しかし、公文書偽造はれっきとした犯罪なので逮捕されたあと罪の意識を抱き反省する必要があります。
私文書偽造との違い
私文書と公文書の違い
私文書と公文書の違いは、私的なものか公的なものかで判断できます。
私文書は私人間で交わされる文書のことです。公文書は国・地方公共団体・公務員などが作成した文書のことです。
身近なところで例を挙げます。私文書は領収書・借用書など、公文書は免許証・保険証・パスポートなどが該当します。
私文書偽造罪
公文書偽造罪に対し、私文書を偽造・変造した場合は私文書偽造罪に問われることになります。
権利や義務・事実証明などに関する書類を偽造し、本物であると相手に示す(行使の目的)と私文書偽造罪が成立します。
「偽造」「変造」の定義は公文書と同じです。
私文書偽造・変造で問われる罪
公文書偽造罪と同じく、有印か無印かで刑罰が異なります。
他人の署名や印がある文書の偽造は有印私文書偽造罪として3ヶ月以上5年以下の懲役が科せられます。
他人の署名や印がない文書の偽造は無印私文書偽造罪として1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
また、偽造した私文書を使用すると偽造私文書行使罪に問われます。
偽造有印私文書行使罪は3ヶ月以上5年以下の懲役が科せられ偽造無印私文書行使罪は1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
公文書であっても私文書であっても、偽造・変造またその使用は重い罪に問われることがわかりました。
私文書偽造罪の事例
いわゆる替え玉受験が私文書偽造罪に問われた事例です。
答案用紙も私文書としてみなされます。答案用紙は受験生が書くべきものです。
しかしそれ以外の人物が書いたことで書類の信用を傷つけたという判断がなされ、私文書偽造罪が適応されました。
また、配偶者の許可なく離婚届を提出する・捺印後の契約書の内容を書き換える行為などが私文書偽造罪(あるいは行使罪も)に当てはまります。
身近な人の通帳と印鑑で本人を装い銀行でお金を下ろす行為も同様です。
生活していると色々な書類と接します。慎重に、軽はずみでない行動をしなければなりません。
文書偽造の罪
文書偽造の罪とは、文書の偽造に関する犯罪類型のことです。
公文書については形式主義と実質主義を兼ねており、私文書については形式主義という立場をとっています。
実質主義は、無形偽造で受ける処罰を文書偽造の罪の原則とする主義です。
対して形式主義とは、有形偽造で受ける処罰を文書偽造の罪の原則とする主義のことです。
つまり公文書は無形偽造も有形偽造も文書偽造の罪の原則となります。
そして私文書は有形偽造が文書偽造の罪の原則となるということです。
文書偽造の罪は「公文書偽造等の罪」「私文書偽造等の罪」以外にも「虚偽診断書等作成罪」などあわせて9つの罪が該当します。
まとめ
公文書の管理については、内閣府が様々な取り組みを行っています。
公文書を扱う人には、正しいコンプライアンスを意識して保つことが必要とされているのです。
公文書を扱うというと公務員だけの話に聞こえるかもしれません。
しかしそうでなく事例として弁護士や国民健康保険証を不正に取得した町民のケースをみてきました。
また、私文書となるとさらに私たちにとっては身近な存在になります。
たとえば一つの職場で働き始めるにしても、履歴書・契約書などといった私文書がさっそく交わされます。
これで私たちが履歴書に嘘を書けば、私文書偽造罪に問われる可能性があるのです。
公文書も私文書も、偽造・変造は重い罪に問われることがわかりました。
書類を扱う機会があれば、誠実な態度で向かい合うことを心がけましょう。そうすれば、偽造・変造とは無縁でいられます。
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