スマートフォンが普及した現代、資産の在りかや使い道、支払いの手段は数えきれないほどバリエーション豊かです。
その複雑さに、すべてを上手に管理するのが大変だと感じる方は少なくないのではないでしょうか。
さらにはスマートフォンでインターネットサイトにアクセスする機会も多くの人にとってぐっと身近になりました。
これら情報社会に生きる現代人の隙を突いた手口で、誰もがそれに陥りかねないよう用心すべき詐欺、それが架空請求詐欺です。
架空請求詐欺への対策方法、またそれを知るために詐欺師が使う手口について解説していきたいと思います。
架空請求詐欺の2つの狙いとは?
まず最初に架空請求詐欺とはどのようなものなのかを確認しておきましょう。
架空請求詐欺とは、ズバリ、架空の請求をすることによって最終的にお金を支払わせる詐欺のことです。
特定の人ではなく誰もが被害に遭う可能性をもっているので、非常に注意が必要です。
未払いの料金があるなど架空の事実を口実とし金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。
この詐欺を働く詐欺師の大きな狙いは2つです。
まず1つ目はお金をだまし取ることです。こちらは詐欺師が共通して大前提また最大の目的とすることですね。
そして2つ目は個人情報を入手することです。こちらが架空請求詐欺のプロセスにおいて肝となる部分です。
個人情報は適切に保護されている限り、基本的に外部から知ることができません。
そこで詐欺師は、ターゲットが意図せずして自分から情報を漏らすよう、架空請求という巧みな罠を仕掛けておくのです。
ですから、まずは個人情報を漏らさないよう対策を打つこと、これが架空請求詐欺を防ぐ主なテーマとなります。
どんな請求をしてくるのか?
架空請求詐欺について知るべき大きな2つの要素は、請求の口実と手口です。
まずは詐欺の口実、つまりどのような内容を請求してくるのかということです。
手口は実に多種多様ですが、これから列挙するような請求内容に共通しているのは架空であるゆえに具体性がないということです。
また、詐欺師は基本的にあなただけでなく不特定多数をターゲットとしているため、宛先が記載されていません。
具体的な請求内容の例は以下に挙げるようなものです。
インターネットサイトをクリックした
詐欺師は、「あなたは過去にこんな有料サイトにアクセスしています」とほのめかし、アクセスや情報の料金を請求してくる手口を使います。
普段からインターネットをよく活用している人ほど、この手口に陥るリスクが高いといえるでしょう。
この手口の場合、特定のサイト名やURLを請求内容に記載していない、または偽URLを使用していることで見分けることが可能です。
会員登録をした
「あなたが過去に登録したこのサイトやサービスの登録料が未納ですよ」というケースも存在します。
こちらの場合も同じく、特定の企業名やサイト名などが明記されていないという特徴があります。
特定の権利をもっている
こちらの手口は普通手順が複雑で、数名で協力しながら仕掛けてくるものになります。
まず電話などで、「あなたはこんな特別な権利を持っています。それで名義を譲ってもらえませんか」といったことを持ち掛けてきます。
ターゲットは親切心から名義を譲る、または貸すことになります。
するとそのタイミングで、共犯者となる別の人が電話をかけてきます。
そして、「名義貸しは犯罪ですよ、調査が入るなどしますよ」と脅すなどして不安を煽ります。
脅されたターゲットは、お金を払ってしまうという流れです。
ターゲットとなる人の親切心に訴える巧みな話術によって、電話を切ることなくその場で判断させてしまうというところに怖さがあります。
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詐欺の具体的な手口とは?
次は、詐欺の手口、つまり詐欺師が私たちにどのような仕方で請求してくるのかについてご説明していきます。
架空請求詐欺には郵便物・メール・電話といった誰もが使うことのできる手段が使われます。
郵便物を送ってくる
多くの場合、手紙やはがきといった形でターゲットの自宅に届きます。
普段見慣れない出どころからの手紙やはがきを見つけたら、少し警戒しましょう。
メールを送ってくる
見慣れないメールアドレスからメールが届いたときにも要注意です。
決して返信してはいけません。
電話をかけてくる
名義貸しなどの手口では特にそうですが、電話をかけてくるケースもあります。
出る前にかかってきた番号を確認して、最初に名乗るのを控えることが望ましいといえます。
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こんなセリフや発送元には要注意!
詐欺師は請求してくるとき、あらゆる手段を使って感情を動かし、正常な判断を下せないようにしてきます。
大きく分けてどのようなものがあるのかまとめました。
不安を煽る言葉
「警察」「逮捕」「法的措置」「訴訟」「裁判」などと聞くと、一般の方であれば無視できない重要な問題であると認識します。
裁判という言葉をちらつかせることで、被害者の不安感をあおります。また、「保険が使えるから全額返金される」などと言うこともありますが、すべて支払わせるための嘘です。
架空請求詐欺を働く詐欺師は、このような一見難解な法律用語を多用し、放置できない問題であるかのように見せかけます。
そのようにして、ターゲットの感情を揺さぶり、冷静で正常な判断を下せないようにしていきます。
言葉遣いに気を取られすぎるのではなく、全体を見て「どこか具体性が欠けているところがないか」というポイントを探しましょう。
親切を装った言葉
電話などを使う手口では、はじめはいかにも親切にこちらのことを本当に考えてくれているかのように接してくる場合があります。
「個人情報が漏れているので削除をしましょうか」とか「あなたはこんな人気商品を優先的に権利がありますよ」なんてことを言ってくることも。
はじめはそんな様子をみせていても、後には前述のように一転、不安を煽る言葉を使って巧みに平常心を崩してきます。
基本的に公的機関であれ見ず知らずの人が親切心だけで連絡してくるということはほぼありません。
もっともらしい発送元
宛先は無いものの、裁判所や他の公的機関に見せかけた発送元には注意しましょう。
後述しますが、中には本物も混ざっており放置すると民事訴訟で不利になってしまうケースもあります。
しかし詐欺師の用いるこの手口は実際に存在しない機関の名称が使われていることがほとんどです。
どうしても怪しいな、怖いな、と思う場合には、少なくとも記載の連絡先ではなく警察に連絡しましょう。
現金送付の要求は詐欺の手口
支払いの方法に現金の郵送を指定してくる場合、それは基本的に詐欺です。
そのような支払いには絶対に応じてはいけません。
どのような対策方法をとるべき?
架空請求詐欺の手口について理解していただけたと思います。
それではいよいよ、架空請求詐欺に陥らないようにどのように防ぐことができるのかということについて考えていきましょう。
詐欺師の目標がお金を払わせることであれば、私たちの目標は絶対にお金を払わないことです。
基本的な姿勢は、詐欺師サイドとの接触をできうる限り避けるということになります。
しかし、場合によっては放置してはいけないこともあるので、順番にご説明していきます。
メールや郵便物の送り主をこまめにチェックする
架空請求をする詐欺師は、不特定多数のターゲットの不安を煽ったりその気にさせたりすることで連絡を取ってくるのを待っています。
逆にいえば、こちらから連絡さえしなければ詐欺師は何もすることができません。
基本的に個人情報はこちら側が漏らすことで初めて相手に知られることになるからです。
なので、普段のものとは異なる出どころからメールや郵便物が届いたときには、まず立ち止まって考えましょう。
この時点で詐欺かどうかを見極めることは非常に重要です。まだ詐欺師側にはあなたの個人情報は漏れていないからです。
かかってくる電話の番号をチェックする
非通知で電話をかける手口の詐欺師に対しては、スマホや電話機などに非通知拒否設定をすることで事前に接触を避けられます。
登録されていない番号からかかってきた時には詐欺の可能性も疑いながら電話に出るようにすることができます。
重要な用件であれば改めてかけ直されると考えて、一度スルーするという方法もあります。
絶対に電話をかけてはいけない
詐欺師の主な狙いは2つ。個人情報を取得することと、それを利用して金銭をだまし取ることでした。
個人情報を漏らさないために安易に連絡をとらず無視することが、架空請求詐欺を予防する最も効果的かつ根本的な方法になります。
個人情報が漏れる出口そのものをシャットアウトできるからです。
なので電話であれメールであれ、記載の連絡先には絶対に連絡をとらないようにしましょう。
「心当たりのない方はこちらに連絡を」というものにも用心しましょう。心当たりのないものは連絡するのではなく放置することが最善です。
信頼できる人に相談する
一人で考えていると自分では見えない部分ができ、気づいたころには手遅れになっているということがあります。
ただでさえ不安を煽る犯行の手口により、焦りや不安が募っていて正常な判断を下しにくいようになっているからです。
可能な限り「今日、こんなものが届いたんだけど」など、気軽に相談できる人をもつよう日頃から心がけましょう。
もしかすると冷静に、客観的に判断できるよう助けてくれるかもしれません。
督促異議の申し立てをする
中には放置していてはいけないケースもあります。それは、実際に裁判所に架空の申し立てが行われている場合です。
その場合、正式に裁判所から督促状などが届くことになります。
これを無視して放置しておくと、後々不利になり、最悪のケースでは敗訴してしまう可能性もあります。
支払えなかったとしても、放置していれば借金の延滞金に加えて残債を一括で支払うよう迫られたり、強制執行により給与や預貯金を差し押さえられてしまう可能性があります。
本当に裁判所から届いているものがあるのを確認したなら、事実確認をしっかりととり、所定の手続きを行いましょう。
その時にも、記載の連絡先ではなく確実に裁判所の連絡先であるかを確認するのを忘れないようにしましょう。
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まとめ
この記事で扱ったことをまとめます。
- 架空請求詐欺とは、架空の請求を使って個人情報を入手し、金銭をだまし取る詐欺のこと
- 手口はターゲットの不安を煽るもので多種多様だが、架空であるゆえに具体性がない
- こちらから漏らさない限り個人情報が相手に知られてしまうことはない
- 基本的な対策は、無視し放置すること
- 本当に裁判所から督促状など届いた場合は、連絡先をよく確認したうえで所定の手続きを行う
自分は詐欺に引っかかることなどない、と自信過剰になることなく、「怪しいな」と少しでも感じたならそれに従って対策をしましょう。
この記事が、あなたの防犯意識に少しでもお役立ていただけることを願っています。
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