いち早く自動車で目的地に到達するための便利な存在が高速道路です。
残念なことに高速道路では、日常的に追突事故が起きています。
高速道路の事故はドライバーの逆走によるものも多く、ニュースでも話題になりやすいです。
安全に高速道路を走るためにも、逆走の原因や対策は知っておく必要があります。
今回は高速道路で起きる逆走の原因や対策法などを見ていきましょう。
ニュースで耳にする高速道路の逆走はどの程度起きているのか?
高速道路の逆走事故はニュースでもよく耳にすることです。
ニュースで伝えられるたびに、「ああ、またか」と思う方もいます。
よく耳にするとはいえ、実際にどの程度の頻度で逆走が発生しているのでしょうか。
実は私たちが思っている以上に、高速道路での逆走は多く発生しています。
高速道路の逆走は2日に1日の頻度で発生
高速道路で逆走が起きる頻度は、2日に1回以上と意外と多いです。
月間で計算すれば、月の半分は全国のどこかの高速道路で逆走が起きていることになります。
国土交通省や高速道路会社(NEXCO)によれば、2017年の逆走事案発生件数は年間207件です。
1年365日の半分が約180日であることから、「2日に1回以上」という結果になります。
高速道路を逆走するドライバーとは
高速道路を逆走といえば、高齢者が引き起こすイメージが強いです。
確かにニュースでも、高齢者が逆走した内容でよく報道されます。
加えて上記のデータでも、207件中134件が高齢者が起こしたという分析結果です。
この件数は全体の65%に相当するため、逆走事故=高齢者のイメージも無理もありません。
しかし残り35%が、高齢者以外のドライバーによって引き起こされています。
このため逆走事故は、ドライバーであれば年齢に関係なく発生の可能性があると考えるべきです。
高速道路での逆走が起きる原因はどこにある?
高速道路の逆走はどのようにして引き起こされるのでしょうか。
主な要因として、以下の3点がよく挙げられます。
年代に関係なく誰もに起こりうる状態のため、しっかり見ていくことが大切です。
正常な判断や認識がない状態
最初に、「正常な判断や認識のない状態」が挙げられます。
具体的には、高速道路を走っている自覚や正しいコースを進んでいる認識がない状態です。
原因として、飲酒で酔った状態であることや高齢者の判断力の低下などが挙げられます。
また高齢者については、認知症が原因という場合も多いです。
案内表示の見逃し
また高速道路を走行中に案内表示を見逃したことが逆走の原因になることもあります。
よくあるのが、IC(インターチェンジ)の出口から進入し、本線を逆走するパターンです。
また料金所を過ぎて、反対車線に入って逆走することもあります。
ほかにも休憩所であるSAやPAを出発する際も、出口を間違えて逆走になることも多いです。
加えて眠気やよそ見などが原因で案内を見逃し、逆走に至ることもあります。
特にこの点は若いドライバーでもあり得ることであるため、注意が必要です。
出口などを間違えた
さらに一般道への出口を間違えるなどして逆走する発生状況もあります。
具体的には、目的地と異なるICから出た場合や、JCTで別路線に入った場合です。
どちらも本線に戻ろうとして、焦りのあまり逆走していたケースになります。
ほかにも降りるはずだったICを通過してから、戻ろうとUターンしてしまうことも多いです。
いずれのパターンも、逆走とわかっていて行う時点で故意といえます。
高速道路での逆走を防ぐ対策とは?
高速道路での逆走は、ともすれば大事故につながる可能性をはらむものです。
とはいえ、逆走を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
主な方法として、以下のような案内標識の確認と特別転回が挙げられます。
また自分が逆走してしまった場合の対策も見ておきましょう。
案内標識の確認
高速道路での逆走を防ぐ最大の手立てが、案内標識を確認することです。逆走の主な原因は、IC・JCT・休憩所で方向を誤る点にあります。
このためICなどの方面案内や矢印をきちんと確認していれば、逆走の発生率は低いです。
またNEXCOでは路面標示なども充実させて、逆走対策を行っています。
案内標識以外にも、案内表示なども意識することで、より逆走のリスクを回避できるでしょう。
特別転回
また降りるべき出口を通過した場合に備えて、「特別転回制度」を知っておくのも手です。
誤ってICを通り過ぎたことを次のIC料金所で申し出ると、通り過ぎた分の料金が免除されます。
降りるICを通過して冷静さを失うことも、逆走によくある原因の1つです。
特別転回制度を知り、誤って通過した場合に適用を受けるだけでも逆走を大幅に防げます。
もし逆走してしまった場合は?
もし自分が高速道路を逆走してしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか。
仮に逆走してしまった場合は、まず減速して道路の路肩に車を停めます。この時、ハザードランプを点灯させることも大切です。
そして携帯電話や高速道路の非常電話で、警察や道路管理者に連絡します。
あとは道路管理者や警察官の指示に従って、しかるべき対応をすれば大丈夫です。
高速道路で逆走した場合の罰則とは?
やたらと耳にすることの多い逆走行為は、法律ではどのような罰則があるのでしょうか。
自分が逆走する可能性がある以上、逆走に適用される罰則について知っておくことも大切です。
実は交通事故が発生したかどうかによって、適用される罰則の重みも変わってきます。
事故が発生していなければ罰則は軽い
まず逆走をしていて事故が発生しなかった場合は、そこまで重い罰則は科されません。
逆走行為自体は、道路交通法の「通行区分違反」に当たります。そしてこの場合は、違反点数が2点と反則金9,000円が科されるだけです。
もちろん反則金も、期限まできちんと納付すれば違反点数が残るだけで済みます。
無事故の場合、逆走行為に対する罰則は青キップだけと意外と軽いです。
事故が発生した場合は「危険運転致死傷罪」に
ただし逆走行為で事故を起こした場合は、適用される罰則も一気に重くなります。
具体的には「危険運転致死傷罪」に当たり、刑事罰が適用される状態です。
そして衝突した相手が負傷した場合は、逆走者は15年以下の懲役が科されます。
さらに相手が死亡した場合は、1年以上20年未満の懲役とより重い刑罰です。
逆走で事故を起こした場合は、自身が無傷でも人生に暗い影を落とすことになります。
高速道路で逆走を見かけた場合、どうすれば良い?
実際に高速道路を走っていて、前から逆走車が走ってきたら恐ろしいことです。
ニュースでも逆走する映像がよく流れるため、逆走車対策が気になる方もいるでしょう。
逆走を見かけた場合に取れる対策として、以下の2つが挙げられます。
追い越し車線を極力走らない
まず前もってできる対策が、追い越し車線を極力走らないというものです。
逆走している側は追い越し車線を左車線と思い込んでいます。このため、高速道路での逆走は追い越し車線でも発生しやすいです。
このため、追い越し車線の走行は必要最低限にとどめるべきでしょう。不要な時に追い越し車線を避けることが逆走に巻き込まれない第1歩です。
相手が自覚している場合は、やり過ごして連絡
もし逆走している相手が自覚しているようであれば、うまくやり過ごすことがコツになります。
具体的には、意図的な逆走の場合は、事故に遭わないように路肩を走ることが多いです。
ただ逆走車をやり過ごしても、放置するのは良いことではありません。
もし逆走車を見かけたら、非常電話などで道路の管理者や警察に通報すると良いでしょう。
ほかにも料金所の職員などに伝える方法もあります。
前方に逆走車がいた場合、安全な場所に停車
もし逆走車が前方に現れた場合は、安全な場所に停車して避けることが重要です。
このときに、こちらのスピードを落とすことがコツになってきます。
速度を維持したままハンドル操作で避けようとすると、逆に事故になるためです。
速度を落としつつ、冷静に避けることで事故を未然に防げます。また相手も逆走行為をやめて、路肩に避難しようとするでしょう。
まとめ
高速道路での逆走の原因や対策などについて見てきました。
逆走が起こる主な原因は、ドライバーの判断力の低下や案内表示を見逃したことです。また降りるべき出口を間違えて逆走するケースもあります。
このため逆走を防ぐには、案内標識や路面標示をしっかり確認することです。しっかり確認するだけで逆走は大幅に防げます。
なお逆走を見かけた場合、追い越し車線を走らないことや安全な場所に退避すべきです。
逆走は1つ間違えれば重大事故につながり、死亡することもあります。日頃から逆走に対する知識を身に着けて、備えることが大切です。