駐車場や公道で車などをぶつけられ、その後逃げられる行為が当て逃げです。
相手が非を認めないで逃げるようなものであるため、後味も悪いでしょう。
ただ当て逃げされた際の対応や予防策は、実のところいくつかあります。
今回は当て逃げの予防策などをいろいろと見ていきましょう。
当て逃げが発生するケースとは?
気が付けば停めてあった車にこすった後が見られることがあります。
もしその痕跡に心当たりがない場合は、当て逃げされたとみなして良いでしょう。
当てられた上に逃げられることで発生する当て逃げには、いくつかのパターンがあります。
まずは当て逃げが発生するパターンで、よくあるケースを見ていきましょう。
気付かないで当て逃げしてしまうケース
最初に挙げられる当て逃げのパターンが、気付かずに当て逃げするケースです。
具体的にはガードレールや縁石などと当たり、衝撃音などが小さかった場合があります。
かすったうえに衝撃音が小さければ、責任が問われる可能性はそこまで高くありません。
ただし目撃者がいるなどして発覚した場合は、責任を追及されることもあります。
気が動転して怖くなり逃げてしまったケース
次に挙げられるパターンが、何かにぶつけて気が動転してしまい発生するケースです。
例えば相手の自転車にぶつかり、パニックになって逃げた場合などが該当します。
この場合は動転のあまり、故意さが全く認められないことになるでしょう。
このため気が動転した場合は、加害者側の責任は認められません。
背負う責任から逃れるためにやってしまうケース
最も悪質なパターンとして、加害者が責任逃れのために立ち去り発生するケースがあります。
具体的には、当てたことに対する罰金などを逃れるためのものです。
この場合は、気が動転した場合と異なり非常に意図的といえます。
このため責任逃れで当て逃げした場合は、しかるべき責任を求められるでしょう。
当て逃げした場合に罰則とは?
もし当て逃げしてしまった場合、どのような罰則があるのでしょうか。
実は当て逃げに対する刑罰は、思っているよりも厳しめです。このため、たかが当て逃げと思っていると痛い目に遭うでしょう。
当て逃げに対する罰則は、主に以下のようなものです。
危険防止等措置義務違反に相当
まず当て逃げが発生すると、「危険防止等措置義務違反」が適用されます。
つまり、被害者の救護など適切な対応を怠ったことで法的に処罰されるというものです。
具体的な刑罰の内容は、懲役1年以下または10万円以下の罰金が科せられます。
また運転免許でも違反点数が5点と、違反切符にしては重めの処分です。
報告義務違反も適用
また警察への報告を怠った場合は、報告違反義務も適用されます。
これは当てて物損事故が発生したにもかかわらず、報告せずに発生するものです。
報告義務違反だけでも、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
加えて違反切符であれば、2点の違反点数が科せられる内容です。
両方含めると免停30日に
当て逃げを行ったうえ、警察に報告しなかった場合、どうなるのでしょうか。
この場合は、危険防止等措置義務違反と報告義務違反の両方に問われます。
特に交通違反については、両方の義務違反分が適用される流れです。違反点数が7点になるため、30日の免停処分となります。
なおひき逃げの場合は、対人事故となるため、科せられる処罰は重いです。
実はある!当て逃げの予防策とは?
気が付かぬうちに車がこすられている当て逃げは、なんとしても避けたい方もいるでしょう。
実は当て逃げには、いくつかの予防策があります。主に駐車場などでの駐停車を心がければできることです。
ほかにもドライブレコーダーの活用や車をきれいにしておくことも挙げられます。
駐車場の出入口付近に車を停める
最初に挙げられる当て逃げの予防策は、「駐車場の出入口付近に車を停めること」です。
駐車場の出入口付近は多くの車が行き交うため、当て逃げが起きても目撃者も多くなります。
また駐車場の出入口付近に車を停めるのは、運転経験が豊富なドライバーが多いです。
彼らは運転経験が豊富であるからこそ、当て逃げが発生しにくくなります。
以上の点から、駐車場の出入口付近のスペースが当て逃げを防ぐ第1歩です。
駐車場でスペースが広いところに停める
また駐車場でもスペースの広いところに停めるのも、おすすめの方法といえます。
スペースが広めに設けられているところは、間隔が広く当て逃げの可能性が低いです。
特に大型ショッピングセンターなどの駐車場は、間隔が広くなっています。
このため広めのスペースを見つけやすく、当て逃げも避けられるでしょう。
ドライブレコーダーを活用する
車に搭載されているドライブレコーダーを活用するのも、予防策の1つです。ほとんどのドライブレコーダーには駐車監視機能が付いています。
駐車監視機能も、衝撃とともに録画を開始するものや動体検知で録画するものなどが主です。
このため、当て逃げに備えてドライブレコーダーを設置するのも有効といえます。
車をきれいにする
ほかにも常日頃からできる方法が、「車をきれいにする」というものです。
車を常にピカピカにしておくと、周りからは新車や高級車のように見えます。
ほかのドライバーからすると、「ぶつけて損したくない」と思わせるには十分です。
このため、休日などに車をきれいに掃除するだけでも当て逃げ防止につながります。
当て逃げの被害を受けた場合の対策とは?
日常生活で道を利用する限り、当て逃げをされる可能性は誰にでもあり得ることです。
もし当て逃げの被害を受けた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
以下にある方法を知っておくと、当て逃げに遭っても落ち着いて対応できます。
警察に通報する
当て逃げの被害を受けたらまず、警察に通報することが重要です。警察官は現場検証を行った後、事故証明書を発行してくれます。
事故証明書は保険の適用や加害者への損害賠償請求の際に必要です。
また加害者の特定も警察で行われます。ただし証拠がなければ特定しにくいため、目撃情報や証拠を揃えることが重要です。
なお自分で加害者を特定した場合は、速やかに警察に報告するべきでしょう。
目撃者や証拠を集める
警察への通報と合わせて、当て逃げの目撃情報や証拠集めもしておきます。
目撃情報については、聞き込みや駐車場などの防犯カメラを活用する方法が一般的です。
証拠については、当て逃げした車の種類やナンバー、運転者や同乗者の特徴などを記録します。
このほかにもドライブレコーダーの画像の確認や、スマホのカメラでの撮影も有効です。
加入している保険会社に連絡する
さらに自動車保険に加入している場合は、保険会社に連絡します。
この際に加入している保険の種類に注意が必要です。保険によっては当て逃げの補償できない場合もあります。
もし加害者を特定できた場合は、加害者の保険で補償を受ける流れです。
駐車場の管理会社に連絡する
もし駐車場内で当て逃げが発生した場合は、管理会社に連絡します。
管理会社によっては、防犯カメラやドライブレコーダーの映像を確認できる場合があるためです。
当て逃げしてしまった場合の対策とは?
逆に当て逃げしてしまった場合は、どのような対処法がおすすめなのでしょうか。
当て逃げしてしまった場合は、誠実な対応が求められます。特に相手がいる場合は、誠意をもって謝罪するべきです。
相手がわかる場合は誠実に謝罪する
当て逃げしてしまった相手がわかる場合は、ひたすら誠意を示して謝罪します。
特に気付いた時点で謝罪するのが良く、可能な限りぶつけた時点でお詫びするべきです。
言い訳や逆ギレすることなく、言葉遣いにも注意することがコツといえます。
お互いに落ち着いた段階で警察を呼び、示談するべきでしょう。
警察にきちんと報告する
また警察にはきちんと報告するべきです。当て逃げ行為自体が刑事罰の対象であり、報告を怠ればそれだけでも刑事責任を問われます。
加えて被害者と話し合いできない場合でも、警察官がいればいろいろと助けられるでしょう。
まとめ
駐車場などで当て逃げされた場合の対策や予防策について、いろいろと見てきました。
予防策としては、駐車場の出入口付近や広いスペースへの停車がおすすめです。また車をきれいにしておくことなどが挙げられます。
一方で当て逃げされた場合は目撃情報や証拠集めと、警察への報告は欠かせません。ほかにも保険会社や管理会社にも報告するべきでしょう。
誰にとってもされたくない当て逃げは、対処法がいろいろとあります。日頃から対処法や予防法を理解して、当て逃げに備えることが大切です。