が伝わりやすい木造の物件よりも遮音性の高い鉄筋コンクリート造の物件を選ぶようにしましょう。
最上階や角部屋の物件を選ぶ
アパートやマンションなどで部屋を選ぶときは、階数や隣接する部屋の数にも気を配るようにしましょう。
最上階の部屋だと上の部屋からの騒音に悩まされることがなく、角部屋だと隣接する部屋が一部屋だけになります。
最上階の部屋を選んだ場合は、自分が騒音を出さないように十分気をつけるようにしましょう。
起きてしまった騒音トラブルを解決するには?
気づかないうちに騒音となる音を出してしまっていたり、ささいな音が気になって仕方がなくなったりすることもあるでしょう。
では、起きてしまった騒音トラブルを解決するにはどうしたらいいのでしょうか?
騒音主に苦情を伝える
騒音トラブルの加害者である騒音主は、自分が騒音を出しているとは気づいていない場合が多いようです。
騒音トラブルを解決するには、騒音で困っている相手がいるということを騒音主が自覚しなければなりません。
直接注意をするというよりも、まずは管理会社や大家を通して苦情を伝える方法をとるのが一般的でしょう。
騒音対策をする
騒音主が騒音を出していることを自覚できている場合は、騒音の元となっているものを排除する対策を実施することが必要です。
騒音トラブルは騒音の発生を自覚して騒音対策を行うなど、日常生活の気遣いによって防げるケースが少なくありません。
住人が個別に騒音対策を行うのはもちろん、物件の管理者が建物に防音対策を施すことも考えるべきでしょう。
引っ越しをする
騒音トラブルをもっとも手っ取り早く解決する方法は、引っ越しをすることでしょう。
ですが、一戸建てや分譲マンションを購入してしまった場合には引っ越しが難しいのが現実です。
賃貸物件の場合も敷金や礼金、引っ越し費用など金銭的な負担が大きく、簡単には引っ越しができないかもしれません。
子供がいる場合は転校になってしまったり、通勤方法や通勤時間に影響が出てきたりする場合もあります。
希望の条件で新しい物件が見つかるとも限らないので、すぐに引っ越しをすることは難しい場合もあるでしょう。
そのため、引っ越しをすることは騒音トラブルの解決方法としては確実ですが、最終的な手段ともいえるのです。
騒音トラブルの相談先
最後に、騒音トラブルの相談先をいくつかご紹介します。
管理会社や大家に相談する
アパートやマンションなどで騒音トラブルが発生した場合、まずは管理会社や大家に相談するのが一般的です。
騒音主に直接苦情を言うのではなく第三者を通して伝えることで、住人間のトラブルが大きくなるのを防ぐことができるでしょう。
警察や自治体に相談する
騒音主が故意に騒音を出しているようなケースでは、警察や自治体などに相談するのも有効です。
嫌がらせ目的で騒音を出し続けた場合、刑法上の軽犯罪法違反となる可能性もあります。
自治体によっては迷惑防止条例違反に該当することもあるでしょう。
弁護士に相談する
弁護士に相談するのも騒音トラブルの相談先として有効な手段です。
騒音トラブルは民法上の不法行為に該当するため、民事事件で騒音主を訴えることができます。
客観的な証拠があれば差し止め請求が認められるほか、損害賠償請求についても認められる可能性が高いでしょう。
ADR(裁判外紛争処理)を利用する
騒音トラブルで裁判を起こすのは大げさだと躊躇する人もいるでしょう。
そのような場合は、裁判以外で紛争を解決する方法としてADR(裁判外紛争処理)を利用するのがおすすめです。
ご近所トラブルを専門に取り扱っているADR機関であれば、裁判のように事を荒立てることなく話し合いを始められるでしょう。
その後のご近所づきあいのためにも、裁判で争うよりADRを利用するほうが適しているかもしれません。
まとめ
騒音トラブルは誰にでも発生し得る問題で、ご近所トラブルの典型ともいえる問題です。
騒音のレベルによっては不眠やストレスなどの健康被害を及ぼしてしまう場合もあります。
どうしても我慢することができない場合は、一人で悩まずに第三者に相談するようにしましょう。