無銭飲食の罰則・時効・逮捕事例|防犯カメラの効果や対策を解説

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お金を払わずに食事を食べて逃げ出す無銭飲食

近年では多発する事件ではなくなっていますが、それでも被害に遭うお店はゼロというわけではありません。

もしも飲食店を経営していたり、その予定がある人は必ず対策しなければならないことです。

今回はそんな無銭飲食に関する情報についてまとめていきます。




無銭飲食はどういう罪になるのか?

食事風景

初めに確認したいのは無銭飲食の手口がどのような罪に問われるかということです。

食事に対するお金を払っていないことから窃盗罪にあたると思う人もいるかもしれませんが、無銭飲食は詐欺罪として扱われます。

刑法上の詐欺罪に該当することがある。
引用:無銭飲食(Wikipedia)

お店が客を信用して自分の所有物(食事)を提供した時点で窃盗には当たらないと考えるのです。

その代わりに本来は払うはずのお金を払わないことはお店側を騙したという扱いになります。

ただし、お金を払えない状態を意図的に作ったわけではない場合は詐欺罪として扱われません。

例えばクレジット決済をするつもりがそのお店が手持ちのクレジットカードに対応していなかったという状況があります。

この場合は本人に払う意志はあったものの支払いの関係上できなかったということで詐欺罪とはなりません。

ただ、この払いたいのに払えないという状況は詐欺師が無銭飲食のために利用することがあります。

お店側としてはいきなり詐欺師と糾弾することができないので、無銭飲食は基本的にお店側が不利になるものです。




無銭飲食の常習犯の手口

詐欺師

それでは無銭飲食の詐欺を働く常習犯はどのような手口を使っているのでしょうか?

ここではその手口の一部を紹介します。

財布がないと言って一旦去る

クレジットカード

先ほど書いたように財布を忘れたり、クレジットカードが合わなかったりすることで料金が払えない状況は起こり得るでしょう。

そうなった場合、客側は知り合いに払って貰うか、後から払いに来る約束をすることになります。

ただ、詐欺師の場合は敢えて偽の名刺や連絡先を渡しておいて、後から払いに来る約束をするのです。

後日、払いに来なくてその連絡先に電話をかけてもそれは使用されていない番号になっています。

仮に保険証など重要な持ち物を預けて払いに戻ると言った場合はそれさえも偽造品の可能性があるのです。

後から払いに来る約束で一旦帰らせるかどうかはお店側の裁量次第ですが、あまりお勧めできる選択ではありません。

忙しい時間帯にひっそり抜け出す

飲食店ではお昼時や夕食時など繁盛する時間帯はおおよそ決まっており、その時間帯になると店員も忙しくなります。

そんな時に会計処理を行わずにひっそりと抜け出されると気付かないうちに無銭飲食されている結果になるのです。

これは詐欺師側もわざとそういう時間帯を狙っているので、怪しい人物は常に監視しなければいけません。

ただ、現実問題として他の客の対応があることから一人を注視するのは難しいですね。

集団で無銭飲食を行う

無銭飲食を行う常習犯は単独犯だけではなく、集団で計画的に行うこともあります。

例えば上記の忙しい時間帯で詐欺師の一人がお店を出ようとして止めても他の人が払うからという言い訳ができます。

これを繰り返していき、最後の一人が店員に見つからないように抜け出せば完全な無銭飲食を行われてしまうのです。

人数が多いと他の目をくらませたり、一人が店員の動きを監視したりできるので、お店側からするとより厄介なものになります。




無銭飲食をした場合の罰則と時効

法律

ここでは無銭飲食における罰則と時効を紹介していきます。

無銭飲食の罰則

無銭飲食は詐欺罪として扱われるので、罰則も詐欺罪のものが適用されます。

詐欺罪が成立した場合の法定刑は10年以下の懲役に処されるというものです。

人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
引用:刑法第二百四十六条(詐欺)

ただし、詐欺行為に常習性がないと見られる場合は執行猶予が与えられることもあります。

また、無銭飲食が見つかった際に店員を振りほどくために暴行を加えた場合は詐欺罪と強盗罪が両方に問われます。

これは併合罪といい、強盗罪の20年以下の懲役と詐欺罪の10年以下の懲役を合わせて最大で30年の懲役になる可能性があるのです。

無銭飲食の時効

無銭飲食の時効は刑事責任と民事責任でそれそれ違っています。

刑事責任は詐欺罪が成立した場合には時効が7年、強盗罪が成立した場合は時効が10年です。

また、民事責任では詐欺を働いたものが知った時から3年で時効が成立します。

ただし、詐欺を働いたものが誰かわからない場合は時効が20年になります。

無銭飲食の逮捕事例

牢屋

ここでは無銭飲食によって逮捕された事例を紹介していきます。

事例1:所持金がなかった事例

金銭を所持していないことを認識しながら飲食店(いわゆる飲み屋)に入店し、4000円相当の飲食をしました。その後、支払の段階になって所持金が無いこと・知人を呼んで支払ってもらう旨店員に告げたものの、当然認められるわけもなく、逮捕・勾留されました。
引用:詐欺(無銭飲食)-執行猶予

こちらはシンプルに所持金がないとわかりながら飲食店で4000円相当の食事をしてしまったという事例です。

支払いの段階で所持金がないことと知人に払って貰うことを説明しましたが、お店側は警察に通報。

その結果、逮捕・勾留されましたが、弁護士を通してお店側に代金の支払いと謝罪をして、裁判では最終的に執行猶予判決となりました。

罰則でも書いたように初犯の場合は更生の余地ありとみて、実刑ではなく執行猶予となる可能性があります。

事例2:酔っぱらっていた事例

居酒屋の店員から、もう帰ってほしいと言われ、かっとなり、それなら金は払わないと怒鳴ってしまいました。そこで、店員は無銭飲食だと思い、警察を呼びました。
引用:無銭飲食で逮捕されたが、嫌疑不十分で不起訴となった事例

こちらは所持金があったにもかかわらず酔っぱらっていたせいで無銭飲食になった事例です。

容疑者は深夜にはしご酒をしており、酔った状態で現場となる居酒屋に行きました。

そこで正常な行動が取れないほど低迷していた容疑者は店員に帰宅を促された際、お金を払わないと言ってしまったのです。

店員はそれを無銭飲食と判断し、警察に通報しましたが、警察が来た後も容疑者はお金を払わないという意志を変えませんでした。

その結果、容疑者はその場で逮捕・勾留されたのですが、弁護士が後から事情を聞くと実はお金をきちんと持っていたというのです。

その時は酔いのせいでつい怒ってしまっただけで、最初から無銭飲食をするつもりではありませんでした。

それから取り調べで容疑者と弁護士はその主張を貫いて、嫌疑不十分となったのです。

このようにその場では無銭飲食と断定されても無銭飲食が計画的ではないとわかった場合は詐欺罪とならないことがあります。




無銭飲食を防ぐためには?

防犯カメラ

無銭飲食はお店側が不利ではありますが、対策できないものではありません。

ここでは無銭飲食を未然に防ぐための対策を紹介していきます。

怪しい人物はチェックする

無銭飲食は行う人はあからさまに怪しい格好であることはなく、むしろ普通の人と変わらない格好です。

ただ、動きに関しては隙を窺うために怪しい行動とわかる場合もあります。

そのような動きをする人や以前に無銭飲食の疑いがある人が来た時はマークしておくことが大切です。

お店の人数的に一人に注視するのが難しい場合は全員でそのテーブルを確認する等の対策をしていきましょう。

防犯カメラの活用

万が一に無銭飲食で逃げられた場合に証拠となる可能性があるのは防犯カメラの映像です。

ただし、カメラが映している映像が、犯人が逃げた事を証明できない場合は映像の意味がなくなってしまいます。

無銭飲食は食材という消費されるものが対象となることから物としての証拠は残りづらいものです。

なので、防犯カメラを設置する場合は逃げ道となる場所や複数箇所に設置して人物を映すことをお勧めします。

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先払いを導入する

無銭飲食は料理を食べてからお金を払わず立ち去るという行為なので先払いする形式では無銭飲食ができません。

そのことから先にお金を入れる券売機を導入すれば無銭飲食に対する大きな対策になります。

お店の食事提供の仕方や機械の導入費といった問題点もありますが、これらがクリアできるなら有効な手段です。

無銭飲食の警察への通報と相談の仕方

警察

最後に無銭飲食をされた場合に警察へ連絡した方が良いかという点について解説します。

警察への通報

客側がお金が払えなくて、無銭飲食の疑いがある時に警察を呼ぶかどうかはお店側の判断に委ねられるものです。

仮に客側に詐欺の意図がない場合は警察を呼んでも逮捕することはありません。

ただ、その相手が常習犯であったり、お金を払わないことをごねたりする場合は警察を呼んで対応して貰うことが一番です。

大ごとにしたくなくても対応が難しい相手には通報するようにしましょう。

警察への相談

警察への通報は現行犯に対して行うものですが、被害に常習的に遭っている場合に警察に相談する状況もあると思います。

しかし、無銭飲食に対する相談は警察からすると難しいものです。

その理由の一つに無銭飲食を詐欺罪として成立させるためには相手に最初から騙す意図があったという証拠が必要という点があります。

常習的に行われる無銭飲食が同じ人物なのか、たまたま行われているのか相談だけでは掴み取れないのです。

ただ、対策等のアドバイスは貰えるので、警察側にもそのような事情があるという前提で相談しましょう。

まとめ

食事風景

今回は無銭飲食の手口や対策について見ていきました。

基本的にはお店側が不利になる詐欺行為ですが、店員への周知機器の導入によって対策できるものです。

無銭飲食は許さないという意志を持ちながら毅然とした態度で対応していきましょう。

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