75歳以上の高齢ドライバーの方を目にするもしくは身近にいる方が多いのではないでしょうか?
高齢者が増え続けている日本において高齢運転者による交通事故は一つの課題になってきます。
実際、高齢者による死亡事故で問題になったケースもあります。
もしかしたら、皆さんが高齢者による交通死亡事故に巻き込まれるかもしれません。
今回は高齢者の運転による事故を防ぐ方法について話します。
高齢者の死亡事故の原因
事故を防ぐ方法を考える前にどうして高齢者による交通事故が起きるのかについて知る必要があります。
事故の原因はケースバイケース。
主なものに操作の誤り、注意不足、安全不確認などが挙げられます。
ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルを踏み間違いが大きな事故につながります。
警視庁は高齢ドライバーによる事故を問題視しており、道路交通法の改正案を通常国会に提出しようとしているところです。
高齢ドライバーによる死亡事故件数は例年300件以上報告されています。
自分は無関係と思っていてもいつ事故に巻き込まれるか分かりません。
認知症と交通事故の関連性
交通事故に関するニュースなどを見ていると、認知症という単語を目にします。
高齢ドライバーによる交通事故を防ぐ上で認知症について知っておく必要があります。
人によっては家族が認知症で悩まされているのではないでしょうか?
認知症とは
認知症は脳の働きが低下することで起きる症状。
とっさの判断が行いにくくなるなどの問題が見られます。
運転はもちろん、日常生活に支障をきたす可能性があるため、多くの方が悩まされています。
人によって症状の進み具合が異なるため注意しないといけません。
加齢や普段の生活習慣など発症する原因は人それぞれ。
認知症のドライバーが事故を起こすケースがある
実際、認知症の方が交通事故を起こしたケースはいくつも報告されています。
追突や物損はもちろん、場合によっては死亡事故につながったケースもあります。
加齢に伴う運転技能の低下はどうしても避けられません。
家族などのサポートがあっても交通事故を防げない場合がどうしても出てきます。
認知症のドライバーが行方不明になるケースがある
認知症のドライバーが行方不明になるケースも報告されており、注意が必要です。
何のために車を運転しているのかが判断できなくなった結果、行方不明もしくは大きな事故を引き起こしたりします。
行方不明になるのを未然に防げるかどうかも重要になってきます。
放っておいて取り返しのつかない事態に発展しては目も当てられません。
認知症の高齢者が交通事故を起こした場合の責任について
認知症の高齢者が交通事故を起こした場合、責任はどうなるか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?
交通事故を起こした場合、大なり小なりの責任を負うことになります。
場合によっては予想以上の責任を取らされることも少なくないです。
リスクを防ぐためにも認知症で判断力が低下した方がどのような責任を取らされるかも知っておきたいところ。
ここでは、認知症の高齢者が交通事故を起こした場合の責任について話します。
認知症の高齢者は基本的に責任を取らない
認知症の高齢者が交通事故を起こした場合、責任能力がないと判断される可能性が高いです。
また、認知症でなく尚且つ支払い能力が無い場合も賠償を求めることができません。
家族が責任を負うことに
認知症の高齢者が交通事故を起こしたら泣き寝入りかと言うとそうではないです。
交通事故の責任は監督義務のある家族が交通事故の責任を負うことになります。
配偶者や同居人、入居する介護施設の運営者などが監督義務を果たさないといけません。
実際、認知症の高齢者が事故を起こして家族が責任を負うことになったケースがいくつも報告されています。
高齢ドライバーに関する法律
高齢ドライバーを取り巻く法律がいくつか存在します。
事故を回避するためにも知っておいて損はありません。
ここでは、高齢ドライバーに関する法律について話を進めていきます。
民法第173条
民法第173条では、精神上の障害で責任能力を欠いた人は誰かに損害を与えても賠償責任を負わないと明記されています。
ただし、故意や過失で損害を与えた場合は賠償責任を取らないといけません。
要は認知症で判断力などが低下している場合、民法第713条による賠償責任は発生しないということです。
民法第714条
民法第714条では、責任能力がない人が本来負うはずだった責任を監督義務のある人が負わないといけないことが明記されています。
監督義務のある人が監督義務を怠らなかったもしくは義務を怠らなくても損害が生じる場合、賠償責任は発生しません。
認知症の高齢ドライバーが交通事故を起こした際、民法第714条が裁判の焦点になってくるでしょう。
裁判所がどのような判決を下すかに注目する必要があります。
改正道路交通法
2017年に施行された改正道路交通法も高齢ドライバーに関する法律の一つ。
75歳以上に行われる認知機能検査の運用法が厳しくなっているのが大きなポイントです。
認知症と診断された場合、運転免許の取り消しまたは停止になります。
また、認知症のおそれありと診断された方は臨時適性検査や医師の診断を受けないといけません。
拒否した場合は運転免許の取り消しや停止が行われます。
75歳以上の高齢ドライバーの死亡事故の割合が増えているのが道路交通法が改正された主な理由です。
高齢者の免許返納率
昨今は高齢者の免許返納が浸透しています。
75歳以上の高齢者の免許返納率は年々増加傾向にあります。
2016年は3.17%、2017年は4.71%です。
ただし、地域によって免許返納率に大きな差があるのもポイント。
公共交通機関が充実しているかどうかが免許返納に大きく関係します。
住んでいる場所によっては車がないと生活が成り立たない場合も十分考えられます。
実際、車がないと不便と感じている方も多いのではないでしょうか?
高齢者の免許返納は交通事故を減らす上で一つの課題になってきます。
高齢者の運転による事故を防ぐ方法
高齢者による事故をいかに防ぐかが重要です。
最後に高齢者の運転による事故を防ぐ方法として一体どのようなものがあるか紹介していきます。
交通ルールを守る
交通ルールを徹底して守ることが対策の一つに挙げられます。
皆さんは交通ルールをしっかり覚えていますか?
いくら運転に慣れていても初心を忘れず、交通ルールを守る必要があります。
それが自分の身を守ることにもつながってきます。
安全確認の徹底
前方から対向車が来ていないか、左右に人がいないかなどの安全確認を徹底して行うことも事故を防ぐ上で重要です。
高齢者による交通事故の原因の一つに安全確認が足りていないことが挙げられます。
サポカー
操作の誤りが交通事故につながってきます。
ペダル踏み間違い急発進抑制装置などを搭載したサポカーと呼ばれる車を運転するのも対策の一環。
メーカーも交通事故を防ぐためにサポカーの開発に力を入れています。
気になる方はサポカーの試乗会に参加することをおすすめします。
もしかしたら、自分に合った1台に巡り合えるかもしれません。
家族が同乗
家族が同乗し、運転に問題がないかチェックするのも事故を防ぐ上で必要になってきます。
祖父母もしくは両親の運転が荒っぽくなって心配だと感じている方もいるのではないでしょうか?
免許返納を促す
免許返納を促し、車を運転する機会を無くすことも対策の一環。
人によっては免許返納に応じない可能性も十分考えられます。
コミュニケーションを上手く行えるかどうかが重要です。
すぐ応じる方もいれば、中々応じない方もいます。
本人に内緒で車を処分するケースもあります。
スムーズに免許返納を促せるかどうかは皆さん次第。
まとめ
高齢者の交通事故は社会問題になっており、場合によっては死亡事故に発展しています。
道路交通法の改正やサポカーの開発などさまざまな動きが見られます。
大切な家族が交通事故を起こさないためにも皆さんの働きかけが必要です。
また、車を運転していない時も前後や左右の確認をしっかり行い、交通事故に巻き込まれないようにしましょう。