ここでは実際に起こった地面師による事件について見ていきます。
積水ハウスの事件(2017年)
地面師が関わった事件として最も大きなものは2017年に判明した積水ハウスの被害です。
この事件で積水ハウスは地面師のグループによる詐欺によって55億円以上のお金を騙し取られています。
手口としては偽装書類となりすましというシンプルなものです。
しかし、大手メーカーである積水ハウスも被害が出てから気付いたことからこの手口が容易に看破できないことが窺えます。
また、地面師にグループで行動されることの恐ろしさを感じるものです。
この事件において面会して取引を行っていた者は逮捕後の2020年の6月に懲役11年の判決を言い渡されています。
弁護士による事件(2019年)
こちらの事件も偽造した委任状を不動産会社に売却し不正にお金を得たというもので、内容自体は先ほどと大きく変わりません。
注目すべきは、こちらの事件で逮捕された5人のうちの1人が詐欺を行っていた当時に弁護士だったのです。
地面師のグループが詐欺を行う時はその弁護士事務所で取引を行っていました。
このように現役の弁護士や司法書士でも詐欺へ協力していた事例はいくかあります。
地面師における弁護士や司法書士はなりすましだけでなく、本物やその知識を持った人も存在するのです。
地面師の被害に遭わないようにするための対策
グループや本物の弁護士まで関わる地面師ですが、その被害に遭わないためにはどうすれば良いのでしょうか?
ここでは地面師の詐欺に遭わないための対策を見ていきます。
取引の際は信頼できる不動産屋や弁護士を間に挟む
地面師は不動産屋や弁護士、司法書士の中にも潜んでいることがあります。
そんな中で取引をしに来た怪しい相手から紹介される人物は例えどんな肩書があっても信用できないものです。
間に挟まる人物に相手の意図が入らないよう不動産屋や弁護士はなるべく自分が信頼して選んだ人を頼るようにしましょう。
権利証や個人情報などを簡単に提示しない
土地の権利証や免許証などの個人情報は相手に見せない限りはそう簡単に偽装されないものです。
しかし、地面師は取引の中でそれらの情報を言葉巧みに引き出そうとしてきます。
それらの情報が一つでも相手に渡ってしまうと何かしらに悪用されてしまうものです。
なので、相手が信頼たる人物とわかって本格的な取引に進むまでは小さな情報でも提示しないようにしましょう。
不正な登記に対する対策
近年は不動産登記法の改定によって、「登記識別情報」という12桁の番号が権利証の代わりに発行されるようになっています。
この登記識別情報があれば権利証がなくても所有権の移転など権利証できることを代わりに行えるのです。
そして、この番号は手続きを踏むことで失効させられるので、もし番号がどこかに漏れてしまった場合は対策できます。
番号で保管することで偽造を防ぎつつ、漏れてしまった場合も対策できることを覚えておきましょう。
地面師の詐欺に巻き込まれた場合の相談先
もし地面師の詐欺に遭ったり、勝手に土地を売られたりした場合はどこに相談するのが正解なのでしょうか?
地面師を専門に取り扱っているところはありませんが、主に以下の相談先が挙げられます。
- 国民生活センター(消費者生活センター)……#118
- 弁護士事務所……各事務所による
消費者として関わることであれば国民生活センターへ電話をすると、然るべき対応法や専門の窓口に案内して貰えます。
また、信用できる弁護士であれば地面師に関する事件も取り扱ってくれるものです。
大手の弁護士事務所など実績のあるところに相談してみましょう。
まとめ
今回は地面師に関する情報についてまとめていきました。
グループで活動することもある地面師は取引の中でどこに潜んでいるか判断が難しいものです。
また、空いている土地を持っている人は対策をしておかないと勝手に土地を売られる可能性があります。
騙されないようにするためにも土地の売買は慎重に行うと同時に信頼できる人物を間に挟むようにしましょう。
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