「いかのおすし」という合言葉は不審者に対する行動を子供にわかりやすく覚えて貰うための標語です。
近年では学校で教わることも多く、子供を通して親も聞いたことがある人が多いかもしれません。
しかし、改めてそれぞれの文字の意味を聞かれると大人でもあやふやになるものです。
今回はそんな「いかのおすし」についてその意味や覚え方を紹介していきます。
これから子供の自己防衛のために教えたいと思っている方はぜひ確認してみてください。
「いかのおすし」の成り立ち
日本全国で防犯標語として使われる「いかのおすし」ですが、これが作られたのは平成16年とそれほど昔ではありません。
当時は不審者によって子供が被害に遭う事件が度々起こっており、警察も学校を訪問して注意を促すなどの活動が増えてきていました。
そんな中で子供たちにわかりやすく防犯のやり方を覚えて欲しいという願いから「いかのおすし」が合言葉として作られたのです。
考えたのは警視庁少年育成課と東京都教育庁指導企画課で初めのうちは東京都のみで利用されていました。
それから、他の県警や指導団体も活用したいという要望から全国のセイフティー教室でこの合言葉を活用するようになったのです。
実際に多くの子供たちの耳に残る合言葉として広く知られるようになりました。
今では普段の学校教育の中や子供たちに注意喚起をするポスターなどにも使われるものです。
「いかのおすし」を子供に教える際のポイント
フレーズとして子供の印象に残りやすい「いかのおすし」ですが、教える際には意識しなければならないポイントがあります。
それは「いかのおすし」のそれぞれの意味をきちんと説明して覚えさせるというものです。
確かに「いかのおすし」自体は防犯標語らしかぬユニークな雰囲気で覚えやすくはあります。
しかし、一番大事なのは「いかのおすし」の中に縮められた緊急時の行動です。
いざという時に「いかのおすし」だけを思い浮かべても子供たちは正しい行動を取る事はできません。
そして、残念ながら子供たちの中には「いかのおすし」という合言葉のみを覚えてそれぞれの意味を覚えていない子供が少なからずいるのです。
また、それぞれの意味を勘違いして覚えてしまっている子もいます。
教える側と子供たちの認識が異なっているとせっかくの合言葉が意味を成しません。
なので、親として教える時はそれぞれの意味を説明しながら教えるべきものなのです。
また、学校や警察の指導で習ってきた時も「いかのおすし」の単語だけに注目せず、それぞれの意味を聞いて確認してあげるようにしましょう。
「いかのおすし」のそれぞれの覚え方と意味
それでは最も重要な「いかのおすし」の単語が持つそれぞれの意味を確認していきます。
教えたり、一緒に確認する際は必ず詳細な意味と合わせて見るようにしましょう。
「いか」ない
「いか」には知らない人について行かないという意味があります。
この際に「両親(祖父母)に確認します」という断るための言葉も教えてあげましょう。
例え、知っている人であってもこの言葉から入れば安全を確保できる可能性が高くなります。
また、危険な場所に行かないという意味もあるので、余裕があれば同時に覚えるようにしましょう。
「の」らない
「の」には知らない人の車には乗らないという意味があります。
また、知らない人の誘いに乗らないという意味としても教えられるものです。
こちらも「いか」と同じく知っている人でも「家族に確認してから」と相手に伝えることを教えてあげましょう。
「お」おごえをだす
「お」には連れて行かれそうになった時に大声を出して助けを呼ぶという意味があります。
この際にきちんと「助けて!」という言葉で知らせることも教えてあげましょう。
大声を出すだけだと周りからは駄々をこねているだけと見られる可能性があります。
子供からすれば叫ぶだけと思われてしまうこともあるので言葉の重要性も伝えるべきものです。
「す」ぐににげる
「す」にはすぐに逃げるという意味があります。
逃げるタイミングは危険を感じたり、怪しいと思ったりすれば逃げていいと教えましょう。
また、逃げる場所として交番や人が多くいるお店なども確認すべきものです。
特に近所の交番の位置は一緒に確認しておくと子供も安心できます。
「し」らせる
「し」には信頼できる人に知らせるという意味があります。
知らせる人物としては両親や祖父母、担任の先生を挙げておくと子供もわかりやすいものです。
家に誰もいないことが多い家庭は携帯電話での緊急の連絡先もこの時に改めて確認してあげましょう。
また、防犯ブザーを持っている場合はそれを使って周りに知らせるという意味としても教えられます。
「いかのおすし」と合わせて教えておきたいこと
「いかのおすし」は危険が起こりそうになった時の対処法になっています。
ただ、最初から危険が起こる可能性を低くすることも大切な自己防衛です。
ここでは「いかのおすし」と合わせて子供に教えておく良いことについて挙げていきます。
外で一人にさせないようにする
不審者に声をかけられる可能性は一人でいるほど高くなるものです。
そうならないように下校の時や外で遊ぶ時はなるべく一人にならないようにすることを教えてあげましょう。
前者については学校側も考慮してくれますが、後者は子供自身が自覚しなければいけないことです。
行く場所や帰る時間を教えて貰うようにする
子供の行動が把握できれば大人としても安心できるので、遊びに行く場所や帰る時間は言ってもらう方が良いものです。
近年では携帯電話を持たせる家庭もあるので事前に聞かないこともあるかもしれませんが、なるべく遊びに出る前に聞くようにしましょう。
子供の方も事前に自分で帰る時間を言うことで次の早めに帰る意識が高まるものです。
早めに帰るように言う
日が落ちると不審者が動きやすくなる時間帯です。
そこで、門限をある程度の時間までと決めておいてそれまでには帰るように言うのも自己防衛の手段になります。
ただし、ここで遊ぶ時間を極端に狭めると子供も聞いてくれないので、あくまで門限を設けて早めに帰るよう促しましょう。
「いかのおすし」の覚え方に関して
「いかのおすし」を覚える際には年齢を考慮して覚え方を変えることがあります。
基本は「いかのおすし」に詰まっていますが、お子さんの年齢に合わせて覚え方も工夫してみましょう。
小学生よりも年齢が下のお子さんの場合
小さなお子さんの場合は覚えやすいといっても一気に覚えるのが難しいこともあります。
その場合は「いかのおすし」を更に簡単にした教え方をセーフティー教室でもしているものです。
主に「い」かない、「す」ぐにげる、「こ」えをだすの3つに絞られています。
「いかのおすし」という合言葉に拘らず、重要な部分の自己防衛を教えてあげましょう。
小学校低学年以上の場合
反対に少し大きくなった時は「いかのおすし」を更に発展させて「きょうはいかのおすし一人前」を覚えさせるのも良いものです。
「は」が早めに帰る、「一人」が一人ならない、「前」が出かける前の連絡と先ほど紹介した項目になっています。
そして、「きょ」は不審者から距離を取る、「う」は後ろに気を付けるというものです。
ただし、フレーズが長くなると単語だけに気を取られてしまう可能性も高くなるので、長くなった分の意味も一緒に確認してあげましょう。
まとめ
今回は防犯標語である「いかのおすし」について見ていきました。
「いかのおすし」覚えやすいフレーズではありますが、きちんとした意味を知っていないと意味がなくなるものです。
両親や祖父母の方は意味を覚えた上で子供たちと一緒に防犯の意識を高めてみてください。