どんなに仕事や学校が忙しくて疲れていてもどんなに心を疲弊していても、あなたを無償の愛情で支えて癒してくれる存在。
それが恋人です。
恋人と一緒におうちで過ごしたり散歩したりするだけでも心が軽やかになって、もっと一緒に居たいと思ったり尽くしてあげたくなるものですよね。
ですがDVという言葉が台頭し認知が増した近年において、恋人との関係も見直されてきています。
あなたも他人事ではないかもしれない、今回はデートDV被害に遭わないための対策を徹底解説していきたいと思います。
DVとデートDVとは?
そもそもDVとは、ドメスティックバイオレンス(domestic violence)の略です。
配偶者や恋人、親子関係などの親しい間柄の人から受ける暴力の事をさしています。
そしてデートDVとは恋人関係にある、未婚の男女が行う暴力の事をさしています。
2015年に大阪府に住む高校生が区の調査に参加協力し、とある調査を行ったことで注目を集めるようになりました。
その調査とは、中高生約1000人を対象に以下の質問をしたことに端を発します。
- 金銭要求
- 性的強要
- LINEチェック
- 暴力
- 暴言
このアンケートの結果で注目すべきは性的強要以外のすべての項目において、被害を受けていると認識している回答者は男性であるという点です。
この結果を受けて翌年2016年にNPO法人らが広域に調査を施行したことが、デートDVという言葉を認知するに至らしめたのです。
デートDVの事例
まずはどういった事例がデートDVに該当するのかを見ていきましょう。
あなたも知らない内にパートナーにこんな事、していませんか?
他の男性と話した事で暴力を受けた事例
女子中学生は付き合っていた男性と、「いつも一緒にいよう」「他の男性とは会話してはいけない」等の約束をしていました。
しかし女子中学生は学校の学習の予定で、他の男子生徒と会話をする必要がありました。
それを見て不快に思った交際相手は、約束が違うと女子中学生に殴るなどの暴力を振るった。
高額なプレゼントを要求する事例
男子高生は付き合っている交際相手の誕生日に、プレゼントをしようと考えていた。
交際相手は男子高生に高額なブランド物のバッグを要求し、「付き合っているなら女性にプレゼントをするのは普通の事」と主張しました。
男子高生はプレゼントのためにアルバイトを増やし毎日一生懸命働いていたが、やがて疲弊した男子高生は友人に「疲れた」と愚痴をこぼした。
リストカットで男性を束縛する事例
男子高生は交際していた女子高生の束縛を辛く感じていたため、女子高生に別れを切り出した。
しかし女子高生はリストカットをして見せて、男子生徒に対して「別れるくらいなら死ぬ」と脅しました。
男子高生はその女子高生に恐怖を覚え、別れようと伝える事が出来なくなった。
電話で女性を恫喝する事例
男性は交際していた女性の態度が気に食わず、女性を言葉で脅し始めた。
徐々にエスカレートする男性に恐怖を覚えた女性は家に引きこもるようになったが、男性はそれでも電話等で恫喝を続けました。
結局警察が介入することで事件は解決したが、女性は男性に恐怖感を覚えるようになり男性とコミュニケーションをとることが出来なくなった。
デートDVの種類や目的を知ろう
デートDVには様々な種類があります。
その種類や目的を知って、被害に遭わないために行動をとりましょう。
言葉の暴力
相手のコンプレックスを指摘する言動や、冷たい言葉で相手を突き放すように仕向ける事が言葉の暴力に該当します。
- キモイ
- ブス
- ブサイク
- ウザイ
こういった心を著しく傷つける言葉で相手の心情を揺さぶり、相手より優位に立って支配しようとするのが目的になります。
比較的自分に自信が無い人が該当しやすく、いつもどこか不安を抱えています。
自分の存在を認めて欲しいと思っている人がこうした行動を起こしやすいです。
自分に好意を向けている相手の弱みを握って支配することで、自分を正当化しようとします。
相手を束縛する
相手がどんな予定を抱えていても自分を優先しないと、無視をしたり不機嫌な態度を取ったりすることが束縛に該当します。
相手の取れる行動の選択肢を狭めて、自分のみに集中させることが目的です。
不安が強い人や過去に相手に裏切られた経験を持つ人、そして自分に自信が無い人がこうした行動を取りやすいです。
相手に裏切られる事で自分が傷つくのを嫌い、相手を束縛して身動きが取れないようすることで自分が安心しようとしています。
携帯やスマホをチェックする
相手の携帯やスマホを見せるように強要したり、相手が異性と連絡を取っているとそれを問い詰める等といった行動がこれに該当します。
こうした行動も相手の秘密を覗き見る事で相手より優位に立ち、相手を支配しようとすることが目的です。
これも不安の強い人や過去に裏切られた経験を持つ人が取りやすい行動ですが、相手の事をもっと知りたいといった好奇心もこの行動を助長させます。
男性が奢るのがあたりまえ
男性が常に女性に奢るのが当たり前と思っている人や、実際に奢らせているのがこれに該当します。
近年ではかなり状況が変わってきていますが、男性が女性に奢るのが当たり前という風潮はたしかにありました。
そうした心理を逆手にとって、男性に奢りを強要するのが目的になります。
こういった場合に女性は、自分と相手との関係で優位に立っていると確信している可能性があります。
また相手との関係が崩れても良い、もしくはどうでも良いと思っている人が取りやすい行動です。
一方で変にお金を出そうとすると、男性のプライドを傷つけてしまうと考える女性もいますので注意が必要です。
性暴力
相手の同意なく無理やり性交渉を強要したり、避妊を望んでもしてくれないといった行為が性暴力にあたります。
他にも妊娠をしたら中絶を促したり、相手の裸や下着姿の撮影を強要したりといった行為も該当します。
性暴力に関しては根が深い問題ですが、いずれも女性を見下したり女性には何をしても良いと思い込んでいる人が性暴力を引き起こしやすいです。
多くは家庭環境によるところが多く、例えば父親が母親を虐げているところを見て育ったケースがあります。
また、父親からの暴力を受けた子供が守ってくれなかった母に敵意を持つなどが誘因になります。
また母親との親密度が高いまま育ったため、女性には何をしても許されると思い込んでいるという考えを持っている人もいるようです。
デートDV被害に気が付いたら
恋人との関係は情動的なので、これがデートDVに該当するとは思っていない人も多いようです。
それよりも相手に嫌われたくない、別れたくないという思いが先行して認めたくない想いがあります。
ですが実際には心も体もボロボロになっているといったケースも珍しくなく、中には社会生活を脅かす事態もあるのが現状です。
こういった状況を打開するためにもまずは第三者に相談して、冷静に考える事が必要なのです。
デートDV110番
デートDV110番NotAlone(ナタロン)は、NPO法人デートDV防止全国ネットワークが運営しています。
公益財団法人日工組社会安全財団の助成を受けて、2014年から活動を続けている組織です。
フリーダイヤルで火曜日の18時~21時、土曜日の14時~18時に相談を受け付けてくれています。
ほんの些細な悩みから、重大な案件まで相談にのってくれます。
自分の名前を告げる必要もなく秘密も厳守されるので、話を聞いてほしいときに活用してみてください。
第三者の意見を取り入れることで、冷静に客観的に自分を見つめなおす機会になります。
東京ウィメンズプラザ
東京ウィメンズプラザは東京都渋谷区にある施設で、DVやデートDVで悩んでいる人に向けての心配事相談を無料で請け負っています。
原則都民を対象にしていますが、匿名相談や秘密厳守を徹底してくれます。
また加害者からの一時保護にも対応しており、身の危険がある場合の駆け込み寺です。
また都内の各市区町村へのサイトマップも用意してくれています。
全国各都道府県相談窓口
各都道府県では、心配事相談窓口を用意しています。
各都道府県のHPより詳細を確認してみてください。
デートDVをしない、させないためには
デートDVをしないさせないためには、なぜ起こってしまうのかを考えなくてはいけません。
デートDVが引き起こされる原因を探りながら、対策を学んでいきましょう。
力関係
男女の関係ですから、力関係がどうしても生まれてしまいます。
それは単純に筋力であったり体格であったりという側面だけでなく、収入や立場や愛情といった様々な要素に左右されます。
デートDVは、そうした力関係から生まれてしまうものです。
内容はどうであれデートDVのほとんどは、行う方が無自覚であることが多いようです。
力関係を形成しようとする人は、「相手のためを思って言っている」とか「相手が好きだからこそ言うんだ」という建前を用います。
そして「これは大したことではない」といった、自分本位の想いが相手との力関係を作ってしまいます。
そういった自分の主張は相手を虐げて、自分を正当化しているに過ぎないということに他なりません。
暴力
男性に限らず女性にもみられるのが暴力です。
暴力は大きい小さいに関わらず、どこまで行っても暴力なのです。
そして暴力はエスカレートしていくという習性がありますから、「アレが大丈夫ならこのくらい平気だ」という風にどんどんと増長していきます。
バンバンと背中や頭を叩いた彼(彼女)は、表面的には平気な振りをしていても実際はどう思っているのでしょうか?
そしてケンカをしたときに振るう暴力は何一つ問題を解決しませんし、そればかりか相手をただ傷つける事しかありません。
性別による偏見
日本は学校教育の段階で男らしさや女らしさを学びます。
その側面は否定できるものではありませんし、日本という国の風土を作り上げているものでもあります。
しかしそれを履き違えて捉えている人も多いのではないでしょうか?
実際に今の若者世代では男性が女性に奢るのは常識ではありませんし、男が働いて女が家を守るという時代ではなくなってきています。
男女ともに性役割というよりも、個人としての特性が理解され尊重されなくてはいけない時代になってきているのではないでしょうか。
まとめ
今回はデートDV被害に遭わないための対策を解説していきました。
女性の性的被害に注目が行きがちですが、男性も女性によるデートDVの被害に遭っているという事実も理解していただけたと思います。
なんだか恋人との関係を、どうしていけば良いかが難しく思えてきますよね。
恋人という存在があなたを癒してくれたり元気づけてくれるものであるという事に変わりはありません。
そんな大切なパートナーとよく話してみて、二人の関係をもう一度見つめなおしてみてはいかがでしょうか?