スマートフォンをはじめ、モバイル端末やPCは技術の進歩に合わせてロックの解除方法の種類も多く存在するようになってきました。
最近ではカメラで顔周辺の構造をスキャンする顔認証や虹彩認証などもメジャーになってきましたね。
指紋認証はそれらに比べると一昔前の技術にも思えてしまうでしょうか。
しかしながら現在も指紋認証を搭載する機種は数多く販売されているメジャーな存在です。
筆者同様それらを使う方も少なくないのではと思います。
この記事ではそんな指紋認証のメリットや活用方法、また防犯の観点から注意すべきポイントについてまとめました。
指紋認証とは
指紋認証とは生体認証の一つで、その名の通り人の指紋をスキャンすることで本人であることを認証する仕組みのことです。
指紋つまり指にある模様は人それぞれ異なる上に一生変わることがないため、一旦データを蓄積しておけば個人を識別することができます。
昔から犯罪の捜査や個人の特定のために用いられてきた定番の方法ですね。国によっては現在でも重要書類に指紋が使われることも。
技術の進歩に伴って読み取り装置の精度向上や小型化が進んできた結果、現在では多くのスマートフォンやパソコン等に搭載されています。
指紋の読み取り装置には大きく分けて二つのタイプが存在します。
一つ目は指をスキャン面に押し付けて読み取るもの。iPhone8等のホームボタンに搭載されているものなどがこのタイプです。
二つ目はスリットの上で指を滑らせて読み取るもの。こちらはスキャン面の面積が小さくて済み小型化がしやすいというメリットがあります。
現在ではパソコンなどを中心に後者が主流になっていく傾向にあります。
しかしながらiPhoneなどに馴染みのある方は指を押し付けるタイプに親しみを感じる方は多いかもしれませんね。
指紋認証のメリットとは
指紋認証にはたくさんのメリットがあります。それらについて見てみましょう。
識別精度が高い
このメリットは防犯の観点から最も頼もしい部分といえるでしょう。
本人を確認するための生体認証手段である以上、他の人の生体的特徴と間違えるようなことがあってはいけません。
この点指紋認証の信頼性は非常に高いことが証明されています。
メーカーによっては限りなく100%に近い識別精度をはじき出しているデータも。素晴らしいですね。
識別速度が速い
この点も指紋認証の大きなメリットの一つといえます。
いってしまえばコンピュータが二つの指紋の絵の間違い探しをしているに過ぎないからです。
ロック解除の回数が多い場合には非常に大きなポイントですね。
手軽に認証できる
スマートフォンなどの機器は画面のオンオフが多いため、繰り返しロックしては解除することになります。
ロック解除をするたびにパスコードなどを入力するのが少々面倒くさいと思う方は多いのではないでしょうか?
指紋認証であれば乾いた手でさっと指を押し付けるだけでロック解除ができるので、急いでいるときでも助かるかもしれません。
マスクを着用していても大丈夫
指紋認証の後に普及してきたのが顔認証や虹彩認証などカメラを使用するタイプの生体認証です。
これらの認証方式も非常に高精度なのですが、顔認証などはマスクなどで顔を覆っている場合には使いにくいというデメリットがあります。
普段からマスクを着用している人の多い日本では、iPhoneⅩの顔認証が不評だというニュースも一時期ありました。
その点、指紋認証の場合はスマートフォンを持っている手の指を触れるだけで済むため便利と感じる人は多いかもしれません。
もちろん、たとえスマホ対応であっても手袋を着用している場合には外す必要はありますが。
一般家庭でも便利に利用できる
指紋を複数登録することができるということで、家族数人の指紋を登録しておけば誰でも端末のロックを解除することができます。
もちろん情報セキュリティの面でアカウントの管理をしっかりしておくことが前提となります。
それでも、アクセスのしやすさという観点ではとても便利な機能の一つといえるかもしれません。
活用方法
指紋認証を上手に活用する方法について考えてみましょう。
登録する指は2本以上
人によっては「指紋認証といえば右手の親指で」という方もおられるでしょうか。
指紋認証をするための指は、1本だけでなく基本的に2本以上登録することが望ましいといえます。
なぜなら、登録している指の指紋が傷などで読み取れなくなる可能性があるためです。
指紋が読み取れなければ、結局のところ指紋認証のメリットを生かすことができませんね。
また右手で端末を持っている時だけでなく左手でもロック解除を素早くできるという利点も。
ですので、例えば「親指と人差し指を左右で」登録するという方法もあります。
登録する指紋の範囲を広めに
指紋認証の指を登録する時、指紋の範囲があまりにも狭いとそのピンポイントな部分でしか認証ができなくなります。
そして一定時間内に認証できずに結局はパスコードでロック解除…ということが増えてしまうのです。
ですから、指紋を登録する時にはなるべく指をずらして広い範囲の指紋を認識するようにしておきましょう。
触れる指はなるべく清潔に
指紋が読み取れなくなるのは傷などで指紋が欠けてしまった時だけではありません。手の指は時に濡れていたり汚れていたりするもの。
当然ながらそんな状態でセンサーに触れたところで、指紋をうまく読み取ってくれる可能性は高くはないでしょう。
当たり前のことですが、指紋認証する時にはなるべく水分や汚れを取り除いてからタッチしましょう。
安全性は大丈夫?
指紋認証は便利ですが、当然ながら多くの弱点も存在します。
無意識のうちに利用される可能性
まず認証のために使用するのが手の指であるという点が脆弱性の元となっています。
例えば、人が使っているあらゆるものには指紋が付着しています。
物を貸し借りする時には、そのままでは自分の指紋を相手に渡しているようなものです。
またどの指なのかさえ分かっていれば、眠っている時に触れるだけでも端末のロックを解除できてしまいます。
もちろん顔認証なども同様なのですが、パスコードのような記憶に基づくものに比べるとセキュリティ面では劣るといえるでしょう。
指紋盗難のリスクも
さらに厄介なこととして指紋が盗難されるという危険もあります。
どういうことかというと、スマートフォンなどでSNS用に撮影した写真に自分の指の腹が写っている場合があるのです。
例えば定番のポーズとしてピースサインやサムズアップなどが挙げられます。
これらの写真から指紋を読み取り、本人になりすまして悪用するというケースが考えられます。
指紋が盗まれる?対処方法は
指紋認証が抱えるセキュリティ面での脆弱性に対してどのように対処すればよいのでしょうか?
身の回りのものの指紋はよく拭き取る
まずは自分の身の回りに残っている指紋を取り除くということです。
特にスマートフォンの画面や指紋のセンサーそのものに自分の指紋が残っていることは少なくありません。
皮脂汚れで汚いというのもありますが、防犯面でも普段から指紋の拭き取りを習慣づけることをお勧めします。
SNS等に使用する画像は画質を落とす
次に、写真から指紋を盗み取られないように対策することが大切です。
具体的な方法としてはどアップで指の腹を写さない、また読み取れないよう画質を落とすというものがあります。
楽しく撮って投稿した写真から個人情報が漏れ被害に遭うというのは何とも悲しいことです。この点も普段から気を付けましょう。
あえて指紋ではない部分を登録しておく
根本的に指紋が盗難される危険性をもっているのであれば、そもそも指紋を登録しなければ済むという話。
前提として、指紋認証センサーはあくまでも指紋を登録しなければならないというわけではありません。
むしろ自分の皮膚のどの部分を選んで登録しても認証が可能です。
たとえば指の関節のシワなどを登録しておくという方法もあります。
これなら他の人に指紋を盗み取られようが心配する必要はありませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
指紋認証は手軽で信頼性も高い歴史ある認証方式ではありますが、一方で多くの危険性も抱えています。
それらのデメリットについてしっかり理解したうえで、他の認証方式ともうまく組み合わせながら活用していけるといいですね。