皆さんはスマホの充電をどこで行っているでしょうか?
最近では自宅以外でもカフェやホテルといった外出先で充電することは多々あると思います。
しかし、この外出先で充電をする行為は一歩間違えると犯罪になるかもしれないのです。
今回は電気を盗む犯罪の電気窃盗について紹介していきます。
電気窃盗とは?
電気窃盗(盗電と言われることもある)は文字の通り電気を盗む行為を指しています。
法律において電気を盗むことは窃盗罪にあたるものです。
それだけ聞くと当然のように思えますが、電気が盗まれる「物」として判断されるまでは様々な議論が交わされました。
旧刑法での電気の扱い
以前の刑法では「有体物」、つまりは形あるものを盗むことは犯罪であることを定めていました。
しかし、電気は目に見えない「無体物」であり、無体物が盗まれることを罪に問う想定をしていなかったのです。
1901年の事例では規定以上の電気を利用した者を告訴しましたが、二審において電気が有体物ではないことを主張しました。
この主張を補強するために使われたのはエーテル理論で、これは電気が物質ではなく振動現象と考える理論です。
そして、法廷で証人がエーテル理論を用いた結果、二審では無罪の判決になりました。
有体物と扱われた電気
先の事件は無罪判決から上告された後、最終的には有罪判決に覆ることになります。
有罪を決定づけたのは電気を物質として扱えることを主張する二つの事です。
- 電気が接触することで感電した痺れで存在がわかること
- 電気が電流計や電圧計によって数値として管理できることで存在が証明できること
これによって裁判で初めて電気が有体物と扱われ、窃盗することが有罪なったのです。
その後、1907年に施行されて刑法で電気は財物であり、窃盗や強盗の対象となることが定められました。
どこまでが電気窃盗になるのか?
電気窃盗と聞いて気になるのは自宅以外で電気を使う場合はどこまでが電気窃盗になるのかということです。
ここでは電気窃盗の範囲について見ていきます。
電気を無断で使用することは電気窃盗
電気は財物であることからその所有者から許可を得ず電気を使った場合、その時点で窃盗が成立してしまいます。
盗んだ電気が少量であったも罪に問われるものです。
なので、外出先でコンセントが空いているからといって、少しだけ充電させて貰うという考えでも電気窃盗になります。
電気窃盗を事件とするかは所有者の裁量によりますが、犯罪になるリスクは避けた方が良いものです。
カフェやホテルの電気
待ち合わせの時間にカフェに立ち寄ったり、ホテルで泊まりながら充電することは今では珍しくないことです。
これらの電気についてはお店側が充電するために使うことを容認している場合、電気窃盗にはなりません。
逆に言えば、例えカフェやホテルであってもお店側が電気の使用を認めていない場合は窃盗になり得ます。
店内にあるコンセントが業務用のものであったりすれば、客側が自由に使う権利はないのです。
多くの店舗では充電のために使っても良いかもしれませんが、事前に電気を使えるかどうかの確認はしておきましょう。
電気窃盗の事例
先に紹介した電気窃盗の範囲について実際に起こった事件を例に見ていきます。
事例1:駅構内での電気窃盗
こちらは2008年に女子大生が駅構内のコンセントを使ったことで、微罪処分(警察のみで処分を行う)を受けた事件です。
駅のコンセントは当然ながら充電を提供しているものではありません。
この例では軽微な犯罪として扱われていますが、それでも一度は逮捕されることに変わりないものです。
事例2:隣の空き家からの電気窃盗
こちらは2013年に隣の空き家のコンセントから電気を引き込んだことで男性が逮捕された事件です。
家の電気は多くの場合、電気代を払わなければ利用してはいけませんが、ブレーカーを入れることで電気を流すことはできます。
そして、他の家の人が空き家から電気を引き込むと自宅の電気代ではなく、空き家の方に電気代が請求されてしまうのです。
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