飛行機に乗ることに慣れていないと色々な準備が必要で大変だと思う人も多いと思います。
そんな中で飛行機に乗る前の保安検査に引っかかると焦るだけでなく、時間も取られてしまうものです。
今回はそうならないために覚えておくべき航空法86条と保安検査について解説していきます。
まだ飛行機に乗ったことがない方もぜひ確認しておきましょう。
航空法86条とは?
航空法86条とは「爆発物等の輸送禁止」を定める法律です。
条項の中には以下のように書かれています。
第八十六条 爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で国土交通省令で定める物は、航空機で輸送してはならない。
2 何人も前項の物件を航空機内に持ち込んではならない。
もう少し簡単に書くと「爆発の恐れがあるもの」や「燃えやすいもの」を航空機に持ち込んではいけないということです。
また、航空法86条では航空機を運営する会社等について、上記のような危険物を持ち込みを規制し、取り上げられることを定めています。
内容だけ見ると当たり前のことだと思うかもしれませんが、法律で定められることで規制力が高くなるものです。
保安検査で爆発物とみなされるもの
爆発物と言われると単純に爆弾や火の気となるライターなどをイメージするかもしれません。
しかし、それ以外でも爆発物として保安検査での持ち込みやお預かりができないものがあるのです。
ここでは保安検査において爆発物の対象となるものについて挙げていきます。
ライター(安全マッチ)
火の気となる物で最も身近で持っている人も多いライターですが、実は全てが持ち込めないわけではありません。
喫煙用で小型のものを一人につき一つだけ、衣服のポケットなど身に付ける形での持ち込みは許可されています。
反対に基準外のライターは持ち込みができず、手持ちの鞄や荷物の中にはライターを入れられないということです。
許可されるライターの種類は空港会社によって異なるので利用の際は会社ごとに事前確認することをおすすめします。
リチウム電池
ショートや不具合によって発火する可能性のあるリチウム電池及びそれは入った電子機器は爆発物の対象となります。
ただし、以下のものについては規制を受けないものです。
- リチウム電池の内蔵量が2g以下またはワット時定格量が160Wh以下の電子機器の持ち込み及びお預かり
- リチウム電池の内蔵量が2g以下またはワット時定格量が100Wh以下の予備電池の持ち込み
- リチウム電池のワット時定格量が100Whを超え160Wh以下の予備電池の持ち込み(2個まで)
予備電池については基準を満たしていても預けられません。
引火性のあるスプレー類
ヘアスプレーや冷却スプレーなどのスプレー類は既定の容量であれば持ち込みができるものです。
しかし、そのスプレーが引火性のあるものだと容量に関わらず爆発物となり、持ち込みや預かりができなくなります。
自宅でスプレーに「火気に注意」などの表記がないか確認してから空港に来るようにしましょう。
キャンプ用ガスコンロ等
ガスを入れる事で使用できる製品はガスが入っていないことを証明できない限りは持ち込みや預かりができません。
つまりは箱から開けていない状態など目に見えてガスがないことがわからない限りは検査で弾かれてしまいます。
当然ながらこれらに使用するためのガスボンベやガスカートリッジの持ち込みはできないものです。
花火・クラッカー
花火やクラッカーはそれ自体では燃えることはほとんどありませんが、火薬が含まれるため持ち込みや預かりはできません。
これらは大きさに関わらず爆発物になるため、必要であっても目的地の方で買うようにしましょう。
航空法86条に反した場合の罰則
飛行機の保安検査は厳重に行われるため、ほとんどの場合は搭乗前に爆発物となるものは持ち込めないものです。
ただ、何らかの手段で持ち込んでしまい、それが後から判明すると罰則を受けることになります。
危険物を持ち込んだ場合の罰則は「五十万円以下の罰金に処する」というものです。
保安検査を受けずに保安検査場より先に立ち入った場合、航空法違反となり1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、航空機の使用者について危険物を運んでしまった場合「百万円以下の罰金に処する」となっています。
空港会社側も罰則を受けることから検査の重要性が高いことが窺えるものです。
万が一を起こさないためにも初めから爆発物にあたるものを持ち込まないようにしましょう。
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機内への持ち込みが禁止されたときの対応
自分が持ち込もうとした物や荷物として預けようとした物が危険物だった場合、その荷物はどうなるのでしょうか?
答えは保安検査で引っかかった危険物は没収後に廃棄処分されるか、その場で自主的に廃棄するかになります。
なので、空港で一旦、預かって貰ってから帰りに受け取るようなことはできません。
処分されるものが簡単に買えるものなら良いですが、化粧品やライターなどの中には高価な物もあると思います。
しかし、空港側は価値に関係なく廃棄処分を行うものです。
一応、保安検査から戻って弾かれた荷物を郵送するという手もあります。
ただ、空港自体には郵送サービスはないので、然るべき場所に行かなければならないものです。
もちろん、保安検査をもう一度受けることになるので、飛行機の搭乗時間へ間に合うか厳しくなります。
空港に来るならば危険物にあたるものを持ってこないこと以外に対策できないのです。
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保安検査で問題なく抜けるためには
保安検査で引っかかってしまうと時間だけでなく、物まで失ってしまうことになり兼ねません。
それを防ぐには空港に来る前や保安検査の受け方を良くしていくしかないものです。
ここでは搭乗前に心がけるべきことを紹介していきます。
持ち込みできる物と預け入れできる物を調べておくこと
荷物の中には機内に持ち込めなくても預け入れなら可能なものやその逆もあるものです。
ここを間違えてしまうと本来引っかからないはずの物も引っかかって処分の対象になるかもしれません。
前日の準備の段階で航空会社ごとの規定を読んで、万全の状態をしておきましょう。
検査時にはポケット等に余計な物を入れないこと
保安検査は自分のタイミングで検査場に行くことができるものです。
そして、検査はボディチェックと預かりの荷物チェックが行われます。
この際に身に付けている物を全て出すことになるのですが、ここでポケット等に余計な物が入っていると検査に時間がかかるものです。
持ち込める物は決まっているので最初から引っかかる物は身に付けないことがスムーズに検査が進みます。
また、検査時には上着のチェックや靴の形状によっては靴の中のチェックが行われるものです。
これが手間取ると同じく時間がかかるので、脱ぎやすい上着や底の厚くない靴など検査に適した着こなしにしておきましょう。
保安検査は時間に余裕を持って受けること
保安検査は自分がどれだけ注意していても混雑したり、他の人が引っかかったりして検査に時間がかかることがあります。
なので、保安検査は搭乗より時間の余裕を持って受けることがおすすめです。
保安検査場は出発時刻の20分前までに通過してください。
保安検査場では、機内へ持ち込むお手荷物の検査とボディチェックを行っています。夏休み、年末年始などは混雑が予想されますので、時間に余裕を持ってお越しください。
こうしておけば、仮に自分が検査で引っかかっても搭乗までに焦らず対処できます。
まとめ
今回は航空法86条とそれに関わる保安検査について見ていきました。
航空法86条が定められていることで空の旅の安全性は高くなっているのです。
また、事前に準備をしておくことで保安検査に引っかからず、スムーズに搭乗まで進められます。
飛行機内の安全を守るためにも保安検査に協力して気持ちの良い旅をしてみましょう。