置き石で死刑になり得る汽車転覆等致死罪とは? | 見つけた時の対応も

私たちの生活に欠かせない存在である鉄道でも、事故が起きる場合があります。

事故といえば人身事故をイメージするものの、意外にも置き石の事故も非常に多いです。

線路の上に石を置く行為である置き石は、1つ間違えれば大事故の元になります。

仮に置き石をした場合、どのような罪や刑罰になるのでしょうか。

置き石で起こりうることとは

森の中の線路

特に鉄道の線路上に石を置く置き石行為。しかし置き石行為がもたらすリスクは非常に恐ろしいものです。

置き石行為によって起こりうることに、ダイヤの乱れや列車の転覆が挙げられます。

大幅なダイヤの乱れ

置き石行為によって生じることが大幅なダイヤの乱れです。

駅にいる際、置き石でダイヤ乱れが発生したという構内放送を耳にしたこともあるでしょう。

たとえ走行中の列車の車輪で粉砕できるような小さな石でも、列車は一度停止します。

その際に安全確認を行いますが、当然ながら指令室とのやり取りを通じて行う形です。

安全確認をしている間はほかの列車もストップするため、広範囲に影響が及びます。

その結果ダイヤが大きく乱れ、多くの乗客が迷惑するという形です。

特に大都市で複数の路線が乗り入れている場合、その影響はより甚大で広範囲に及ぶでしょう。

列車の転覆事故や死傷者の発生

鉄道事故

また置かれた石が大きい場合、走行中の列車が脱線事故や転覆事故が起きることもあります。

この際に乗客や乗務員にけが人や死者が出るケースも多いです。

置き石された現場の近くに民家などがあった場合、脱線した車両が突っ込むこともあります。

その場合車両内の人間だけではなく、周囲の住民まで巻き込まれかねません。

このように置き石1つで、多くの人を傷つけたり命を奪ったりすることもあります。

実は極めて重い置き石の罪状と刑罰

刑務所

石をレール上に置くだけで人命にも関わってくるのが、置き石行為の怖いところです。

もし置き石行為で逮捕された場合、加害者にはどのような罪状や刑罰が待っているのでしょうか。

実は人命を奪うほど危険である分、その罪や刑罰は非常に重いです。

往来危険罪

置き石行為に対する基本的な罪状として、往来危険罪が挙げられます。

これは列車の運行を妨害し、乗客などを危険にさらす行為に対する罪状です。

乗客などに死傷者が出るリスクがある分、刑罰も2年以上15年以下の懲役刑となっています。

同じく往来に対する罪である往来妨害罪と異なり、罰金刑はありません。

それほどに置き石行為には、厳しい刑が科せられると考えるべきです。

電汽車転覆罪

置き石行為が原因で走行中の列車が転覆事故を起こした場合は、電汽車転覆罪となります。

往来危険罪以上に死傷者が多く発生するリスクがあるため、刑罰はより重いです。

最悪の場合は死刑で、死刑を免れても無期懲役刑が適用されます。

新幹線の場合は別枠で刑罰が決まっている

新幹線

日本を代表する高速鉄道である新幹線。実は新幹線での置き石については、別枠の特例法で刑罰が決まっています。

新幹線は在来線以上のスピードで高速運転を行っているためです。

仮に線路上に置き石されれば、在来線以上に大きな事故につながるでしょう。

具体的には新幹線での置き石1つで、5年以下の懲役50万円以下の罰金が科されます。

ただこれに加えて、新幹線の線路に無断で入ったことでより刑罰は重くなる流れです。

置き石は子供が行っても厳しいペナルティーが

深刻な表情の子供

意外なことに置き石事件は、子供による犯行というケースも多く見られます。

その動機は、単なるいたずらや「どうなるのか」という好奇心に基づくことが多いです。

子供らしいといえるものの行為は危険であるため、子供でも厳しいペナルティーがあります。

まず置き石した子供は、14歳未満であれば補導で済むでしょう。家庭裁判所などで指導を受けるだけです。

ただし置き石した加害者が15歳以上の場合は、少年犯罪として成人同様の刑罰を受けます。

そして加害者の親は、子供に代わって鉄道会社などに損害賠償するのが一般的です。

その金額は巨額で、被害状況によっては数千万円に及ぶこともあります。

実際に起きた置き石事件とは

日刊紙

置き石事件は鉄道が開通した明治時代以来、多くの件数が発生してきました。具体的にどのような事件があるのでしょうか。

ここではこれまで発生した置き石事件の中でも、特に世間を騒がせた4例をご紹介します。

京阪電気鉄道置石事故

最初にご紹介するのが、史上最悪の置き石事故といわれる「京阪電気鉄道置石事故」です。

1980年2月20日に大阪府内の京阪電鉄本線の枚方市~御殿山で起きました。

地元中学生5人による「どうなるのかを見てみたかった」という興味本位の犯行です。

線路上にはU字溝の蓋が置かれ、そこで京都方面に走っていた急行列車が転覆します。

しかも先頭車両は、現場近くの民家に突っ込みました。

この事故で死者は出なかったものの、104名もの重傷者が出たという惨事です。

なお犯人の中学生たちの親が、京阪電鉄に合計4200万円もの損害補償を行いました。

この金額はこの事故による損害額全体の約1割に相当するものです。

そして当時の中学生たちは卒業後に、そのお金を返すことになりました。

群馬県内の吾妻線の置き石事件

2017年3月~5月に群馬県のJR吾妻線で発生した事件です。地元の20代鉄道ファンの犯行でした。

「鉄道会社の復旧作業を生で見たい」や「騒ぎを起こしたかった」という稚拙な動機です。

犯行現場は路線内の3つの無人駅で、いずれも管理する有人駅がそれぞれ異なっています。

このため犯人は、駅ごとにどのように対応が異なるのかを見たいという動機もありました。

なお置き石で電車が1時間近く遅れたものの、幸い死傷者は出ていません。

ただし犯人は別の事件で執行猶予中だったため、普通以上に厳しい刑罰が科されました。

千葉県鴨川市内の外房線での置き石事件

3番目にご紹介するのが、2020年4月と5月に千葉県鴨川市内で発生した事件です。

最初4月21日に起きたものは同じ日に2回発生しました。

この際の安全確認では列車が複数の石を破砕した形跡が見つかっています。

そしてGW明けの5月8日に再び置き石事故が発生しました。この際には車両が脱線し、乗客1名が体の異常を訴えています。

その後の捜査の結果、同じ千葉県在住の50代フィリピン人女性が逮捕されました。彼女は容疑を認めています。

明治時代に起きた日本初の置き石事件

最後に我が国の鉄道で最初に起きた置き石事件もご紹介しておきましょう。

この事件は1877年1月24日に東京の大森駅付近の踏切で発生しました。

犯人は神奈川県川崎在住の悪童です。彼が線路に石を積んでいるところを作業員が見つけ、地元警察に引き渡しました。

なおこの事件は当時前代未聞だったため、鉄道を管理していた工部省にも報告されています。

当時の工部大臣だった伊藤博文にも伝わり、置き石対策がされるようになりました。

もし置き石を見かけたら

カーブする線路

もし近所や通勤で使っている線路などで置き石を見かけた場合、どうすれば良いのでしょうか。

この場合は、鉄道会社や最寄りの警察に連絡するのが最善かつ手っ取り早いです。

なお自分の手で石をどかせしたいと思っても、それは逆にやめた方が良いでしょう。

石をどかしている間に列車が来れば事故に巻き込まれるためです。

また置かれた石によっては重い場合もあり、下手に手を出すとケガにつながります。

逆に鉄道会社などで置かれた石をどかす際、列車の運行を停めてから行うのが一般的です。

だからこそ置き石を見つけたときは、鉄道会社などに連絡するのが最も賢明でしょう。

まとめ

高速で走る列車

線路上に石を置いて列車の走行を妨害する置き石行為について、いろいろと見てきました。

置かれたのがたかが石1つでも、大きさによっては列車の脱線や転覆を引き起こします。

脱線や転覆の度合いによっては、多くの重軽傷者や死者が出る大惨事になるでしょう。

このために置き石行為は、場合によって死刑が適用されるほど罪が重いです。

そして石を置いたのが子供であっても、その親が重大な責任を負うことになります。

たとえいたずらや好奇心が動機であっても置き石は絶対するべきではありません。

また置き石行為を見かけても自分で何かせずに、鉄道会社などに連絡するのが最善です。

本サイトの記事は犯罪に巻き込まれない、犯罪を未然に防ぐという観点から書かれたものであり、 実際に犯罪に巻き込まれた場合や身に迫る危険がある場合はすぐに最寄りの警察署までご相談ください。

■警察庁 各都道府県警察の被害相談窓口
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