香害と聞き、誰しも「嫌なニオイ」の経験を浮かべるはずです。
しかし、人はそれぞれにニオイの好みや鼻の敏感さが異なるため、不快なニオイと感じる定義が異なります。
そのため人の体臭だけではなく、柔軟剤や香水などの人工的なニオイに苦しんでいるという方も多いのです。
さらに香りを楽しむという文化が定着した現代では様々なニオイが氾濫しています。
そんな中で特にニオイに敏感な方は生活に及ぼす影響は楽観視できません。
そこで今回はそんな「香害」に注目し、ニオイに悩む方の生活を守るための香害対策を徹底解説します。
さらに香害から起きる体の不調の特徴もまとめているので「ニオイのストレスを感じているかも」という方はぜひチェックしてみてください。
香害によって引き起こされる症状と原因
まずは香害による影響で起きやすい2大症状をから見ていきましょう。
良い香りであるはずのニオイなどでも体に不調を及ぼしたことがあるという方は以外にも多くいます。
しかも通勤前や大切な日でも不調が起きてしまうことを考えると、それ自体がストレスとなるため死活問題です。
頭痛
頭痛はニオイによる香害を受けた時に起きやすい症状の一つです。
ニオイによって三半規管などの神経系が過剰に反応してしまい、頭痛を引き起こしてしまいます。
神経系に影響を及ぼすため、頭痛と同時にめまいを起こすという方もいるようです。
また、ストレスを繰り返し感じているなら、脳が緊張状態となって緊張性頭痛などを起こすことも考えられるでしょう。
もしニオイを感じた時に目の奥や前頭葉あたりに痛みを感じることがあるなら、香害による影響を考える必要があります。
また、頭痛はニオイ以外にも病気のサインであることもあるため、かなり鋭い痛みや突然の痛みについては注意してくださいね。
吐き気
吐き気も香害の症状の一つとして多く見受けられます。
これもニオイに対して過敏に神経が反応してしまうことが原因です。ニオイで酔ったような感覚や激しい吐き気すら引き起こす方もいます。
これは本人の体調に関わらず起こる場合もありますが、体調によっては強く症状が出ることもあるようです。
また、特に神経が過敏になっている時期や食後などではニオイによって吐き気や頭痛などが起きやすいこともあります。
香りに苦しむ人たち
ちょっとした香りで頭痛や吐き気を引き起こす「香害」は生活に大きな影響を与えることもあります。
たとえそれが人のニオイではなく、世間的に良いニオイであってもです。
ここからはそんな香りの問題に苦しむ方の事例をご紹介します。ニオイが氾濫する世界でどのような影響を受けているのでしょうか。
過敏症の人の叫び
香害に苦しむ人は化学物質過敏症という病気であることもあります。
この化学物質過敏症とは一般的に反応しない微量な化学物質に体が反応してしまい、体調不良に陥るという病気です。
症状としては頭痛や疲労感、蕁麻疹などがあります。
例えば消臭剤や香水、柔軟剤などでは少なからず化学物質が含まれているため、これによって反応してしまうのです。
化学物質過敏症の方の一例
- 肌がひりひりとする気がして、乾燥かなと思ったら柔軟剤が原因でした。使わなくなったら頭痛も少なくなった。
- 朝の電車内で他人の香水のニオイで頭痛が酷くなります。マスクで予防していますがそれでも不快感は拭えないです。
このように普通の人が問題なく使えている物で不調を起こしています。
また、上記のような過敏症でなくとも嗅覚が敏感なせいでこのような症状に悩んでいる方もおり、ニオイに悩む方にとっては重大な問題です。
香害の訴訟事例
香害は些細な問題と思うかもしれませんが、過去に香害で訴訟した事例もあります。
2018年に花王の元従業員が起こした裁判ではまさにその「香害」による被害が論点でした。
元従業員は安全配慮されない中で長年勤務したことにより、香害に晒され健康を損なったとして裁判を起こしたのです。
元従業員は勤務中に手の痺れや頭痛や吐き気などの様々な症状に悩まされていました。
これは元従業員が検査分析業務でニオイや化学物質の影響を受けていたことが原因だったのです。
元従業員は環境改善を訴え続けていたそうですが、改善されず体調が悪化して自主退職を余儀なくされました。
この元従業員はまさに香害が引き起こす、酷い化学物質過敏症となってしまっていたのです。
裁判では安全配慮なかった点や健康被害として事実が認められ、花王に責任があるとして裁判所は賠償を命じました。
この判決により、香りの問題が体に重大な問題を起こしてしまう可能性があるということが世間にも広く認知されることになったのです。
生活の中でできる香害対策
生活の中にある香りでもし、過敏に反応するような兆候があったなら体調が悪化する前に対処する必要があるでしょう。
良い香りになるからと使っているという物でも、人によっては健康を損なってしまうこともあります。
人それぞれに相性というものがあるように、自分に合ったアイテムで生活することが大切です。
普段使っている日用品や化粧品などを見直して、どんなものが自分と相性が悪いのか把握していきましょう。
柔軟剤などの日用品を見直す
過敏症で反応してしまう人がいることからわかるように、洗濯関連の用品は体に合わないこともあります。
洗剤や柔軟剤は香りや成分に含まれる化学物質で頭痛などを引き起こす可能性があるでしょう。
特に柔軟剤は香り物が定着し、強い香りの物も増えました。さらに柔軟剤の香りが服のニオイと合わさり嫌なニオイになることもあります。
そのため、もし香り付きの洗剤や柔軟剤を使っているなら、まずは香料なしの商品に変えてみましょう。
また、香りと化学物質の両方に反応していることもあるため、できればオーガニックの洗剤や柔軟剤などを試してみることもおすすめします。
刺激が少ない洗剤・柔軟剤例
- シャボン玉スノール 衣料用液体洗剤 …無添加、無香料、天然油脂使用
- エコベール ゼロファブリックコンディショナー…無添加、無香料、自然由来成分
香水に気を付けて
香水も人によっては刺激になることもあります。
そのため、敏感な方は付ける香水やボディコロンを選ぶ基準や付ける量に注意すると良いでしょう。
香水は製品上どうしても人工的な成分などが含まれるため、体に合わないこともあります。
香水の中には天然成分を重視した「オーガニック香水」もあるため、そのような製品を検討するのもおすすめです。
オーガニック香水の例
- ニールズヤードレメディーズ…天然成分を使ったフレッシュでナチュラルなフレグランスが主体
- オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー…アルコールを使わない水性香水で刺激が少ないながら多様な香りを扱う
また、香水を付ける際はパルファム、コロンなど種類にもよりますが基本的に1~2プッシュを目安として付けると良いでしょう。
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