強要罪になる言葉の事例集|謝罪や土下座の強制は罪になる?成立要件を解説

パワハラなどのハラスメントが取りざたされる現在、誰もが言動に注意する必要があります。

仕事中の何気ない言動でも、1つ間違えれば強要罪とみなされるためです。

そして強要罪は懲役刑でもあるため、下手をすれば前科が付きます。

今回は強要罪の対策法や強要罪に当たる言動などを見ていきましょう。




強要罪の成立要件とは

裁判官席

強要罪と聞くと、「他人に何かを強要して罪に問われる行為」とイメージしがちです。

しかし実は、強要罪が成立する要件は刑法にきちんと明記されています。

具体的には、以下に挙げられる3点のいずれかに当てはまった場合です。

相手に何らかの危害を加えると告知した場合

まず「相手に何らかの危害を加えると告知した場合」が挙げられます。

例えば「お前の悪い噂を広める」と脅すことで、相手に意に沿わないことをさせる行為です。

なお刑法では、「生命や身体、自由、名誉若しくは財産に」対する危害と明記されています。

このほかにも相手だけではなく、その親族を脅した場合も罪を免れません。

相手に対し暴行や脅迫を働いた場合

また相手に対して暴行や脅迫を働く行為も強要罪の成立要件です。

相手が非を認めるまで殴り続けたり、退職させようと脅したりする行為が挙げられます。

また相手の胸ぐらをつかむ行為も、実際に殴っていないものの強要罪に当たるでしょう。

このように物理的または精神的な暴力を加え、相手の安心感を奪う行為も脅迫罪の要件です。

義務以外で相手が嫌がることを強要した場合

義務以外に相手が嫌がることを強要することも、強要罪が成立する要件です。

わかりやすい例では、セクハラなどのハラスメント行為も強要罪の成立要件となります。

また相手が自らの権利や自由を行使することへの妨害も、強要罪の対象です。

例えば、有給休暇を取ろうとする社員を叱りつけてあきらめさせる行為が挙げられます。

人に暴行、暴言を加え、無理やり義務のないことをさせる行為は、「強要罪」という罪に該当します。

引用:強要罪とは|エール少額短期保険




強要罪と脅迫罪はどこに違いがある?

法律書とノート

強要罪の成立要件を見ると、脅迫罪とよく似ているように見えるでしょう。

そこで疑問として出てくるのが、強要罪は脅迫罪とどこが異なるのかという点です。

実は刑法では、両方について明確な違いがあります。

脅迫罪は危害を加える告知のみ

強要罪は他人を脅すなどして、彼が望まないことを強いる行為に対する罪です。

ポイントとして脅すなどするだけではなく、意に沿わない行動に駆り立たせる点にあります。

一方で脅迫罪は、強要罪に比べると危害を加える告知に対する罪です。

対象が「殺す」・「クビにする」・「近所に言いふらす」などと脅す行為にのみ限定されます。

相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅迫する罪(刑法222条)。

引用:脅迫罪|コトバンク

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強要罪は脅迫罪以上に罪が重くなる

このように強要罪と脅迫罪はよく似ているようで、明確な違いがある点に注意すべきです。そして両者の違いは、科される刑罰にも出てきます。

脅迫罪の場合は、懲役2年以下または30万円以下の罰金です。一方強要罪は懲役3年以下となっています。

相手に望まない行為を強制する分、強要罪は脅迫罪以上に罪が重くなるのがポイントです。

強要罪の刑事罰は、3年以下の懲役です。

引用:強要罪|横浜ロード法律事務所

強要の内容によっては他の罪に問われることも

どちらも法定刑である強要罪と脅迫罪。しかし強要罪については、実際の内容によって他の罪に問われることもあります。

例えば飲み会で一気飲みを強要し、相手が急性アルコール中毒で倒れたら傷害罪の対象です。

またこのことが原因で死亡した場合は、傷害致死罪にも問われます。

このように強要罪では、内容や結果によって罪が重くなるリスクも知っておくべきです。




強要罪の「未遂」とみなされることもある

手錠をはめられる

強要罪についての重要なポイントとして、未遂であっても罪に問われる点が挙げられます。

例えば謝罪を強要し、相手が謝罪しなくても、強要したこと1つで未遂罪が成立する内容です。

そして強要未遂罪に問われた場合も、強要罪と同じく懲役3年以下の刑罰が科されます。

「未遂罪」と聞くと殺人未遂をイメージしやすいものの、それほどに強要罪は重い罪です。

強要罪に当たる言動の事例とは?

女性社員たち

他者とのコミュニケーションの中で強要に当たるようなことは意外と多く存在します。

このため私たちは、どのようなケースが強要に当たるのかをしっかり理解しておくべきです。

ここでは強要罪に当たる行為を3つ見ていきます。日頃の行為を見直す参考材料にすると良いでしょう。

ケース①:コンビニ店員への土下座強要

土下座のシルエット

最初に挙げられるのが、コンビニ店員に対して土下座を強要する行為です。

店員の接客が気に入らないなどの理由で、土下座するように迫る行為はよく見られます。

本来であれば謝罪で済むところを、店員の義務を超える土下座までさせるのは強要そのものです。

特に店員に対して威圧的な態度で接しがちな人は、この点は十分気を付けるべきでしょう。

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ケース②:飲み会の席でのアルハラ

乾杯

職場やサークルなどで飲み会の機会は非常に多い一方、飲み会の席ではアルハラも起こりえます。

アルハラでは、一気飲みの強要など強要罪に当たるような行為も多いです。

サークルであれば「部の伝統だから」という理由で一気飲みを強要させることもあります。

また「俺の酒が飲めないのか」と言って、無理やりお酒を飲ませるケースも多いです。

どちらの場合も、相手の意思を無視してお酒を飲ませるという点で強要罪の対象となります。

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ケース③:就職活動時のオワハラ

2010年代から新卒学生の就職活動でよく見聞きするようになった「オワハラ」。実はオワハラも程度や内容によっては強要罪の対象になります。

応募者が誓約書にハンコを押すまで帰らせない行為は、身体の自由をも侵害する重大な行為です。

また内定辞退した学生に対して、「謝れ」などと脅すのも強要罪になりかねません。

いくら気に入った応募者がいたとしても、度が過ぎる囲い込み行為は避けるべきです。

ケース④:ネット上で強要する行為

強要罪は対面や電話口などでの行為だけではなく、ネット上での書き込みにも適用されます。

例えばネット上での発言に対する「炎上が嫌なら土下座しろ」のような書き込みは対象です。

ほかにも相手に「お前なんか死ね」と書き、相手が自殺した場合は自殺教唆罪にもなります。

顔が見えにくい分、強要とも取れる書き込みが多くなるのがネットの世界です。ネットでの相手に対する書き込みには十分注意すべきでしょう。

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言動が強要罪に当たらないようにするには

STOPと手形

日常生活では意外と強要に当たる言動が多くなりがちです。それではどのようにすれば、強要罪に問われるような言動をせずに済むのでしょうか。

ここでは、すぐにでもできるような方法を以下の3つでご紹介いたします。ぜひとも参考にしていただければ幸いです。

相手が嫌がることを控えるようにする

強要罪に問われないようにするには、相手の嫌がることを控えるようにします。

お酒を飲めない人に無理強いすることや、休みなしに働かせることは相手の嫌がることです。

このため、日頃から相手の望みや嫌がることを理解するよう努力するべきでしょう。

加えて初対面の人に対しても、しっかりと要望などを聞くのがポイントです。

そのうえで相手が嫌がることはやらせないように努力することが重要といえます。

強要に当たりそうな行為に発展しそうであれば止めるようにする

相手が嫌がることを強要しないといっても、感情が高ぶってそうもいかない場合も多いです。

このような場合は、周りの人間も強要に当たりそうな行為を見た時点で止めるべきでしょう。

周囲の第三者が止めることによって、本人が落ち着きを取り戻し強要せずに済みます。

強要されていると感じたら、遠慮なく断って良い

一方強要を受けていると感じた側も、しっかり意思表示することが大切です。

例えば一気飲みを強いられそうになった場合も、遠慮なく断って良いでしょう。

それでもしつこい場合は、訴える旨を突き付けるのもありです。

強要された結果、自分が不利益を被り心に傷を負ったというケースも多くあります。

健全に日々を過ごすためにも、強要されていると感じたときにきっちり断るべきでしょう。

まとめ

笑顔を振りまく女性

強要罪について、罪の内容や事例などを中心に見てきました。

強要は職場や学校など上下関係ができやすいところでは、頻繁に見られます。

このため、自分が相手に何か強要していないかどうかに気を配ることが欠かせません。

意に沿わないことをやらせるだけではなく、未遂でも同様の刑罰が科されるのが特徴です。

加えて強要された結果、相手やその親族が害を受けた場合は他の罪にも問われます。

相手の望みや嫌がることをよく理解し、強要しないことが強要罪に問われない第1歩です。

同時に強要されていると感じたら、遠慮せずに声を上げるべきでしょう。




本サイトの記事は犯罪に巻き込まれない、犯罪を未然に防ぐという観点から書かれたものであり、 実際に犯罪に巻き込まれた場合や身に迫る危険がある場合はすぐに最寄りの警察署までご相談ください。

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