皆さんは労働基準法という法律をご存知でしょうか。
詳しくは知らないが、名前ぐらいはニュースや新聞で見たことがある、という方は多いはずです。
労働基準法に関わる経営者や雇用される労働者の双方が、労働基準法を正しく理解できるよう、以下の内容について説明します。
- 労働基準法の法体系
- 労働基準法の概要
- 違反となるケース
- 2019年4月の改正内容
経営者にとっては、労務管理の肝となる法律であり、雇用される側にとっても正しく権利を主張するために必要な知識です。
5分程度で読めますので、ぜひお付き合いください。
労働基準法の概要
労働基準法の中身を詳しく見たことがある、という方は多くないのではないでしょうか。
ここでは、労働基準法の位置づけと基本的な内容についてご説明します。
労働基準法の位置づけ
労働基準法は1947年に日本国憲法第27条第2項に基づく形で制定された、1章~13章の条文と附則からなる法律です。
労働組合法と労働関係調整法との3点セットで、「労働三法」と呼ばれます。労使間の取り決めにおいて、もっとも重要な法律の一つです。
労働基準法の内容
労働基準法を一言で表すと、「最低限の労働条件を定める法律」です。労働条件とは具体的には以下の項目を指します。
- <労働基準法で規定される項目>
- 労働時間
- 賃金
- 休日
- 就業規則
労働基準法の大きな特徴として、「強行法規性」と「罰則」があります。
強行法規性とは、当事者の意図に関わらず、有無を言わさず適用される性質のことです。
罰則があることからもわかるように、法律の中でも非常に拘束力の強い部類に入ります。
違反となる主なケースは?
労働基準法には罰則があり、非常に拘束力の強い法律です。
では違反となるケースにはどのようなものがあるのでしょうか?知っておくべきケースを厳選してご紹介します。
ケース1 36協定なしに時間外労働させる
意外に知られていないのですが、1日8時間、1週間に40時間を超えて働かせることは原則的に違法です。
ほとんどの会社では、労働組合や労働者の代表と36協定と呼ばれる協定を会社と結ぶことで、例外的に時間外労働をさせることが可能になります。
仮に社員が一人であっても、時間外労働をさせるために36協定を結ぶ必要があります。
(労働基準法36条の中で「会社と労働者を代表する者との協定」として規定されているため、36協定と呼ばれます。)
日本では残業が常態化しているため、一見わかりづらいですが、本来は残業させることそのものが労働基準法に違反しているのです。
ケース2 残業代を支払わない
36協定が結ばれている前提で、会社が労働者に時間外労働をさせた場合は、割増の賃金を支払う必要があります。
サービス残業がよく問題になりますが、これは労働基準法に真っ向から違反していることになるのです。
仮に労働者側が自主的にやっていたとしても、会社側には時間外労働を把握し、所定の割増率で残業代を支払う義務があります。
サービス残業防止のため、一部の会社ではPCの起動ログと出退勤記録を自動で確認する仕組みを導入しています。
ケース3 有給申請を承認しない
労働者から申し出のあった有給申請は原則として承認しなければ違法となります。
日本では有給取得率が低いと言われていますが、本来は法律で認められた権利のため、有給を申請することは全く問題ありません。
1点だけ特別なケースがあります。
労働者から有給の申し出があった時期が会社の繁忙期などで、会社の経営に著しい影響を与える場合は、有給取得日の時季変更権が認められます。
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