映画やアニメなど著作権に守られた作品を違法に取り扱う「違法アップロードサイト」は社会問題になりつつあります。
何故なら違法アップロードした作品の収益は著作権を持つ権利者ではなく、違法に配信した犯罪者に渡ってしまうのです。
さらに視聴者側は違法配信サイトを見てしまうことで個人情報の漏洩などの危険にも繋がってしまいます。
そんなリスクを知らずに違法アップロードサイトを使ってしまうことは非常に危険と言えるでしょう。
今回はそんな危険を回避するために、違法アップロードサイトの危険と関わらないための方法をご紹介します。
違法アップロードが溢れるインターネット
映画やアニメなど数多くの作品がデジタル化、配信が進むその影で、かなりの数の違法アップロードも問題になっています。
何故ならそれだけ多くの人がインターネットに溢れる違法にアップロードされた著作権物を利用しているからです。
多くの違法アップロードされた作品を知らず知らずのうちに、もしくは知っていても利用してしまう人が多くいます。
例えば2019年に摘発された漫画村での著作権侵害の事件の被害総額は3200憶円でした。
漫画本一冊が400円だとしても何十万冊以上の漫画が違法に読まれていたと推察できるでしょう。
漫画だけでもそれほどの被害であるとすると、デジタル媒体の著作物の業界への被害は無視できないレベルと言えます。
「海賊版サイト」の被害が激増しており、その被害総額は、国内最大規模の海賊版サイトだった「漫画村」(閉鎖)の推定被害額(3200億円)をも上回るとみられている。
引用:被害総額は「漫画村」超え…海賊版に課金・広告収入を奪われるマンガアプリ
関連漫画違法サイトの特徴と危険性 | 著作権侵害に該当するケースを紹介
無視できない違法アップロードサイトを利用する危険性
違法アップロードを利用することの危険性には他人の著作権を侵害するリスク、そして自身を危険に晒すリスクがあります。
これは違法にアップロードされた作品を「見るだけなら大丈夫」と思っている方こそ注意すべきです。
違法アップロードサイトを利用することで懸念される、3つのリスクを見ていきましょう。
著作権を侵害するリスク
基本的に違法アップロードされた作品を閲覧することは著作権侵害に加担するということになります。
著作権侵害に加担してしまいますが、あくまで閲覧するだけでは罪に問われることはありません。
しかし、誰かが大事に作り上げた作品を踏みにじってしまう行為といえるでしょう。
また、もし違法アップロードサイトから違法ダウンロードを繰り返し行ったら、著作権侵害として告訴される場合もあります。
情報漏洩のリスク
じつは違法アップロードをしている犯罪者が稼ぎを得る手法があり、その一つが情報収集です。
違法アップロードサイトの中に密かに情報漏洩させるウイルスや入力項目を取入れ、閲覧者から情報を抜き取っています。
この情報は住所やクレジットカードなどの個人情報が含まれ、思わぬ二次被害を受ける危険性を孕んでいるのです。
ウイルス感染や犯罪に加担するリスク
上記であったウイルスの危険性は個人情報を抜き取るものだけではありません。
じつはパソコンやスマホのデータを壊すウイルスなどが仕込まれている場合もあります。
例えば「トロイの木馬」のようなウイルスで連鎖してデータ汚染される可能性があり、アクセスするだけでも危険です。
関連トロイの木馬の駆除や回避方法 | ウイルス感染の警告文はどう対処する?
さらには仮想通貨を稼ぐのにアクセス者を利用する「マイニング」というのに加担させられるケースもあります。
これはサイトにアクセスするだけで仮想通貨を稼ぐシステムに利用されて、パケット料などを過重に取られるという危険もあるのです。
違法アップロードされた作品を閲覧すると罪に問われる?
すでに少し触れた通り、違法アップロードサイトにある著作権物を見るだけでは違法にはなりません。
しかし、ある条件下で違法にアップロードされた作品を閲覧した場合は著作権法違反となり、告訴される恐れがあります。
法律において著作権物がどのように扱われ、どこの線引きで違法となってしまうのか見ていきましょう。
違法アップロードと著作権法違反の罰則
最初に違法アップロードをする側から著作権法を見ていきましょう。
まず著作権に守られた作品を許可なく違法にアップロードすることは、いかなる場合も著作権法違反で逮捕されます。
しかし逆に閲覧者の側面から著作権法を見ると、違法にアップロードされた動画など作品を見るだけなら罪には問われません。
これはあくまでもアクセスする人が必ずしも故意かどうか判断できないという事があるでしょう。
さらにネット上で見て学ぶなど創作や学業において活用できなくなる恐れもあるためと言われています。
ただし、違法にアップロードされた動画・音楽などを違法ダウンロードした場合は別です。
著作権侵害は親告罪となるため違法と知っていながら繰り返しダウンロードし、権利者が被害を訴えると違法となります。
著作権又は著作隣接権を侵害した者は、2 年以下の懲役若しくは 200 万円以下の罰金に処し、又はこれを併科。刑事罰の規定は親告罪とされており、権利者からの告訴がなければ公訴を提起できない
引用:違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A (文化庁)
また、2020年の著作権法改正により、違法ダウンロードにおける基準がさらに明確になりました。
例えば数ページのうち1コマのダウンロードや違法アップロードされた物がスクリーンショットに写り込むことは除外されています。
・閲覧者側の著作権法違反をまとめると…
違法アップロードされた物を閲覧することは犯罪ではありません。
しかし、違法とわかっていながら繰り返し多くをダウンロードし、権利者が悪質と判断した場合は刑事告訴できます。
違法ダウンロードは軽微なものは違法化しませんが、明確な線引きがあるので注意が必要です。
詳しく下記の文化庁ならびに文部科学省の資料もご覧ください。
著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案
違法アップロードでの事例
違法アップロードで多くの注目を集めたのは2019年の漫画村の摘発・逮捕劇です。
多くの人気漫画作品を違法にアップロードして収益を得ていたとして、サイト管理者ならびにプログラマーが逮捕されました。
近年の著作権法違反の事件の中でも悪質で被害総額も3200憶円と大きく、多大な被害を漫画業界に与えていたのです。
このサイトでは違法アップロードのリスクで紹介したようなウイルスやマイニングなどを使い、稼ぎを得ていたとされています。
漫画村のようなオンライン型サイトなどの収入源である広告も怪しいものが多い。広告をクリックすることで怪しいサイトに飛んでウイルスに感染することもありますし、意図せず海外のアドウェアが送り込まれたケースも
引用:海賊版サイトの現在地
違法アップロードサイトを利用しないためには?
違法アップロードサイトが魅力的に見えたとしても権利を侵害しないため、自身を危険に晒さないためにも避けなければいけません。
そのためには動画や音楽などの著作物を、権利者に許可を受けた媒体で視聴することが大切です。
知らず知らずのうちに違法サイトでコンテンツを利用してしまわないためにもポイントをチェックしていきましょう!
公式配信サイトから視聴する
多くの映画・動画・音楽・漫画などは権利者の許可を受け、配信サイトにて有料・無料配信を行っています。
このような許可を受けたサイトならば、著作権を持つ権利者を侵害することも自身の情報を危険に晒す危険もありません。
配信サイトの多くは作品の公式サイトから確認することができるため、公式サイトから配信サイトをチェックしてみましょう。
また、配信サイトの信頼性を確認するには許諾マークも調べてみてください。許諾マークは正規配信を証明する業界共通のマークです。
例えば映像媒体で適用されるエルマーク(一部例外あり)、日本の正規出版を表すABJマークなどがあります。
紹介されてもアクセスしない
違法アップロードサイトを利用する人の中には知人や友達に教わったというケースもあります。
親しい人から紹介されたとなると気が緩み、危険を深く理解せずに利用してしまうでしょう。
しかし、周りが利用しているからといって安易に利用してしまうことは危険です。
動画の再生画面やクリックボタンを模した偽の画像に、悪性サイトへのリンクを仕込み、巧妙に利用者のクリックを誘って、悪性サイトへ誘導する手口も確認されています。
引用:動画配信サイトなどの注意点(総務省)
例え誰に誘われても断りづらい状況でも、上手く回避して違法サイトの利用は避けるようにしてください。
また、紹介した人はリスクを知らない場合もあるでしょう。その場合は相手を気遣って、正しい知識を共有してあげることも大切です。
YouTubeは罪に問われない!ただし…
現代人の多くの方が利用する動画配信サイト「YouTube」は正規配信サイトですが、配信は誰でもすることができます。
そのため正規に配信する会社や個人、無許可で配信する個人が内在しており判断が難しい媒体です。
しかしYouTubeは基本的には著作権侵害が見受けられる動画については削除、悪質なユーザーは停止される構造になっています。
また、見る側は著作権法にあったように、あくまでも著作権侵害にはあたらないため罪には問われません。
ただし、YouTubeにある動画によってはYouTubeの外の違法ダウンロードするリンクに繋げる動画もあります。
そのようなリンクに飛ぶことは著作権侵害やウイルス感染のリスクがあるでしょう。
関連違法ダウンロードを間違えてしたら違法?親告罪に問われるケースの事例紹介
違法アップロードを見つけた場合は?
もし違法アップロードを見つけた場合は通報することも検討してください。
通報といってもハードルは高くありません。例えばYouTubeなら悪質なユーザーや有害な動画として通報するボタンがあります。
もしくは個別の違法アップロードサイトの場合は特許庁の対策窓口に一報を届け出ると良いでしょう。
違法アップロードサイトが少なくなることはより良い社会を作ることにも繋がります。
また、もし自身の著作物が無許可で配信される行為を見つけた場合は著作権法に精通した弁護士に相談するようにしてくださいね。
まとめ:著作権侵害への関心を高めよう
違法アップロードサイトの利用はダウンロードを伴わない限り、著作権侵害として違法となりません。
しかし、個人情報の漏洩やウイルス感染のリスク、そして勿論のこと著作物を侵害することに加担することは避けるべきです。
そのためにはこれを機に著作権侵害への関心を高め、違法アップロードされたコンテンツを避ける方法を実践していきましょう。
正規配信サイトで優れた著作物を楽しんでくださいね。
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