ひと昔前は会社に喫煙所があり、バスの座席に灰皿があり、新幹線には喫煙車両があり、車内は煙で白くかすんでいました。
ところが昨今は新幹線の車内どころか、駅のホームからも灰皿が消え、社内の喫煙所もなくなりました。
そして多くの自治体、特に都市部では路上喫煙禁止地区を設けています。
なぜ路上喫煙を禁止しているのでしょうか? 立ち止まって吸うのならいいのでしょうか? 電子タバコは?
今回は、路上喫煙禁止の理由・路上喫煙防止のための自治体の対応・路上喫煙を注意する際の注意について解説していきます。
路上喫煙とは、歩行喫煙との違い
路上喫煙とは、以下のような状態でタバコを吸うことです。
(参考:大坂市「なくそう、迷惑タバコ」)
- 歩きながら吸う
- 立ち止まって吸う
- 携帯灰皿を利用して吸う
- 自転車をこぎながら吸う
- バイクを運転しながら吸う
大坂市の定義によると、歩行喫煙は路上喫煙に含まれています。
しかし東京23区では区によって「歩行喫煙は禁止だが、立ち止まって吸うのはOK」など、対応がまちまちなのが現状です。
路上喫煙禁止の理由
多くの自治体が、人が集まる繁華街の路上喫煙を禁止にしています。
その理由は、様々な害があるからです。
路上喫煙による害とは、一体どのようなものがあるのでしょうか。
受動喫煙による害
路上喫煙により、不特定多数の人に受動喫煙が発生します。
周りの人が、たばこの「副流煙」と喫煙者が吐く「呼出煙」による受動喫煙の害にさらされます。
副流煙はタバコのフィルターを通さないため、喫煙者が吸う主流煙より多くの有害物質が含まれます。
- 肺がん
- 脳卒中
- タバコアレルギー(受動喫煙症)の人が副流煙を吸うと、呼吸困難などで救急車を呼ぶ事態になる。
このような害を他人に与えることになります。
タバコの煙は目に見える白い部分が10%、90%は目に見えません。
そして発がん物質の含まれるタバコの煙は、最低7メートル先に届きます。
本人は気がつかなくても、小さな子供や妊婦の方へ煙が流れているのです。
やけどなどの害
火のついたタバコの先は、700度~800度にもなります。
喫煙者は、800度の火を手に持っていることになります。凶器を持っているのと同じです。
「たばこ持つ手は、子供の顔の高さだった。」という名言がJTマナーグラフィック※1にありますね。
※1 JTマナーグラフィック:JTの緑色の広告
以下のような事例もあります。
- タバコが当たって服が焦げた
- 男の子の耳を火傷した
- たばこが幼女のまぶたに当たり、救急搬送された例もあります
子供は走り回るため「気づかないうちに当たってしまう」可能性があります。
また、夏場はみな半袖のため、タバコが当たると火傷する可能性が高くなります。
ポイ捨てによる環境への害
タバコのフィルターはプラスチックなどを加工して作られています。
分解されるまで何年もかかるため、毒物を含んだまま環境を汚染します。
海や川に落ちたタバコは魚が食べる例もあり、その魚を人間が食べてしまうこともあります。
まて、海のごみの4分の1がタバコの吸い殻です。
そして、火災・山火事の原因になることもあります。
さらに、街が汚くなります。
「窓ガラスが割れたの放っておいたら街の治安が悪くなる」ことが証明されています。
同様にタバコがポイ捨てされている現場には次の人がポイ捨てします。
ポイ捨ては犯罪
タバコのポイ捨ては一般ごみの不法投棄と同じ扱いになります。
廃棄物処理法に抵触します。
軽犯罪法違反にもなります。
車からポイ捨てすると、道路交通法違反となります。
処罰の対象になります。
これらの害を防ぐため、各自治体が路上喫煙を防止するための条例を施行しています。
路上喫煙そのものは犯罪ではない
しかし、自治体の条例に反して路上喫煙をしたからといって、警察官に逮捕される訳ではありません。
地方自治体の条例で路上喫煙に罰金を科している所もありますが、それは「過料」という行政罰であり、刑事罰(犯罪)ではないのです。
警察官の業務対象外となります。
地域による路上喫煙の扱いの違い
各自治体によって条例がまちまちであり、それが喫煙者が混乱してしまう原因にもなっています。
東京都・千代田区
路上禁煙条例が施行されて11年、区内全域が路上での喫煙禁止です。
しかし、立ち止まって吸うのはOKです。
東京都・墨田区
以下の歩行喫煙を禁止しています。
- 歩きながらの喫煙
- 走りながらの喫煙 (いるの?)
- 自転車・バイクでの喫煙
しかしここも、立ち止まってのタバコは問題ありません。
- 立ち止まっての禁煙は、駅周辺など推進地区以外はOK
墨田区のようなケースは多いのです。
東京都・中央区
「歩きタバコは禁止」
灰皿のない路上での喫煙もNG、携帯灰皿もNG
中央区は歩きタバコも立ち止まってもダメです。
結局、自治体によって違うため、旅行に行く際などは確認していったほうが良いでしょう。
加熱式タバコはどうなの?
代表的な加熱式タバコにiQOS(アイコス)があります。
中身は高温(300度)ですが、外側は熱くないため火傷はしません。副流煙がなく、主流煙にもタールが9割少ないようです。
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