新型コロナウイルスの拡大でマスクは私たちが外へ出歩くのに欠かせないアイテムとなりました。
しかし、そこで目をつけたのが転売屋です。全国の転売屋による買い占めが起き、マスクの高額転売や品薄状態が問題となりました。
そしてそれにより一般家庭や医療現場のマスク不足が深刻となったのです。
今回はそんな新型コロナウイルス流行と共に巻き起こったマスク転売の問題を分かりやすく解説します。
また、マスクを転売屋から買わないようにする心得もご紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。
悪質転売でマスク品薄が起こった経緯とは?
2020年2月頃、中国から渡ってきた新型コロナウイルスが多くの人の生活を一変させていました。
感染拡大予防のためマスク需要が増えて街中の人々のマスク率が上がり、マスクの品薄状態が拡がり始めます。
これは感染拡大による一般の買い占めパニックもありましたが、一番は転売屋が買い占めをしていた事が原因です。
転売屋は個人もしくはグループでドラッグストアなどで大量のマスクを買い占め、それをフリマアプリなどで高額転売していました。
中には購入制限があるにも関わらずグループで並んだり、もしくは繰り返し並ぶことでマスクを買い占めていたとも言われています。
このような悪質な転売屋、そして高く売れると知り安易に転売を始めた人が群がった結果、市場のマスクが消える事態となりました。
品薄となったことで高額転売と知りながらも出品されたマスクを購入する人も後を絶たず、負のループが起きてしまったのです。
品薄が続いたことで一般家庭はもちろん、医療現場を支える従事者のマスクも不足になり、大きな問題となりました。
事の重大さを懸念した日本政府がマスクの転売を禁止する政令を出す事態にまで発展したのです。
感染拡大を防ぐための異例の緊急措置でした。
マスクの品薄状態が起こった大まかな経緯は次のようにまとめられます。
- 新型コロナウイルスの感染拡大
- 一般家庭のマスクの需要が上がる
- マスクの需要拡大で転売が売れるように
- 転売屋の市場のマスクの買い占めが広がる
- 買い占めが起きすぎて市場のマスクが消える
- マスク不足による感染拡大防止のため転売禁止に
マスク転売はどうして禁止に?転売によって拡がる被害
今回のマスクの転売をしていた方の中にはこのような方もいらっしゃいました。
「マスク転売は何故だめなの?色々な人にマスクを生き渡らせるためなのに」
マスクをネットで売ることで善意を届け、かつ自分も儲けることができるとなれば一石二鳥に感じるかもしれません。
しかし、マスクの転売が禁止されたのは無視できない理由があったからです。マスク転売が何故禁止されるほどの問題なのか見ていきましょう。
マスクが様々な人に行き渡らない
マスクが転売される場所はそのほとんどがネット上でフリマアプリ、もしくはネットオークションやネットショップなどです。
例えばメルカリやヤフオク、Amazonなどでマスクの転売が多くされていました。
このようなネット媒体の販売は必ずしも多くの人に行き渡るとはいえません。
何故ならネットで購入出来ない年齢層の方やネットに疎い方も多くいるからです。この層は店頭で購入することが基本になります。
そのため、買い占めが起きたことでこのような消費者が店頭で買えなくなり、マスクを行き渡らせることができなくなっていました。
マスクの店頭販売が混雑することで感染リスクも
マスクが品薄状態になると商品を求めて開店前から長蛇の列ができてしまい、感染リスクを高める恐れがあるのです。
これは人と人との距離、いわゆるソーシャルディスタンスをあけるなど感染防止策を導入していれば抑えられます。
しかし、コントロールされてない状態で一か所に大勢の人が集まることでリスクは高まるでしょう。
そのため、そのような状況にならないようにいつでもマスクが買える、需要と供給のバランスを取る必要があったのです。
メルカリやヤフオクなどの悪質な高額転売や詐欺
簡単に手に入れることが出来て、よく売れるマスクは悪質な商売も問題になっていました。
マスクが高額で転売されていたり詐欺商品が多く出品されていたのです。
例えば一般的な使い捨てマスクが1枚1万円で出品されていたり、出品したものとは異なる商品が送られていました。
マスク不足による医療崩壊の危機
医療現場では以下の3つのリスクを避けるために衛生管理を厳しく行います。
- 免疫力が弱まった病人にウイルスを持ち込まない
- 新型コロナウイルスのような感染症を広げないため
- 医療従事者の安全も守るため
さらに医療現場ではリスクを避けるためにマスクは数時間に一回付け替えるのが基本です。
新型コロナウイルスは感染リスクも高いため、リスク管理が重要な医療現場では尚のことマスク不足は死活問題でした。
マスク転売は禁止に!政令により厳しく規制
マスクの品薄問題を解決するために政府は3月10日に「国民生活緊急措置法」の一部を改正しました。
改正ではマスクとアルコール消毒液などの販売・転売に関する規制について決定し、購入価格を超える転売は禁止となったのです。
国民生活緊急措置法とは?
生活関連物資の供給が不足し、国民の生活を脅かす恐れがある際に流通の規制などに適用される法律
これによりマスクは実質転売禁止となり、転売屋が稼ぎを得るためのマスクの利益はなくなることになりました。
そして該当する商品で少しでも利益を得た場合は1年以下の懲役、100万円以下の罰金もしくはその両方が課せられます。
国民生活安定緊急措置法 第一条 この法律は、物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資の価格及び需給の調整等に関する緊急措置を定め、もつて国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を確保することを目的とする。
出典元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=348AC0000000121
転売禁止となった対象の商品は次の通りです。
- 衛生マスク…家庭用、医療用、産業用のマスク
- アルコール消毒製品…消毒等に使われる医療品や医薬部外品もしくはそれ以外のアルコール濃度60%以上の商品
詳しくは経済産業省の資料もご覧ください。
「国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました
転売されたマスクに手を出さないための心得
マスク転売は規制されたとはいえ、一部ではマスクを転売している場所などもまだ多くあります。
特に転売屋がマスクやアルコールの粗悪品を良品と偽って売ることもあり注意が必要です。
転売された商品や怪しい商品を避けるための心得を見ていきましょう。
商品を選ぶ際に知っておきたいこと
マスクを選ぶ時に重要視するべきなのはマスクの質です。使い捨てマスクといえど品質・衛生管理された商品を選ぶことが好ましいでしょう。
中国・韓国の一部商品には品質がずさんな物が含まれており、汚れていたりすぐに壊れたりすることもあります
さらには生産ラインの衛生管理に問題がある場合もあり、信頼性がない一部輸入品が良品に紛れて流通しているのです。
そのため、安全性を重視するなら生産国やメーカーなどをしっかりと確認して、定価を把握するようにしましょう。
購入場所と信頼性について
マスクやアルコール消毒液などは実店舗で購入する場合が多いかもしれません。
しかし、実店舗だからといっても商品選びには注意が必要でしょう。
例えばドラッグストアや小売店などでも商品の入荷や選定は店舗の社員やマネージャーが行うため、様々な商品が含まれるからです。
そのため、並んでいる商品の一つ一つを自身で安心して使えるか生産国やメーカー、品質などを確認して購入すると良いでしょう。
ネットでマスクやアルコールを購入する時のポイント
ネット上ではすでにお話しした通り、転売の温床になっていたこともあるためマスクやアルコール消毒の購入が難しくなっています。
怪しい商品との見分け方ももちろんですが、ネットは母数が多いこともあり未だに品薄状態が続いているからです。
そのためこれからネットで買うという場合は下記のポイントをチェックしましょう。
- 商品を扱うサイトの信頼性
- そこでマスクを売る出品販売会社
- 商品の生産国とメーカーが確認できる
- 定価価格である
例えば楽天やAmazonなどでは商品を様々な販売店が出品しているため、サイトの信頼性があっても販売会社に不安が残る場合があります。
安心してマスクやアルコール消毒を使うためにも、このポイントに気を付けて買い物をしましょう。
もしマスクの販売で怪しいと感じるものを見つけたら?
ワクチンが開発されるなど、予防・医療体制が確立するまでマスクは外出に必要不可欠なアイテムになるでしょう。
そのため実店舗やネット上でもマスクを買おうとする時に何らかの点で信頼性に疑問を持つことがあるかもしれません。
最後に商品を買う時に不安に駆られた時の対処法について見ていきましょう。
衝動買いを避けて
マスクが売っているのを見つけたけれど、少しでも商品やお店に不安があるといった場合は衝動的に買ってしまうのは避けましょう。
何故ならそれがもし粗悪品であったなら無駄な投資になってしまうからです。せっかく付けても感染予防も十分ではないかもしれません。
そして法において規制されてる以上、供給は徐々に回復していきます。
その供給は医療現場から一般家庭まで少しずつ生き渡るようになっていくでしょう。
焦らず必要な分の信頼できるマスクを購入していくようにしてください。
転売かもしれないと思ったら
もし転売を見つけた場合は通報も視野に入れて対応してください。
知らず知らずのうちに騙されてしまう消費者を減らすためにも、問題があるかもしれないという一報は大切です。
たとえ誤解だったとしてもシロであれば、罰則が科せられることはありません。
Amazonや楽天、メルカリなどの場合は運営会社に通報するボタンがあるので案内に従って対処しましょう。
また、運営会社に通報する以外の対応方法としては、消費生活センターに相談することです。
全国の消費生活センターでは疑わしい商品や詐欺商品の被害などを相談することができます。
疑わしい商品を見つけた場合やそのような商品を買ってしまった場合は気軽に相談してみましょう。
まとめ:知識を身に付けて転売商品は買わないようにしよう
マスクの規制の経緯には転売屋の悪質な買い占めが潜んでいました。
規制により徐々にマスクやアルコールの品薄状態が緩和するとはいえ、消費者は今後も気を付けて買い物をする必要があります。
購入するお店はもちろん、生産国やメーカー、品質をしっかりとチェックして怪しい商品を購入しないように注意しましょう。
安心できる商品でこれからも感染予防対策にしっかりと取りくんでいってくださいね。